あなたは「AGA(エージーエー)」について知っているだろうか?
AGAとは、成人男性に見られる、髪の毛が薄くなる男性型脱毛症のこと。
AGAになると、周りの人に相談できずにネットで情報を調べる人も多いはず。
しかしネット上にはAGAにまつわるウソ・ホントの情報があふれており「どれを信じていいか分からない…」と迷える人も多いのではないだろうか?
そこで今回は、「銀座マイアミ美容外科」院長・丸山先生に、AGAにまつわる真相を聞いてみた。
もしあなたが、薄毛・抜け毛について何も困っていないのであれば、記事を読み進めなくても構わない。本記事はAGAに悩める人、将来への予備知識として知っておきたい人は必読の内容だ。
まずAGAの基本的な知識から紹介。
AGAとは、遺伝や生活習慣などさまざまな理由で起こる男性の「薄毛」「抜け毛」のこと。
AGAの人は全国で1260万人にのぼり、成人男性(20~69歳)の約3人に1人がAGAだという調査データがあるほど。
そもそもなぜAGAになるのだろうか?
AGAは、男性ホルモン(テストステロン)に酵素が働くことで悪玉のテストステロン(ジヒドロテストステロン)に変わり、その悪玉が毛根に悪さをすることで起こる症状だ。
AGAというと「中年以上がなるもの」と思う人も多いが、丸山先生によると「20歳を超えるとAGAのリスクにさらされています。年齢はあまり関係ないですね」と話す。
またAGAになりやすいかどうかは、遺伝が大きく関わってくるそう。
さきほどの「ジヒドロテストステロン」を生み出す酵素の多い・少ないは遺伝によって決まっているからだ。
もしあなたの家系で薄毛の人がいればかなり注意した方がよい。
人によっては生え際から薄くなる人、頭頂部から薄くなる人とさまざまだ。薄毛のパターンに何か特徴があるのだろうか?
「AGAになる人の遺伝子は特定できますが、どのように薄毛が進行するかは分かっていません。例えば、頭頂部から薄くなる人もいれば、M字型に生え際が後退する人もいる。ですが、どのように薄くなっても最終段階はつながって頭全体に毛がなくなる状態になります」
なるほど。よく「M字はまだいいけど頭頂部はハゲたくない。。」とは耳にするが、薄毛の進行具合は人それぞれで判明されていないよう。
ただどこから薄くなるにしろ、最終的につながるのであれば、どこかで進行を止めなければいけない。
「AGAが進行すると毛穴自体が小さくなって無くなります。その前に治療で止めることが大事なんです。なので初期の段階で治療すればするほど効果が高いんですよね」と丸山先生は話す。
AGAは遺伝以外の要素も影響してくるそうだ。
「AGAは遺伝だけでなく、生活習慣にも大きく関わってきます。もともとAGAの体質を持っていて、生活習慣が悪いとより早く発症することもあります」
悪い生活習慣の例は食事だ。
高脂質、高カロリー、高糖質なものを食べると、血行が悪くなるため、頭皮環境に悪影響を及ぼしてしまう。
「頭には主に血管が4本あります。例えば、頭部の手術なんかで動脈の血流が悪くなるだけで、その部分だけハゲちゃう人もいるぐらいですからね。頭皮って意外と敏感なんですよ」と先生は話す。
食生活以外にも、AGAを引き起こす要因とは何だろうか?
「あとはストレスと喫煙ですね。喫煙は血管を萎縮させるので、頭皮の血行が悪くなって髪が生えづらい環境になる。どちらも血行が悪くなるので避けた方がいいでしょう」
先生によれば、たとえAGAの遺伝子を持ってなくても生活習慣が悪いと、毛並みが悪くなり、ハリコシがなくなったり髪の毛のトラブルは生まれるそう。
AGAに限らず、健康的な生活習慣は大事ということだ。
ネット上にはAGAにまつわるウソ・ホントの情報があふれている。
そこで専門家の視点から2点の疑惑を解説してもらおう。
ウソホント①:男性ホルモンを増やすこと(筋トレや食事)をするとAGAになりやすいってホント?
AGAには男性ホルモンが関係してくる。
なので、筋トレで男性ホルモンを出すように促したり、高たんぱくな食事や男性ホルモンを増やす食材(卵、ブロッコリー等)を食べるとAGAになりやすいのだろうか?
「科学的には実証されていないので影響ないといえます。都市伝説的ですね。筋トレでも食事でもサプリ等でも、過剰摂取していなければ特に問題はないでしょう」「無理にホルモンバランスをいじること(ステロイドを打つ等)をしていなければ問題ないとは思いますね」
男性ホルモンとAGAに相互関係はあるものの、よほど常識の範囲外のことをしない限りは問題なさそうだ。
ちなみにAGA治療は男性ホルモン自体を抑えるのだろうか?
