昨年(2016年)は日本とイタリアの国交150周年のアニバーサリーイヤーだが、もう一つイタリア関連の大きな出来事といえば、イタリアにて同性婚に相当する「シビルユニオン」が可決されたことだろう。
これによりヨーロッパの主要国全てで同性パートナーへの法的保障が受けられることとなった。
そこで今回は、1989年に初めて同性パートナー制度を認めたデンマークから今年までの主な同性婚ムーブメント、また現在の同性婚可能国を一挙紹介したい。
1989年/デンマーク、世界初の同性パートナー制度がスタート
世界で初めて、同性パートナーへの法的保障を認めた国はデンマークだ。エイズクライシスの最中、1989年に「登録パートナーシップ法」を制定。
これは、今日の世界の同性婚ムーブメントにおける最も重要な一歩であり、同性カップルを法的に認め、養子や財産分与を行えるようにした画期的な制度。
また2015年には、世界初・同性婚カップルの銀婚式をデンマーク大使館で開催し話題になった。(写真上)
2001年/オランダ、世界初となる「同性婚」可能国に
世界で初めて「登録パートナーシップ」を行ったデンマークから12年後の2001年、オランダでは世界初となる「同性婚」が合法化された。
オランダはヨーロッパの中で最もリベラルな国として知られ、米調査会社ギャラップが発表する「同性愛者に優しい国ランキング」では世界1位に選ばれているほど。
同国では、毎年3000組が同性婚を行い、その他にも「パートナーシップ法」を利用する人も数千件に上っているそうだ。
2015年/世界初、アイルランドで国民投票により同性婚が可決
2015年5月、アイルランドで国民投票により同性婚法案が可決された。国民投票による同性婚を認めた国は世界初となる。
同法案に向けて、国外在住の投票権を持つアイルランド人たちが「1票の為」に帰国するムーブメントが起こり、大きな注目を集めた。
また、投票に向けてアイルランド国内では「同性婚にYESと言おう!」といったCM&広告が数多く登場し、俳優コリン・ファレルら歌手U2のボノなどといった、アイルランド人セレブリティも同性婚支持を訴えるなど、全世界が注目する国民投票となった。
2015年/日本初、渋谷区が同性パートナー証明書を発行へ
2015年3月、東京・渋谷区が日本初となる「同性パートナー証明書」を発行する条例を成立。
自治体による証明書のために法的効力は一切ないが、同性カップルへ向けた民間サービス(航空会社のマイル共有、各種保険制度、携帯キャリアの家族割等)が受けられる。
渋谷区を皮切りに、全国6つの自治体にて同様の証明書を発行している。(*2016年末時点)
2015年/アメリカ全州で同性婚を認める
2015年6月、全米最高裁判所の判決により、アメリカ全州で同性婚が合憲化された。
それまでアメリカでは、ニューヨーク州、カリフォルニア州、ハワイ州などの一部の州では合憲とされていたものを、晴れて全州で認めた歴史的な瞬間。
また、同性婚合法による経済効果は、約半年で約975億円($813million)に上るとした調査結果も発表されており、今後三年間で約3120億円($2.6billion)の経済効果を生むと予想されている。
2016年/イタリアにて同性婚に相当する「シビルユニオン」が可決
イタリアにて、同性婚に相当するパートナーシップ法案「シビルユニオン」が2月に上院にて可決され、5月に下院で承認された。
イタリアといえば、バチカン市国を構えるカトリック教国のため、ヨーロッパ主要国で唯一・同性婚が認められていない国だった。同国の歴史を塗り替える大きな出来事となった。
2016年/アジア初となるか??台湾にて同性婚審議が真っ只中
現在アジアにて、同性婚を認めている国はない。しかし、台湾がアジア初の同性婚可能国となりえるかもしれない。
2016年10月、台湾の与党・民進党が立法院(国会)に同性婚法案を提出。12月に司法法政委員会を通過し、2017年の本会議で審議される予定だ。
台湾の総統・蔡英文氏は以前より同性婚支持を表明しており、法案が可決される可能性は高い。
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