2019/12/04

ゲイが死んだら何が残る?何もわからない僕たちは、二度と戻らぬ「21歳の私」の姿を、とりあえずインターネットに刻み続けた

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GENXY読者の皆さんはじめまして!

どこかでお会いした方もいるかもしれませんが、私です! モのつく人、です!

属性としてはシスゲイ男性、主に新宿二丁目とインターネット上の「定点観測」をしながら日々生きています。

 

ここではたまに「私の観測範囲における四畳半LGBTコラム」をお送りできればと思っています!

 

LGBT的特区感のある渋谷区に住んではおりますが、区のはじっこにある築50年越えの集合住宅のちゃぶ台で書いておりますので、「あ〜、余裕のない人がなにか言ってるな〜」みたいな気持ちでご高覧いただけましたら幸いです。

 

「ぼくが死んだら何が残るんだろう」とか考えたことありますか?

 

いきなりLGBTと直接関係ない話題なのですが、先日、Twitterの「休眠アカウント削除発表」がありましたよね。

 

Twitter、6カ月以上ログインのないアカウントを削除へ

CNET Japan 19/11/27

 

で、一日で撤回されました。

 

Twitter、休眠アカウントの削除計画をいったん停止–故人への配慮求める声を受け

CNET Japan 19/11/28

 

「インターネット墓標(ネット墓標)」という言葉をご存知でしょうか

死んでしまった人が管理していたサイトや、残した書き込みなど、その人が生きていた痕跡のことです。

 

36歳、二丁目歴もそこそこ長い私は、出会いも無限に増える一方で、少しずつ会えなくなってしまう人も増えてきました。

 

病気で田舎に帰って亡くなった年上の親友や、数年後亡くなっていたことを噂にだけ聞いた飲み友達、クラブに行けば必ず見かけたあの人・この人。

未来に誰よりも希望を持ちながら不知の病に倒れたり、ある日道端で倒れて翌朝冷たくなって見つかったり、不慮の事故に遭い「あとでね」が永遠の別れになってしまったり。

 

亡くなった人々がネットに刻みつけたものたち。

 

リンク切れだらけの個人サイトには秘密の扉があって、その先にはやっぱりリンク切れになった画像に混じって、友達がモテを意識した荒い画素数の笑顔を作っている。

日記を見れば一緒に遊んだあの日のことが書いてあるし、インスタを開けば誕生日のケーキを吹き消す動画がエンドレスで流れ続けたりもする。

 

作ったもの、どこかに残した書き込み、はたまた誰かの写真の中、ありとあらゆる痕跡は、ネットの海の深く深くへ、だんだんと沈んでいきます。

 

でも、それは永遠に残り続けるわけではありません。

FacebookやInstagramには追悼アカウントという概念がありますが、geocitiesのサービスが終了したように、「管理人」を失ったサイトはどこかに移されることもなく、サービスはいつか終わります。

 

大好きだった「魅惑のモナ&ムール」(※)だって、もう見ることはできないのです!

 

※ゲイインターネット黎明期に弘田三枝子の顔面の変遷や曽我ひとみさんのファッションチェックなど、多くの知識を得ることなどができ、ゲイセンスのリテラシー向上を担っていた個人サイト。管理人ご逝去(真偽不明)の噂を聞いたあとしばらくして消えてしまいました

 

私にとってのインターネット墓標は、だんだんと増えて、少しずつ消えていきます。

誕生日やふとした時に思い出して見に行ってみると、さすがにもう泣いたりすることはないけれど「歳とらなくていいよな」とか思うことはあります。

 

その人がいた二度と戻れない時を思いながらも、「自分が死んだら何が残るのか(反語)」と考えてもしょうがない(※)ことを考えてしまう中年ゲイ……あれ?私だけですか?

 

※死なないとわからないため

 

こんなことを言うと不謹慎かもしれないのですが、人生の盛り上がっているとこで終われることを、ある意味うらやましく思うことすらあるのです。

 

なぜって、私達二丁目ゲイ(主語を大きめにしました)は長めのモラトリアムの中に生きがちで、放っておいた現実を直視させられる瞬間がいつか訪れたりもするから。

でも、それがうっかり生き残っている者の宿命。

 

それに、もう早死にするには遅すぎます。

 

一方その頃「21歳の私」がちょっとだけ(謎の)ブームでした

 

奇しくも同じ頃、私が見ているインターネットでは「#このツイートを見た人は21才の時の写真を晒す」というハッシュタグが猛威を振るっていました。

(たぶん掲載される頃には収まっている気がします)

 

調べてみたら11/1くらいにとある女性と思しきアカウントがつぶやいたものがおそらく最初で、約2週間~3週間ほどかけて我々ゲイクラスタに届いたっぽく、なかなかの盛り上がりをみせていました。

 

お若めの方は「昔もかわいいけど今もかわいい(もしくは今はブスをねじふせてすっかりかわいくなりましたよ、という証明)」を公開したり、

ちょっとお姉さん世代の方は「若いモンには負けんワイ」的な21歳…前後の若い写真(※)を公開されていました。

 

