ゲイたちの恋愛お悩み相談コーナー。
今回は、よくある「交際半年を超えられない」「関係が長続きしない」問題を取り上げたい。
以前の読者アンケート > でゲイたちの最長交際歴を調べたところ、1年未満の短い交際か、10年前後の長い交際かに真っ二つに分かれている。
この差は何だろう?
長く付き合うにはどうすればいいのだろうか?
今回は交際半年を抜け出すヒント、というよりは強いパートナー関係をつくるヒントについて考えていきたい。
今回は、心理学の有名な理論を参考にして考えてみたい。社会心理学者マースタイン氏が提唱したSVR理論だ。
SVR理論をかんたんにいうと「恋愛には3つのフェーズがある」というもの。3つは以下。
①外見(Stimulus)
出会い〜交際に至るまで。
相手の見た目、社会的ステータスなど、相手の外見に刺激を受けている状態。
②価値観(Value)
デート中〜交際中。
お互いの価値観が似ていると、一気に距離が縮まる。
③役割(Role)
結婚などの長期のパートナーシップ。
お互いに役割が生まれ、補い合う関係。
恋愛は①→②→③のようにフェーズを経て、次第に絆が深まっていく。
この3つの頭文字をとってSVR理論という。
この理論から得られるヒントは2つ。
・外見の魅力は最初だけ
・長く付き合うには「役割」を見つける
一つ一つ説明していきたい。
恋愛というと、外見の魅力(顔や体)を高めようと努力しがち。
外見の魅力は出会い〜付き合いまでの初期フェーズにおいては有効だが、恋愛のフェーズが進むにつれて、外見の重要度はどんどん下がっていく。
つまり、外見は最初の出会いから数回で落ちる(慣れる)ため、それよりも重要なのが「価値観」のフェーズなのだ。
みなさんも経験あるはず。
見た目がタイプで付き合ったはいいものの…価値観が合わずに終了するパターン。
価値観といっても色々ある。例えば──
ライトなもの
・食べ物の趣味
・休日の過ごし方
・話題が合う
・笑いのポイントが一緒、など
ヘビーなもの
・金銭感覚
・人生観
・仕事観
・政治的思想、など
長く関係を築く上で、この「価値観」フェーズを乗り越えられるかがカギ。
どうすればいいの?
理想は価値観が合う人と付き合うのが一番。しかしすべての価値観が一致する人間はこの世に存在しない。
なので、「これだけはハズせない!」という、価値観の優先順位を決めるとわかりやすくなる。
例えば──
■優先度高い
・金銭感覚
・人生観
■妥協してもOK!
・食べ物の趣味
・休日の過ごし方
・仕事観
・政治的思想
このように優先順位が分かっていると、次に進むか判断しやすい。
自分の価値観を把握できたら、次は相手の価値観の優先度も見極められると良い。
「(この人はこの価値観を大事にしてそうだな…)」と観察して、合わせられる範囲で合わせていくのだ。
また、「共感を誘う」のもオススメ。
人は好きなものが似ていることで共感が生まれ、「価値観が合っている」と感じやすい。
共感を誘うのであれば、一緒に体験をするのがオススメ。
たとえば、ゲーム(ドラクエウォークなどの2人で一緒にできるもの)、スポーツ(2人で同じスポーツを始める)など、お互い共有してることが多いければ多いほど親密さが増す。
これは、前回の記事「10年以上付き合うゲイカップル」> にも出た回答だ。
相手の事が好きで関係を深めたい!と思っているのであれば、共感を誘ったり、相手が大事にしている価値観に合わせてみよう。
そして自分自身の心構えとしては、優先度の高い価値観だけを重視して、あとは気にしないこと。
相手への理想だけが高くなってしまい、妥協できない大人になってしまう。
SVR理論の3つめ「役割」。
長く付き合うパートナーに欠かせないのがこの部分だ。
簡単に言うと、お互いが補い合う関係のこと。
お互いの役割を理解し、得意・不得意な部分を補いあうことで強い絆が生まれる。
例えば、AさんとBさんが付き合っていたとする。
Aさんは論理的で真面目な性格に対して、Bさんは行動力があり楽観的な性格。
行動力のあるBさんからすると、相方の論理的な助言はとても助けになる。
逆に論理的思考が強く完璧主義なAさんにとっては、Bさんのゆるい思考が羨ましくもあり、良い刺激になっている。
一見するとタイプ違いの2人だが、お互いの役割がハッキリしていることがわかる。
これは単純な例だが、長く続いているカップルを観察すると、お互いの役割が分かれていることが多い。
どうすればいいの?
逆をいえば、長続きしないカップルとは役割が作れていない可能性が高い。
一度、「相手にとって自分はどんな役割があるだろう?」を考えて、紙に書きだしてみよう。
相手が求めていて、自分ができることがあったら、どんどん実践してみよう。
そして相手にも、自分が苦手なこと、助けてもらいたい事があれば伝えてみよう。
弱い部分を見せることは勇気がいるが、人は強い部分よりも弱い部分に魅力を感じる傾向があるので、距離がグッと近づくかもしれない。
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今回は心理学の『SVR理論』をベースにして、長く付き合うためのヒントを考えてみた。
とくに3つめの「役割」は、参考になった人も多いのではないだろうか?
よく「違うもの同士が惹かれやすい」と言われるが、これは多くの場合「外見」を指している。
SVR理論に当てはめると(役割が)違うもの同士が惹かれやすいといった方が適切かもしれない。
ぜひ、悩める人は実践してみて。