──アメリカのBLイベントでは、男性が大勢参加していらっしゃいますよね。日本では、BLは女性が女性読者のために作るというイメージが強いので、正直驚きました。
シャロン:男性読者は多いですね。大型コミックイベントに参加すると、男性がよく買いにきてくれて、「新作は?」と尋ねてきます。男性にはイラスト集やポスターが人気で、女性はオンラインやSNSで作品を購入してくれますね。
2014年にカリフォルニア州バーバンクで行われたLGBT関連のコミックイベントは、参加者のほぼ全員が男性でした。当日までは女性も大勢くるだろうと踏んでいたのですが、いざ、ふたを開けてみると、女性は私と私のアシスタントだけ(笑)。
とはいえ、「やおいレボリューション」の作者が、女性ばかりだと批判されることもあります。
以前、テレビ局がきたときも、『やおいにハマるストレートの女性たち』を取材したかったようですが、「私たちがストレートとは断言はできない。みんな、レインボーカラーのどこかにいるはずよ」と答えました。
実際のところ、「100%ストレート」な人なんてほとんどいないんじゃないかしら? 私が若い頃は、ストレートかゲイかバイかのたった三択でした。いまとなっては古い考え方です。
この業界で働く人はセックスをポジティブにとらえようとし、性の選択という点でも解放されていると思います。おしなべて皆と一緒であろうとする日本では、少し事情が違うかもしれませんが。
アメリカ人は誰しも、「自分らしくありなさい」と言われて育ちます。どちらが良いか、優れているかという話ではなく。
ゲイだという若い男性から、「おれたちのライフスタイルを切り売りして金を稼ぐな」と糾弾するメールをもらったこともあります。彼は明確な線が引かれていると信じていたようだけど、その境界線は考えているほど明確なものじゃない。
私が若い頃、成人向けのBL小説は、メーリングリストでのみ交換され、そこに加入するにも厳しい審査が必要だった――そんな時代だったんです。でもそれもみんな過去の話。
LGBTの本を堂々と出版し販売するということ自体、世の中の進歩だと言えるんじゃないかしら。
──「やおいレボリューション」の作品を日本で販売する予定はありますか?
シャロン:日本は大好きですし、私にインスピレーションを与えてくれた国でもあるので、「やおいレボリューション」の活動を知ってもらいたいですね。
7月に開催されるコミコン(北米最大規模のイベント『コミコン・インターナショナル』)のあと、イラスト集を制作する予定ですが、これなら翻訳作業がほとんどいらないし、日本で販売できるかもしれません。
コミコンでは、小規模出版社のエリア<Small Press Section>で出展する予定です。
新刊はメキシコ人漫画家の作品『タンゴ』と、アメリカ人の人気漫画家による『スィート・ベア』。そのほかにも10作品の出版と再販を予定しています。
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