※だいたい紙焼きの写真をスマホ撮り/もしくは10万画素時代のガラケー的画質のため、正確な年代が把握されていないことが多い。銀塩写真にはEXIF情報が残らないのです

 

私ですか?同じ土俵に上がる勇気が持てず、お祭り会場の周りから合いの手とかを入れておりました。

 

しかしなぜ21歳だったんでしょう。

誰も知らず、特に疑問を持つこともなく盛り上がっていたのは、本当は「若い頃の写真をみんなに見て欲しい」ということに理由なんて必要がなかったからなのかもしれません。

 

インターネットの流行はいつも雰囲気だけで起こる

 

肝に銘じておきたいところです。

 

何万回と「同じくだり」を繰り返して「自己紹介」を刻むぼくたち

 

私のようにインターネットゲイ老人会にご所属の方は勘付いているかと思いますが、

この「昔の写真を見せ合う」的な行為は「質問箱的サービス」「〇〇診断(根拠のない相性つき)」「いいねした人に○○する」と同様の、定期的に流行する季節性かつ自己紹介型の熱病です。

 

だいたいSNSでは長くても一週間くらいでおさまる流行り病が常に流行しており、半年ROMると(※)亜種を含めて軽く20回ずつくらいはそういった流行り病に遭遇することができます。

 

※インターネット(2ちゃんねる)古語。書き込みをせずに読むだけで文脈を掴む練習をするイメトレ。今は誰もしません

 

そして11月は「いい●●の日」のオンパレード。

いいおなかの日と言っては自撮りをアップし、いいおっぱいの日だと言っては自撮りをアップし、いいサオの日(略)

 

このような病…いえ、トレンドが流行るとだいたいの流れは決まっています。

 

1. 投稿内容のクオリティ低下

裾野に広がれば広がるほどクオリティが低下(※)する傾向ですが、流行ってる感は最高潮へ

※若い頃画像合戦の場合「また同じ画像出してんな」などが低クオリティ化の一因となります

2.祭りの盛り上がりとともに場におけるヘイト指数上昇

クオリティが下がれば下がるほど「あれウゼー」「ミュートした」などとアンチをキメてくる人が増え修羅

3.そして起こる、小さな悲しい事件たち
ちょっとした小競り合いが多発。例えば苦言的なつぶやきがエアリプと解釈され

「俺のこと?ごめんね…」→「○○ちゃんのことじゃないよ!」などの思いやり様式美コンボなども散見(残念ですが、どちらも幸せになれません)

地獄です

4.親切な人も出てくる
「ハッシュタグ単位でミュートできますよ」「スルーしましょう」など、SNSリテラシーを高めてくれる親切な人なども発生します ああ、世界がやさしくてよかった!

(しかしここで3に戻ることもよくある 地獄の底はわりと簡単に割れます)

5.飽きる(流行の終焉)

でも大丈夫。長くても一週間くらいでみんな飽きます。

乗り遅れた人による第二波などもありますが、24を小規模に繰り返しやがて終息します

 

 

私たちはだいたいこういったことSNS有史上100000000000000万回くらい繰り返しているのです。

 

飽きたかって?飽きるわけないじゃん!

楽しいからみんなやってるし流行るんだよ

 

前略プロフィールでも魔法のiらんどでも100の質問でもシークレットバトンでもメンミクでもザ・インタビューズでもsarahahでもアキネーターでもなんでもいいのです。

 

私達は一生自己紹介をして生きていく!!!

 

あと大喜利も!!!

 

そうこうしているうちに人生もやがて……

 

誰かの心に残り続けたい たとえアカウントがいつか消えても

 

「モテたい」「交流したい」「ワンチャン欲しい」「賢く思われたい」「実は巨根だということを知らしめたい」「イケてる人だと思われたい」みたいな気持ち(※)は皆さんも多かれ少なかれあります……よね?

 

※今回マズローさんの例の言葉(承●●求)を使わないのは私なりのこだわりです 便利な言葉を使うと思考が停止してしまいます

 

そして、できれば、いなくなった後ですら、誰かの心にずっと残っていて欲しいという欲張りなことも考えてしまったりするものです。

私はしますよ!「青春のリグレット」で育ってますから!

 

だからこそ私たちは、時空を越え 宇宙を越え「生きた証」をインターネットのあらゆるところに残し(たまに「黒歴史クリーナー」とかで消し)ながら生き続けていくのではないでしょうか。

 

そして、こんなことを書いて「わかった風」を装ってしまったりする人だって、誰かの心に残りたいという気持ちがあるから文章などを書き垂れているのです。そう、これは私のちょっと長めの自己紹介だったのです! どうぞよろしくね!

 

だから恐れることはありません。

あなたも21歳の姿をインターネットに刻み(比喩)、永遠に誰かの心に残り続けましょう!

 

FOREVER21! ※倒産

 

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