ゲイに蔓延する「キメセク」。薬物中毒から抜け出すためには?

November 26th, 2017

「ゲイと薬物」は、無視できない関係だ。

 

最近欧米では、ゲイたちの「ケムセックス」が問題になっている。

ケムセックスとは、ケミカル+セックスの造語であり、日本でいうところの「キメセク」だ。

 

関連記事 >> “薬物セックス” 経験のある4人に1人のゲイが「薬物で死んだ人を知っている」

 

キメセクを行う人は、コンドームを付けないリスキーなセックスをすることが多く、結果としてHIVの感染率が急増してしまう。

そんな薬物依存症の人々は、どうすればやめることができるのか?

 

 

 

 

そこで、現在開催中の「日本エイズ学会学術集会・総会」にて、興味深い講演が行われたのでシェアしたい。

 

講師は、精神科医の松本俊彦氏。

松本氏は国立精神・神経医療研究センターにて、薬物依存症の研究を行うプロフェッショナルだ。

 

「本当は中毒になりたくない」薬物依存者のホンネ

最初に松本氏は、これまで多くの薬物依存者と接してきた中で、当事者たちの中にあるホンネについて語った。

 

「依存症の人たちは、みんなクスリを”上品に”使いたいと思っている。たまにのストレス発散として、その時を楽しむためとして一時的に使いたい。彼らは決してクスリに依存したいわけではない」と語る。

松本氏によると、薬物を使用しても依存症になるのはごく一部だと話す。

 

「よく薬物啓発のポスターでは『1回使うとハマる』などいった標語が多いですよね。果たして本当にそうでしょうか?」

 

「みなさんもご存知な通り、合法な薬物といえばお酒です。また、入院した際に使用するモルヒネ等の医療用麻薬は大変強力です。それに比べ、ストリートで売っている麻薬は(売人が儲かるため)薄めて売っています。そんな強力な麻薬や中毒性の高いアルコールに触れている我々は、中毒になっていないですよね?ではなぜ、一部の人が依存症になるのでしょうか」

 

 

画像出典:映画「CHEMSEX」より

 

本当は”一時的に”クスリを使いたい彼ら。ではなぜハマって抜け出せなくなるのか?

 

ここである実験を例に紹介してくれた。

薬物検証を行った「ネズミの楽園」という実験では、ネズミをある二つのグループに分類。

 

あらゆる規制された独房の環境で生きる「植民地ネズミの集団」と、セックスも自由であらゆる規制がない「楽園ネズミの集団」の2つ。

その2つのグループに、普通の水と、モルヒネ水を与え、どちらのグループの方がモルヒネ水を好むか観察した。

 

セックス三昧で自堕落な生活をしている「楽園ネズミ」の方が消費しやすいと思いきや、結果は「植民地ネズミ」たちの方が、圧倒的にモルヒネ水を消費したのだった。

 

この実験から、「辛い環境にいる人の方が依存症になりやすい」ということがわかっている。

 

薬物依存症になる人たちは「人は自分を裏切るが、クスリは自分を裏切らない」と思い、ドンドン深みにハマってしまうのだそうだ。

このことから松本氏は、薬物依存症とは、言い換えれば「安心して人に依存できない病」なのではないか、と結論づけている。

 

「依存症」は誰にでも起こり得る

松本氏は、依存症はクスリだけではなく、身近に起こり得ることだということを、”深夜のラーメン”に置き換えて話してくれた。

 

「薬物依存症の人々は、周囲から『意思が弱い』と言われて続けています。しかし、これは薬物依存症だけではなく、普通の人でも起こりえる欲求ですよね?例えば私にとってそれは『深夜にラーメンを食べたくなる病』です」

 

「今の時間に食べてしまうとメタボになってしまう…けど食べたい!頭の中で、悪魔のささやきとの葛藤が続きます。欲求という意味では、薬物依存症のひとたちと同じです」

 

「その時わたしの場合は、欲求に負けないように、すぐ洗面台に行き、歯を磨き、すぐ布団に入る。これ以上欲求が押し寄せないようコントロールしています。意思を強くしよう強くしよう…と思っていると脳が欲求に負けちゃうんです」

 

「なにが言いたいかというと、依存症の人たちには『意思を強くするのではなく賢くなろう』と言っています。自分をコントロールできる方法を知ることです」

 

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