「いえ、飲み薬などのAGA治療はテストステロン(男性ホルモン)そのものを抑えるわけではなく、悪玉にかえる”酵素”だけをブロックします」
ちなみに男性ホルモン自体は悪いのではなく、バイタリティ溢れる肉体を作る男性には欠かせない重要なホルモンだそう。
ウソホント②:昔、頭皮を傷めた経験(ブリーチ、ドレッド等)をした人は、AGAになりやすい?
よく「昔髪の毛をいじりまくってたから将来ハゲる!」という人がいるが果たしてホント?ウソ?
「これも基本的にないですね。人間は日々少しづつ細胞が入れ替わっています。それは頭皮も肌細胞もすべて」
「なので、過去にハイブリーチやドレッドで頭皮や髪を傷めたからといって、その後AGAになりやすいことはありません。もちろん何十年もブリーチで頭皮を傷め続けているとよくないですが、過去に何年間かだけであれば、また細胞は生まれ変わりますから」
また頭皮だけではなく、肌についても教えてくれた。
「細胞が生まれ変わるといえば、肌にも同じことがいえますね。例えば20代で肌を焼きすぎた人が、40代になってそのシワ寄せがくるといわれますが、それはないでしょう。基本的に肌もターンオーバーして新しい細胞に生まれ変わりますから」
「もちろん、何十年にわたって肌を焼き続けていればトラブルも出てくるでしょう。修復不可能な状態までダメージしていれば再生は難しいですから。漁師や海女さん、農家の方みたいに何十年も日差しを浴びた状態だったら話は別ですが。肌を傷めた期間が数年であれば気にすることないでしょう」
ということは、頭皮も肌も日々ターンオーバーを繰り返しているため、過去のヤンチャ経験はさほど影響しないようだ。この回答にホッと胸をなでおろした人も多いのではないだろか?
AGAについて分かってきたところで、簡単にできるセルフチェックを教えてもらった。以下2つがAGAの初期症状だ。
①鏡で生え際をチェックしよう
生え際をチェックしよう。側頭部(こめかみ)耳の上あたりをかき分けると、毛穴1つから毛が2・3本生えているのが正常な状態。これがAGAの初期だと毛穴1本から毛1本になっていることが多く、かつ全体に細い毛が目立ってくると危険信号。
②抜け毛をチェックしよう
抜け毛自体は悪いことではない。毛には毛周期という生え変わるサイクルがあるので、毎日抜けるのは当たり前。
ただし、AGAの人の場合は毛が完全に成長しきる前に抜けてしまう。
そこでチェックすべきは、シャワー後に頭をふいたタオルや枕に落ちている毛を見て、細い毛が多い場合はAGAのサインだ。
もしセルフチェックでAGAの初期症状が出ているのであれば、早めのケアが大事だ。
先生いわく、AGA治療はスタートダッシュが大事だそう。
「”何も毛が無いところから治療して生やす”よりも、”まだそこまで進行していない初期状態で、ちょっと足せばしっかり生える” 方が簡単なんですよ」
また、毛が生えた状態であれば「維持」に回ることができるそう。
「AGA治療は最初に頑張ってドカンと生やしてあとは維持します。AGAが進行してから治療を始めた人だと、維持するまでにかかる治療期間が長い」
「初期で最初にドカンと生やすことができれば、維持に入ると薬の量もぐぐっと減らすことができるので、数年間維持しつつ、たまに治療するぐらいで大丈夫な人も多いです。初期で治療することはとても効率的なんですよね」
一口にAGA治療といえどさまざまな種類がある。以下が主な治療法だ。
①飲み薬
②塗り薬(育毛剤)
③ホームケア(AGA用シャンプー等)
④注入薬(HARG療法)
それぞれどのように違うのだろうか?
それぞれ解説していこう。
代表的なのは「飲み薬」で、現在認められてるのは、ミノキシジル、スピロノラクトン、デュタステリド、フィナステリドの4つだ。
ただ、ミノキシジルは元々高血圧用の薬であり、スピロノラクトンも利尿薬であり、本来はAGA治療薬ではない。
デュタステリド、フィナステリドは、酵素をブロックする働きがあるので根本的な治療薬として使われているそう。
また、それぞれの薬の役割は異なっており、一般的には薬を単体、もしくは4剤を組み合わせて使っているそうだ。
次の「塗り薬」とは、市販されているものも多い、頭皮に直接塗るタイプの「育毛剤」だ。
一般的にミノキシジルを配合しており、頭皮の血行を良くすることで発毛を促している。
そして「ホームケア」だが、現在はドラッグストアで市販されているスカルプシャンプーから、医療機関でしか購入できないAGA専用シャンプーまで多く存在している。
商品によりきりだが、頭皮のつまりを無くしつつ、有効成分で頭皮環境を整えるものだ。この洗い流すタイプそのものに発毛効果は期待できないが、その他AGA治療法のサポートとして使用することがオススメ。
そして最後に聞きなれない注入剤だが、こちらは「HARG療法(はーぐりょうほう)」という、頭皮に直接栄養を注入する、いま最も注目を集めるAGA治療法だ。
今までAGAといえば飲み薬や塗り薬が一般的だったが、最近「HARG療法」が支持を集めているそう。
そもそもこのHARG療法とは一体何だろうか??
