イギリスの新しい50ポンド紙幣の肖像に、ゲイの天才数学者でコンピューター科学の先駆者として知られるアラン・チューリングが採用されることが分かった。
アラン・チューリング(1912~1954年)は、現代のPCの基礎を作った人物といわれている。
チューリングは、第2次世界大戦中、ナチス・ドイツが誇った世界最強の暗号「エニグマ」を解読。
15京9000兆通りの解読不能といわれたエニグマを見事解読し、劣勢だったイギリス連合国の勝利に貢献した。また、人工知能の分野でも先駆的な役割を果たし、機械に「知能」があるかどうかを測る「チューリング・テスト」などを編み出した人物だ。
そんな英史に残る偉人にもかかわらず、当時イギリスでゲイは違法だったため、わいせつ罪で逮捕されてしまう。チューリングは、刑務所に入る代わりにゲイを治す”矯正治療”を選び、41歳の若さで自殺してしまう。
このチューリングの物語は、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014)』として、ベネディクト・カンバーバッチ主演で映画化された。
偉大な人物をゲイだからという理由で迫害したことについて、2009年に英政府は公式に謝罪。2013年には恩赦を与えた。
そんなチューリングの功績をたたえ、イングランド銀行は新50ポンド札の顔に抜擢。
マーク・カーニー総裁は、「コンピューター科学や人工知能(AI)の父として、そして戦争の英雄として、アラン・チューリングの貢献は、多岐にわたる画期的なものだった。現代の大勢がその恩恵を受けている」とコメントを発表した。
チューリングが描かれた50ポンド紙幣は、2021年末までに流通が始まる予定。