自分らしく生きる秘訣とは? ─ブルボンヌ×安冨歩スペシャル対談─

June 15th, 2016

アルファ ロメオのCSV(社会貢献活動)のテーマは、『Be Yourself(自分らしく生きる)』だ。

昨今、メディアにてLGBTが頻繁に取り上げられているが、まだまだ「自分らしく生きる」ことが出来ず、悩める人も多いのではないだろうか?

 

そこで今回は、著名女装パフォーマーとして活躍するブルボンヌさんと、現役東大教授でトランスジェンダーをカミングアウトされた安冨歩さんに、『Be Yourself(自分らしく生きる)』をテーマにしたスペシャル対談を開催!

 

セクシャリティや自己表現は違えど、様々な困難や葛藤を乗り越えた二人の「自分らしく生きる」秘訣とは?

 

 

ブルボンヌ×安冨歩/メイン

 

 

─トランスジェンダーだと気付くのに50年掛かった─

 

安冨 私はトランスジェンダーだと気付くのに50年掛かりました。

2年前に、ダイエットに成功して体重が10kg以上減ったんです。

お腹の贅肉が落ちてウェストが細いことが露呈して男物が合わなくなり、服を買い直す時に、「試しに女物のパンツを履いたら?」と連れ合いに言われて、履いてみたらサイズがピッタリ。

今までにない安心感があり、それを繰り返していくうちに自分の中にある女性に気が付いたんです。

私のカミングアウトは、「1・2歳ぐらいの女の子が地下室に閉じ込められて、50歳を過ぎてやっと表に出られた!」っていう感覚ですね。

 

 

ブルボンヌ 映画『リリーのすべて』のワンシーンのようですね!

ゲイのカミングアウトって、本人は自覚していながら、社会的なデメリットやリスクを考えてクローゼットでいたりするものですけど、安冨さんの場合は、女性物を着てはじめて、自分の中で気付きがあるっていうカミングアウトなんですね。

 

 

安冨 「カミングアウト」というのは、隠れた状態から人前に出てくる、ということですが、私の場合は、隠れた自分が、自分自身の方へと出てくるということになりますね。

 

それは両親に大きく影響を受けています。

うちの両親は、表面は民主主義者で、内面は靖国主義者なんですよ。

子供の時から「男らしく生きる」というレールを強要されてきました。私は体が弱かったのですが、当時70年代なのに「お前みたいな弱虫では兵隊に行けないぞ」って脅されたこともありましたね。

 

 

ブルボンヌ 兵隊に行けないぞって…

 

 

安冨 それがすごく嫌だったんです。日本社会に倣って生きる男性性を押し付けられて育てられた為に、自身のトランス性に気付くことすらできませんでした。

 

 

ブルボンヌ その話を聞いて思い出したのが、私のお店に当時60歳ぐらいの老紳士がいらっしゃったんですよ。

てっきり二丁目によく来られるベテラン紳士なのかなと思って接客したら、すごく初心者オーラを出されて、「え?どういうことだろう」と思っていたら、その方は子育ても終えられていて奥様とも離婚されていて、ここ最近のLGBT情報を知り、自分の中のジェンダーの違和感に気付かれたそうなんです。

「今は60歳だから、あとどれくらい楽しめるかなぁ〜」なんて言ってたら、その三ヶ月後に上品な老婦人になってお店に現れたんですよね。

 

あくまで私の印象ですけど、とくに男性ゲイは矛先が明確な性衝動によってイヤでも性指向に気づきやすい。トランスの方は、人によっては性自認の違和感に気づかないままという方も多そうですよね。

 

 

─トランスジェンダーは見た目のカミングアウト。ゲイ&レズビアンは言葉によるカミングアウト─

 

 

安冨 私は、人が生まれた瞬間から「男・女」に分ける行為を、人間社会を暴力的に秩序化する一番基礎にあたるものだと思っています。

 

純粋に「100%男」、「100%女」はいないと思っています。

しかしそれをはっきり「男・女」で切り分けられ、その次に好きになる対象が「異性」であると抑圧するのは異常な行為だと思いますね。

 

そうやって強引に100%にされた行為を「正常」だと定義付け、中間のグレーゾーンに立ち止まろうとすると「異常」扱いされてしまう。

 

 

ブルボンヌ トランスジェンダーの方には、ゲイがゲイであることをカミングアウトするのとは違って、見た目で相手に分からせるということも多いですもんね。

 

 

安冨 言われてみれば、自分がゲイであることを、見た目で表現するのは難しいですよね。

 

私の場合、周りの人が困惑していた時期もありましたが、2年ぐらいの長い時間をかけて見た目が移行していったので、周りは徐々に慣れていったと思います。「ある日突然女に!」というわけでは無いですね。

また、数年前まで目が細くへの字口で髭面だったのが、最近では「え、自分ってこんなに目が大きかったの!?」とビックリするぐらい表情が変わり、全体的に優しい雰囲気になりましたね。

 

 

ブルボンヌ×安冨歩2

 

 

ブルボンヌ 見た目の変化で結果「そうなのね」と伝えるカミングアウトって、ある意味じわじわ慣れてもらえる利点もあるわけですね。

ゲイの場合、今までストレートの同僚に恋愛の話を合わせてきたものが、ある日突然「僕はゲイなんですよ」ってカミングアウトされたら、言われたほうの戸惑いが大きそう。実はバレバレだった場合を除いて(笑)。

 

 

安冨 ゲイ&レズビアンの人は言葉でしか他人に表現できない難しさがありますよね。

 

 

ブルボンヌ 私もずっとゲイ雑誌の編集者だったのに、30代前半まで親にカミングアウトできなかったんですよ。

仕事内容を聞かれてもなんとなくボカしていました。実家が岐阜なんですが、離れている親にとって急にカミングアウトの言葉だけを投げると、やり逃げじゃないですけど、びっくりされてアフターケアができない。

 

なので、カミングアウトしやすい環境を整えようと思い、両親を連れて1週間のタイ旅行に行ったんです。そこでカミングアウトして親が動揺するようだったら、南国で浮かれた気分だし、ゲイがわんさかいる環境で慣れさせようと思ったんですよね。

 

そしたら、初日の夕食でのカミングアウトを「ああ、そうだったんだ」って割とすんなり受け入れてくれて、その日の夜からバンコクのゲイクラブで一緒に踊ってましたからね(笑)

 

 

安冨 すごく素敵な両親ですね!私の場合はトランスジェンダーをカミングアウトするときには親と縁を切っていました。

私が離婚した時に、母親は猛烈に反対したので、縁が切れてしまったくらいですから、トランスであることなど受け入れるはずもありません。

 

先ほど言ったように靖国主義者な親だったので、その関係を表すと「刑務所の面会場」のようなイメージ。親子の間にはとてつもない壁がある。

もし縁を切らなければ、こうやって自分らしく生きることが出来なかったと思いますね。

 

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