「HARG療法は、脂肪幹細胞の培養上清液から抽出したたんぱく質を、頭皮に直接注入する薄毛治療法です。AGAが進行した頭皮は細胞を作る能力が弱まっています。そこで、この抽出したたんぱく質を注入することで、細胞間の活性化が進み発毛につながるのです。わかりやすくいうと、頭皮に燃料を入れるようなイメージですね」
HARG療法は枯れた大地に栄養を与え、頭皮環境を根本から改善するという画期的な治療法だ。
HARG療法をする場合、3~4週間に1度のペースで合計6回行うのが基本。
気になるその効果だが、初期~中期の人であれば、早い人で3ヶ月、遅い人でも6ヶ月でしっかりとした効果が見込めるそうだ。
またHARG療法は、他のAGA治療に比べデメリット(副作用)がないのも魅力の一つといえる。
AGA治療について色々手法があることは分かったが、一体どれが一番いいのだろう?先生に聞いてみた。
「オススメは細胞レベルから再生できるHARG療法ですが、通常はHARG療法だけよりも、他の治療法と併用することが多いです。なぜならば、飲み薬とHARG療法では、それぞれ作用点が異なっているからです」
また、人によって治療法に合う・合わないがあるそう。
「人によっては持病や体に合わない等で飲み薬がNGな人もいます。また塗る薬で頭皮がかぶれたりと、使えない人もいる。またその人のライフスタイルに合っている治療法なのかも大事ですよね。その点、自己流ではなく、クリニックで医師が直接患者さんの話を聞いて、それに合ったベストな治療法をオススメしています」
「さきほどから言っていますが、AGAは初期の段階で治療すること”スタートダッシュ”がとても大事です。ですので、オススメするなら「飲み薬+注入(HARG療法)」が最も効率が良いと思います」
「飲み薬(デュタステリド、フィナステリド)で、酵素をブロックすることでAGAの原因を抑えつつ、さらにHARG療法で毛髪の活性化を行い発毛環境を整えます」
先生のオススメは「飲み薬+HARG療法」だそうだが、可能であれば以下全て試した方がよいと話す。
①HARG療法+②飲み薬+③塗り薬+④ホームケア
もしAGAに悩んでいて、一刻も早く元の状態に戻りたいのであれば、上記すべてを行うとより効果は高いそう。
理想とする状態まで毛が生えたあとは?
適切な治療を行い、しっかり毛が生えたあとはどうすればいいのだろうか?
「治療を行いその人の求める毛の量まできたら、時々のHARG療法だけ、もしくは少量の飲み薬だけに切り替える人が多いですね。そこも患者さんの状態をみて最適な方法をオススメしております」
先生いわく、毛を生やすまでは頑張り、早く「維持」にまわった方が効率が良いと話す。
AGAは放置すると年々進行していくので、AGAの初期症状を感じたら早めにクリニックに足を運んだ方が良いかもしれない。
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いかがだっただろうか?
AGAの初期症状の人は、自己流のケア(市販の育毛剤や育毛シャンプーなど)で対策をする人がほとんどだろう。
もちろん、クリニックでAGA治療を受けると費用はかかるが、早く「維持」にまわることができるので、長い目で見たときにトータルコストは安く収まる。
また、先生もオススメしていた今最も注目される薄毛治療法「HARG療法」は、全国約200箇所のクリニックで受けることができるので、もし興味をもった人は最寄りのクリニックをチェックしてみて。
クリニック一覧はこちらのページから。
取材協力:丸山直樹院長
銀座マイアミ美容外科
東京都中央区銀座3-11-16 6F
TEL: 03-3542-5551
これまでAGAには飲み薬+塗り薬が有効とされていたが、薄毛を止めるのではなく”しっかり生やす”ことに重点をおいた再生療法「HARG療法」。薄毛は初期症状の方が有効なので、もしAGAを感じはじめた人は、最寄りの「HARG療法」取扱クリニックで相談してみて。 HARG療法|取扱クリニック