正面 × 愛とセックス vol.7 ─ 30代 ゲイ 精神保健福祉士 ─

December 12th, 2016

「あなたにとって、愛とは、セックスとは、何ですか?」

 

本来、人も愛もセックスも多様であり、個人の恋愛を他人がジャッジするものではない。

 

「正面×愛とセックス」は、”普通に”生きるLGBT当事者の愛とセックスについて、赤裸々に語ってもらうインタビュー連載です。

 

 

── 30代 ゲイ 精神保健福祉士 ──

 

 

 

 ーあなたにとってセックスとは何ですか

 

初めて付き合った相手が、今の旦那なんですけど。旦那とは高三の時に知り合って、何度かデートしてそのまま一緒に住むようになり…ていう付き合いで、最初の就職をするまでは旦那が居る以外、自分がホモだというのを全く忘れちゃうような生活で。

 

大学で心理学を勉強して、卒業後せっかく希望の職種に着けたにも関わらず、三日で辞めちゃったんですよ。本当にたったの三日で。自分はこの仕事やりたくなかったのかなって、少し落ち込んで。とは言っても、家に帰れば旦那もいるし、自分の小遣いはバイトで何とかなるし、特に生活の心配も無いし、でも考える時間だけはあってっていう。ここでのプチ挫折が俺の社会性の始まりで。

 

その後、26歳になる年に無事二度目の就職をして、精神科の業界に本格的に入るワケですけど。「仕事さえしときゃ、誰にも文句言われないだろ」って免罪符と自由になるお金が手に入り、なんとなく世間一般の20代男性っぽくなり…そのあたりから「よし遊ぼう!飲み屋に行こう!」ってなって。

 

初めて堂山に行きつけの店が出来て、ボトルを入れるようになり、顔見知りも増えていく中で、外に出始めると自分の市場価値が解り始めるじゃないですか。「あれ?俺もしかして性的に需要ある?」みたいな。

 

どこにでもいる、普通だけど人付き合いの苦手なホモのガキが「ここなら、自分もそれなりに上手く振舞えるらしい」と、更にセックスという手段も手に入れ、且つそれを最大限に利用した結果が「こーた」(と堂山では名乗ってた)で。

当時、自分が持ち得る唯一の財産かつ武器であり、必要不可欠なものだと思ってた。今思い返してみれば、それは劣等感の隠れ蓑だったんだろうけど。ただこの隠れ蓑からは、勉強させられる事が随分とあって。自分はかなりのセックス好きだったんだとかとか、色恋への憧れが強かったんだとか。そして、自分がいかに幼稚だったかとか。

 

 

その頃は、セックスがファッション的だった。誰に見せるモノでも、誰が見てるワケでもないのにだよ(笑)

「自分はこんなに楽しいんだ」とか「色んな人に求められてるんだ」とかって周りに対してポーズでもあったし、詰まらないと感じてた日常に、特別と刺激を与えてくれるものだと思ってた。

それに当時は、バカで見栄っ張りでコンプレックスも強くて、そのコンプレックスの裏返しなのか普通でいたくないと思ってて。ちょっとした優越感をもたらしてくれるモノを探した結果、当時の自分が選んだのが色恋やセックスで。まぁ手間も努力もいらないしね、セックスって。

 

で、それなりに色恋が手慣れて行くうちに、相手のニーズを満たすことによって感謝されるのが気持ち良くなっていって。最初は単純に色恋や火遊びが楽しかったんだけど、途中からは目的が変わって行って。

その時に相手が求めるものがセックスであれば、セックスを提供するっていう。沢山ヤりたかった訳じゃなくて「この人も誘ってあげよう、この人も誘ってあげよう」ってしてたら、たまたまセックスした相手が数百人になってしまってて、そのお陰で遊び人と言われるようになってしまってたんだけれども。楽しく生きるために、その日その時に必要だと思えるものを選び続けてたら、結果そうなってた。たまたま。

 

自分ん家が貧乏ってのは、小さな頃から知ってて。まぁ両親が自分達に対して愛情があるのは感じてたので、幸いグレることはなかったんですけど。そういう家に生まれたことも、他人とコミュニケーションが上手く取れないことも、性的嗜好も、どこかで自分を恥ずかしがってたな。子供の頃は、普通に楽しんでる子達が羨ましかったし。

 

自分にもこんな事が出来るんだぞ、って証明が欲しかったんだと思う。コンプレックスだらけだったガキが、旦那と知り合い、金銭的にも安定して、生活も守られて。そして安全を確保すると、他に欲求が出てくるじゃないですか人間て。マズローの欲求階層説じゃないけど。その欲求を追いかけて満たす為の20~30歳だったなと。やっぱり、根が貧乏人なんだろうか…(笑)

 

 

平凡である自分を受け入れたくなくて、エキセントリックを志向した結果、自分が平凡な人間であることを知り、セックスやそれに纏わる色恋も誰もが持ってる日常で、そしてその平凡な日常の中にある「普通」が一番楽しかった。結局、自分は普通になりたかったんだと気付きました、ようやく最近ね。そしてそれは、既にに持ってた。なんで気付かなかったんだろうね?バカだね。

 

今はもうそれなりに満たされてるし、動機となるものが性欲のみになりつつあるので、セックスは普通です。特別語るような事はないかな。でも相変わらずセックスは大好きで、可能であれば好きな人たちみんなとヤりたいってのは変わらないけど。いかんせん…年も取ってきたのでね…(笑)

 

だから以上でも以下でもなく、《セックスはセックス》なんじゃないでしょうか。

 

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