あなたは「お墓」に対してどのようなイメージを持っているだろうか?
20代と50代でお墓のイメージは大きく異なるが、どの年代にも共通しているのがお墓は血縁関係のある家族で入るものというイメージだろう。
今回紹介するのは、日本で初めて血縁関係がなくても入れるという画期的なお墓「ペア墓」だ。
もしあなたが20・30代であれば少し先の話として知っておいて損はないし、40・50代以上のゲイであればぜひ知ってほしい内容だ。
「ペア墓」は、関西で最も有名な墓石メーカー(株)加登が打ち出した新サービス。正式名称は「ペア墓|よりそい」。現在、関西にある「川西中央霊園」にて8月よりスタートしている。
従来のお墓にある「血縁関係の有無」を問わないため、同性カップルはもちろんのこと、別姓の事実婚夫婦、仲の良い友人同士など、ペア(2人組)であればどんなカップルでも可能なのだ。
もちろん、実の兄弟、親子、養子縁組を結んだゲイカップルなど、血縁関係のあるペアでもOK。
お墓は「血縁関係の有無」を問われることが多いが、実は法律上、一緒にお墓に入る人の血縁関係の有無は問われない。
法律上は問題ないのだが、①運営元である墓地の規定、②お墓の名義人や親族の同意が得られるか、の2つの大きな壁が立ちはだかっている。
そのため「お墓は親族でしか入れない」という、家制度のしきたりが色濃く残っているのだ。
(株)加登の取締役社長・加登隆太氏はペア墓を作った経緯についてこう話す。
「長年、関西を中心に霊園・店舗を運営してきましたが、中には『血縁関係がないとお墓に入れない』としてお断りするケースもありました。ワケありカップル、事実上夫婦、身寄りのない方同士など。また最近では同性カップルも多くいらっしゃいます。そんな方々のために『ペア墓|よりそい』は血縁関係を問わない新しいスタイルのお墓を作ることにしました。これは全国初の取り組みでしょう」
加登氏が語るように、「ペア墓」は従来型の墓文化を大きく変える画期的なものだ。さらにペア墓の特徴について紹介していこう。
お墓につきものなのが「後継ぎ」。もちろんペア墓ならその心配は無用の永代供養(えいたいくよう)墓だ。
永代供養墓とは、霊園が家族に代わって墓守(供養や管理)をしてくれるお墓のこと。毎年かかる管理費用も込みなので、初期以外の費用がかからない。
ペア墓はこの永代供養墓なため、墓石代+墓地代+永代供養+管理料など、すべて含めて107万円(税込)からと良心的な価格設定。
ちなみにお墓の相場は、関東では平均300万円前後、関西では200万円前後なので、ペア墓の107万円はお手頃な価格だ…!!
また、お墓も遺骨も撤去せずに永代供養してくれるため、万が一お墓参りする人がいなくなっても、大切な人といつまでも一緒に眠ることができる。
一般的なお墓は、和墓・洋墓とわず決められたデザインから選択し、家系や家紋を入れるといった一通りの形式が決まっている。
しかし「ペア墓」では、これらのデザインを自由に設計できるのだ!(*デザイン内容によって+費用がかかることがあります)
例えば、石碑にガラスを組み合わせたり、本好きであれば本型の石碑だってできるし、ピンクなど色付きの個性的な石碑を作ることも可能。
石碑の文字も「◯◯◯家」ではなく好きな言葉を刻める。こんな自由度の高いお墓がかつてあっただろうか?
また、石碑だけでなくペア墓がたつエリアも他とは一味違っている。
加登の販売担当者によれば「ペア墓は安さが売りだけではなく、石碑のデザインの自由度が高いため個性が出しやすく、またエリア一帯にはピンク色の石畳がグレード感を演出しています」
ペア墓がつくられるエリア一体には、ピンク色に輝く割石が敷き詰められており、高級感と個性が共存している。
上のイラストでは少々分かりにくいが、下の石畳がピンク色になっている。
また、川西中央霊園はあたり一帯が大自然に囲まれており、眺望も抜群!
やはりお墓は心が安らぐ静かな場所に建てたいものだ。
いまは多様性の時代。
同性カップル、事実婚カップル、友情婚、結婚/恋人を持たない選択をする人、国際カップルなど、社会は人の数だけ多様だ。
しかしながら「お墓」は良くも悪くも家制度が色濃く残る文化。川西中央霊園の販売スタッフはそれらを踏まえた上でこう語った。
「従来のお墓だけでなく、いまの多様な価値観、時代に合わせたお墓が必要だと考えます。加登では『ペア墓|よりそい』を通して、お墓の価値観をアップデートしていきたいと思っています」
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歳を重ねるごとに「お墓問題」は現実として大きくのしかかってくる。
血縁関係のあるお墓から解放されることで、ゲイたちがもっとのびのびと、自由に生きられるのではないだろうか?
今回紹介した加登の「ペア墓|よりそい」は、川西中央霊園で今年8月より募集スタート。初回は112基の限定募集だそう。
霊園は大阪市内からも電車/車でアクセスしやすいため、関西圏にお住いの方、もしくは関西が故郷の方、興味あれば検討してみてはどうだろうか?
また現在は関西だけだが、今後は関東でも販売を予定しているそうだ。そのほか詳しくは公式サイトをチェックしてみて。