2017/08/20

イギリス政府、ゲイコミュニティに蔓延する「ケムセックス」を取り締まりへ

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イギリスにおいて、薬物を使用したセックス「ケムセックス」が、HIVの感染を増加させているとして、政府関係者たちがケムセックスの取り締まりを行なっている。

 

ケムセックス(Chemsex)とは、ケミカル+セックスの造語。

セックスの快感を得るために、ドラッグ(メフェドロン、GHB、クリスタル・メスなど)服用してセックスをすることを指す。ドラッグを複数服用してセックスを行うことにより、普段のセックスでは得られない高揚感や快感が得られるといわれている。

 

 

画像出典:VICEのケムセックスを取材したドキュメンタリー作品「Chemsex」より

 

最近発行されたブリティッシュ・メディカル・ジャーナルによると、ケムセックスを行う多くの人々はゲイ男性だという。

ゲイ男性がケムセックスを行う理由は「自身のセクシュアリティに対する悲観的な感情を和らげたいから」だという。

 

イギリスに住む15,000人のゲイ・バイセクシュアル男性を対象に実施された2014年の調査では、ある回答者が「クスリ抜きのセックスなんてしたことがない」と回答した。

 

「メフェドロンを服用しているという理由で誰かに拒否されたとしても気にしないよ。クラブに行けばクスリをやってる人はたくさんいるからね」と他の男性は答えた。

 

ケムセックスは何も最近行われるようになったわけではない。その歴史は30年以上に及ぶと言われている。また「イギリス政府が指摘するほど蔓延はしていない」と指摘する研究者もいるという。

 

米ピッツバーグ大学LGBTヘルス・リサーチセンターのロン・スタール共同代表は「大多数のゲイ男性は、覚せい剤などの薬物を服用してセックスを行うことはなく、実際は多くのゲイ男性がそのような行為を敬遠している」と述べている。

 

一方で、ロンドンに住む1,000人以上のゲイ男性を対象とした調査によると5人に1人が過去5年以内にケムセックスを行なったことが明らかとなった。過去4週間以内に行なったものは10人に1人という結果になった。

 

 

ケムセックスの一時的な快楽が破滅へと向かう

 

調査の回答者であるロブはケムセックスについてこう語る。

「ケムセックスの問題点は、クスリによって最高な一時が、最悪な一生になり得てしまう点です」

「しかも売り手や成分のよく分からないクスリではオーバードースしやすいのです」

 

「5日間寝られないまま、体の循環器官が正常に働かなくなり指先が真っ青になってまでセックスをし続けようとした人たちを見たことがあります。また、「皮膚の下に何かがある」と思い込み体を引っ掻き続けたため、体がアザだらけになってしまったクリスタル・メスに侵された男性たちを見たこともあります」

 

ケムセックスを行う人たちは捕まることを恐れているためか、ケムセックスについて警察に通報することは、あまりないと言われている。

 

ただ、今回のイギリス政府のケムセックスに対する取り締まりについては「ゲイコミュニティーに対するスティグマが強化されてしまう」と反対の声も上がっている。

 

本件はイギリスのニュースだが、ゲイとドラッグ問題は世界各地で起きており、もちろん日本も例外ではない。

 

*以下、ケムセックスを取材したVICEのドキュメンタリー作品「Chemsex」の予告編。

 

 

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