正面 × 愛とセックス vol.13 ─ 30代 ゲイ 自営業 ─

June 17th, 2017

「あなたにとって、愛とは、セックスとは、何ですか?」

 

本来、人も愛もセックスも多様であり、個人の恋愛を他人がジャッジするものではない。

「正面×愛とセックス」は、”普通に”生きるLGBT当事者の愛とセックスについて、赤裸々に語ってもらうインタビュー連載です。

 

── 30代 ゲイ 自営業 ──

 

 

 

 ーあなたにとってセックスとは何ですか

 

小学生の頃からなんとなく、女の子より男の子の方が気になるなとは思ってました。男の子は中学生になると、アダルトビデオとか見始めるじゃないですか。自分も周りに合わせて観たりしてたんですけど、やっぱり女優さんより男優さんばっかりに目が行くっていう。なんとか自分も周りも誤魔化しつつ過ごしてたんですけど、高校生になっていよいよ付いて行かれなくなって。

もう興味あるフリをするのもシンドイ、でもバレたら困るからって色々必死でした。もう自分は完全にゲイって解っているのに認めたくなくて、苦し紛れに女の子に告白したり。もちろんフラれましたけど。せやわな、その子もわかるわなって。

 

で、大学浪人してる時に受験勉強の憂さ晴らしとかで、ゲイが主人公の小説読んだりハッテン場の情報を調べたりして。インターネットで同性愛について調べてみたりして。もう当時は大学合格の発表もインターネットだったんで、合格を確認してすぐハッテン場に行きました。最初は何も解らず行っちゃったんですけど、タガが外れちゃってすごい楽しい!って気持ちと、期待が大きすぎたぶん何やこんなもんなんかって半々で。

 

大学生になってからは、大学にゲイのサークルがあったんで、そこに入って割と普通に楽しんでましたね。それまでは飲み屋街ってなかなか行きづらかったんですけど、サークルの皆で飲みに行ったりして。楽しかったです。大学院で東京に出てきてからは新宿二丁目にも行くようになって。当時のセックスは娯楽と快楽だけでした。やっとそういう状況を手に入れたって感じで、本当にただのサルでした(笑)

 

若い時は気持ち良さとか楽しさだけを求めてましたけど、初めて彼氏が出来た時はセックスって快楽だけじゃないんだなって。最近は特にですけど、セックスってお互いの愛を確かめ合う為にもあるんだなって思ってはいるんですけど、今は時に寄って分けちゃいますね。

 

快楽モードの時と愛モードの時って、ちょっとスイッチが違うというか。昔、恋人とSMっぽいプレイが好きだからって相手に要求した事があったんですけど、終わった後そんな自分にもの凄い嫌気がさしちゃって。

何でこんなこと彼氏に求めてしまったんやろって。快楽モードの時って、人を人として見てない自分がいるというか…なんか相手を道具にしてるみたいな感覚になっちゃうんですけど、その時も、あぁ…彼氏をモノみたいに扱かっちゃったなって罪悪感だけが残って。ただ自分の快楽を満たすためだけに付き合わせたっていう。

 

「気持ちいい」ってのが「自分が」気持ち良いだけ終わっちゃって悪いなって、それで相手を使ってしまってる感が強くなるんですよ。だからもう二度と会わないって決めちゃえば、思いっきり出来るんです。だけど付き合った人とはすぐになくなっちゃうんです。で、久しぶりにってなると、めちゃくちゃ恥ずかしくなっちゃって。でも理想は恋人と思いっきりしたいです、心と体が一つっていう。なんか少女漫画みたいですかね(笑)

 

でもセックスってその後ろめたさというか、悪い事してるみたいなのが楽しかったりもするんですよね。なんとなく汚い行為だと思ってるのかも知れないです。だからかな、好きな人には遠慮してしまう。でも…逆の立場なら全部見せてくれたら嬉しいし。なんでしょうかね、これ。マグロなところがあるっていうのが、すごいコンプレックスになってたりもし…相手を気持ち良くしてあげられる自信がないんです。

 

 

前の彼氏がすごい尽くしてくれる人だったんですよ。

家賃も食費も面倒見てもらって、家事も何でもこなす人で。甘えっぱなしで悪いなって思いつつも心地良さから抜けられんくて。そんな風に全部できちゃう人だから、劣等感が変に刺激されるだけで、自分のダメさが際立って寂しくなったりっていう。

何の役にも立ってへんし、自分は何をしてあげられてるんやって。最初から負け試合やんかって。周りの友達からもそれってヒモやんって言われて、あ?別にええやんって自分に言い聞かせてたんですけど、心のどっかではずっとそうだよな…申し訳ないよなって気持ちがあって。自分がそういう感情を持ち続けるのがしんどくなって別れたっていうか。相手が良くしてくれればしてくれる程、何もしてあげられない自分が浮き彫りになるだけで。

 

セックスに夢中になると、その最中に自分のそういう部分も含め、コンプレックスとか罪悪感とか無価値観とかが出ちゃいそうで怖いんです。なんか…そうですね…僕から仕掛けようとした時に相手がそういう気分じゃないってされる時とかあるじゃないですか人間だし。でもそういう時に、勝手に落ち込んだり。あとイク順番?とか気にしちゃうんですよ。先にイカされちゃうと一気に冷めちゃうんですけど、そういうのも悪いな…とかね。

 

前の彼に関しては、生活の中で毎回先にイカされてるような感覚?みたいな。もうこのままじゃ腑抜けになるって思いがどんどん強くなって、その状況から逃げたんですよ。骨抜きにされる怖さですね、自分はこの人といると自立できないって。罪悪感がなければ、与えられるものをありがたくもらって自分の仕事は仕事で楽しくやってって。よく考えたら最高なんですけどね。

 

 

今こうやって話してて気付いたんですけど、セックスって自分が浮き彫りになる行為で、恋愛パターンと似てるなって。自分が先にイっちゃった時のあの腑抜けになる感覚と、恋愛の時のザワザワ感て同じだなって。惨めだし、腑抜けだし、何もしてあげられないし、でもこの気持ち良さは手放したくないしって。なんか自分て本当にズルイ人間やなっていう、ザワザワした感じ。

 

人としての成長過程をも見せられてると言うか。最初は本当に快楽だけでよかったものが、徐々に心も大切だなって思うようになってきて、その中で自分の未熟さも解るようになったし。

 

セックスがもっと上手く気持ち良く出来るようになったら、きっと、もっと生活も恋愛も人との関わりも楽しくなるだろうなって。こう今の自分を映してくれるメタファーにもなるなって。投影してるっていうか。今の自分を見つめられるものですかね。

 

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