アイスランドに行ってきました、ライターのがぅちゃんです。
同国の首都・レイキャビクにある、陰茎(いんけい)専門の博物館として世界最大の「ペニス博物館」。世界最大級のペニスや人間のペニスといった類い希な展示物だけでなく、創設の歴史や背景についても詳しく紹介します。※展示内容は2019年時点のものです。
ペニス博物館とは、アイスランドの首都・レイキャビクにある博物館のことです。「陰茎/ペニス」の展示に特化した博物館としては世界最大の施設。正式名称は「Icelandic Phallological Museum/アイスランド・陰茎学・博物館」です。
ペニス博物館は性器を取り扱っているので(ポルノ要素が強いセックスミュージアムのような)おもしろスポットに近い紹介をされることがありますが、当施設のコンセプトはあくまでも「科学的な取り組みとして、学問として、陰茎を学ぶ」とされています。
ペニス博物館では、93種の動物から採取した282点のペニス標本が展示されています。現在では、アイスランドを代表する観光スポットとして確立した地位を得ています。それに加え、陰茎について学ぶ機会を提供する先駆的な場所と考えられていることもあります。
ペニス博物館の歴史
ペニス博物館の創設は1997年。「シグルズール・ハーターソン/Sigurður Hjartarson」氏によって、北部の小さな漁師町「フーサヴィーク/Húsavík」にて創設されました。当時は、ペニスのコレクションはまだ62点しかなかったそうです。
著名な創設者「シグルズール・ハーターソン」
シグルズール氏は、アイスランドの進学系公立中等・高等学校「Hamrahlid College/MH」で歴史とスペイン語を教えていた元教師。ちなみにこの学校は、歌手の「ビョーク/Björk」が通っていたことでも知られています。
シグルズール氏がペニス収集に興味を持ったのは、1974年に牛のペニスを手に入れたことがきっかけとされています。おふざけで牛のペニスが手に入る環境というのは、アイスランドならでは。彼にとっては、恵まれた環境だったと言えるのかもしれません。
動物のペニスが手に入りやすい環境が、シグルズール氏の収集を加速させます。同僚の中には捕鯨基地との仕事を掛け持ちする人もいたそうで、これが海獣のペニス収集に役立ったそうです。陸上哺乳類に関しては、屠畜場からペニスを譲り受けたりしたと言われています。
1986年に国際捕鯨委員会(IWC)の影響でクジラのペニスの提供はなくなったそうですが、アイスランド沿岸ではクジラが座礁することがあるため、引き続きクジラのペニスを手に入れることができたそうです。
ペニス博物館は、「シグルズール氏のペニス収集への関心」と「それを可能にさせるアイスランドの環境」という二つの要因が相まった奇跡的な研究成果が拝める場所……とも言える気がします。
ちなみに現在のペニス博物館は、シグルズール氏の息子「ヒェルトゥル・ギスリ・シグルズソン/Hjörtur Gísli Sigurðsson」氏よって運営されています。なお、ヒェルトゥル氏はキュレーターも歴任しています。
ドキュメンタリー映画「The Final Member」
ペニス博物館を世界的に有名にしたのがこの映画です。人間のペニスの収集の様子を追った内容。ペニスのドナーは4名いたそうです。この映画は、最終候補の二人のうち、どちらのペニスが展示されるか……というのが見どころ。
二人のうち一人は、元プレイボーイのアイスランド人の老人。もう一人は、露出願望を持つアメリカ人。一線をやや越えてしまっているアメリカ人ドナーと、一貫して冷静なやり取りをするシグルズール氏のシーンも見どころです。
ペニス博物館で最終的に誰のペニスが展示されたのか……というのも含め、これより展示内容を紹介していきます。
282点の標本のうち、200点はアイスランドの生物とされています。展示内容は複数のセクションに分かれており、おもに「クジラ」「クマ」「アザラシ」「陸上哺乳類」「その他」。館内には目立った仕切りが無く、一つの大部屋にペニスが並んでいます。
ペニス博物館の展示物の中でも最も注目されている、5本のハイライトを紹介していきます。
最大級のペニス
長さ170センチ・重さ70キロの、マッコウクジラのペニス。館内で最大のペニスで、代表的な展示物です。実際に、部屋の中で一番目立っています。しかしながら、展示されているのはペニスの先っぽの部分。本来の長さは5メートル・重さ350〜450キロと言われています。
最小級のペニス
ペニス博物館の中で最小のペニスが、長さ2ミリのハムスターのペニス。マッコウクジラのペニスとは対極の、代表的展示物です。陸上哺乳類の棚に展示されているのですが、 キャプションを読まなければ(というか読んでも)ペニスとはわからない外見。
ゾウのペニス
壁からでーんとぶら下がっているため、異様に目立っているのがゾウのペニス。一見、木にしか見えません。ペニス博物館で展示されているペニスのうち、対価を払って手に入れた唯一のペニスだそうです。
アイスランドの銀メダリストのペニス
2008年の北京オリンピックのハンドボールで銀メダルを獲得した、アイスランドのオリンピック選手15人のペニス(の模型)。手作り感がある銀色のマツタケのような風貌で、愛着があります。ちなみにこれらは、創設者の娘が制作したそうです。
人間のペニス
「元プレイボーイのアイスランド人の老人」「露出願望を持つアメリカ人」のうち、最終的に採用されたのが前者のペニス。 300人の女性と関係を持った……と言われる「パゥットル・アラソン」という人物で、「永遠の名誉」のための展示だったとされています。
ペニスは死後に切り取られ、ペニス博物館に寄贈されたそうです。結果としてアメリカ人のトム・ミッチェル氏のペニスが展示されることはなくなりましたが、彼のペニスをモデルにした創作漫画とディルドが実物(のペニス)の写真と併せて展示されています。
人間のペニスの展示には続きがあり、2名の追加展示が予定されています。 一人目は、世界最大級のペニスを持つことで知られるアメリカ人の「Jonah Falcon」氏。ペニス博物館による寄贈のオファーを受託したことが、いっとき話題になりました。
そして二人目は、 創設者本人のシグルズール氏。死後のペニスの寄贈が確定しているとされています。ただしそれは妻より後に死んだ場合。彼の死後、もし妻が生存していて拒否すれば、彼のペニスは展示されないことになっています。
日本のペニスに関する展示物
ペニス博物館の展示物には、ペニスに関する工芸作品や工業製品(ジョークグッズ)も含まれます。愛知県の田縣(たがた)神社の奇祭「豊年祭」で担がれる「大男茎形の神輿/だいおはぜがたのみこし」の、絵馬が展示されています。
おまけ:おみやげ
ペニス博物館のエントランスにあるお土産コーナーでは、ペニスに関する世界各国の製品が売られています。ユニバーサルなペニスグッズだけでなく、ペニス博物館のオリジナル製品も売られています。
※ペニス博物館は、2020年に1km西へ移転しました。現在の建物は、ランドマーク「ハルパ/Harpa」の近所にあります。まとめの情報は現在のものです。