GENXYエディターのUechiが、話題のLGBTテーマの映画を解説していくコーナー。
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エディターのUechiです。
2月は映画の祭典「アカデミー賞」がありますね。映画ファンには賞の行方が気になるところですが、2・3月はLGBTテーマの映画が多く公開されます。
そこで、2・3月に公開を予定しているLGBT映画4作品をピックアップし、作品の見所と感想を含め解説していきます。
女性同士の愛を描いた話題作『キャロル』
ケイト・ブランシェット×ルーニー・マーラがレズビアン役を演じ、オスカー監督トッド・ヘインズがメガホンを取った話題作『キャロル』。
50年代のニューヨークを、クラシカルなファッションと当時のヒット曲で優雅に描いており、トッド・ヘインズの代表作『エデンより彼方に』を彷彿させる優美な作品。うっとりするような世界観の中に、レズビアン受け抜群のケイト様と清楚なルーニーがこの上なく映えます。
見所はやはり二人の演技。同性愛が禁じられていた時代性を反映する抑制された演技に、濡れ場の思い切りも見事。鑑賞後も甘美な余韻に浸ってしまう、そんな作品でした。
同作はアカデミー賞9部門ノミネートを果たしている最有力候補。受賞の行方が気になりますね。
『キャロル』は、2月11日(木・祝)より劇場公開されます。
エディ・レッドメインがトランスジェンダー役に『リリーのすべて』
『博士と彼女のセオリー』で英米オスカーを獲得したエディ・レッドメインが、トランスジェンダー役を演じる話題作『リリーのすべて』。
実力派俳優の名をほしいままにしたエディのトランスジェンダー役は、「もはや彼しか演じれないのでは」と思うほどにハマり役。
特筆すべきは物語前半、これまで男として生きてきた主人公が、眠っていた自我「リリー」を呼び起こすシーン。名監督トム・フーパーが創り出す繊細で美しい描写にハッとさせられます。これ以上はネタバレになるので伏せますが、文字通りエディの体を張った演技は必見です。
また、そんなエディを支える妻ゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)も素晴らしい演技を見せています。夫が性別変更を望み妻が支えるという設定は『わたしはロランス(2012)』と重なりますが、本作の方が実話だけにリアルです。
トランスジェンダー映画の枠にはまらない、セクシャリティを超えた純粋な愛を描いている本作は、是非とも見て欲しい一本です。
『リリーのすべて』は3月18日(金)より劇場公開されます。
中年ゲイカップルのリアルを描いた『人生は小説よりも奇なり』
39年間連れ添ったゲイカップルが、同性婚を機に思わぬ危機に直面する映画『人生は小説よりも奇なり』。
同性婚で異性カップル同様の幸せを掴んだかのようにみえたが、思わぬ転落人生に陥っていく中年ゲイカップル。長い年月の中で培った愛は、果たしてこの苦境を乗り越えられるのだろうか…?
米ニューヨーク州で同性婚が合憲した2011年を舞台に描かれている本作。
メディアなどが報じる「同性婚」は、通常光の部分のみを映すことが殆どですが、この作品では同性婚による陰の部分をリアルに描き出しています。
また、長年のパートナーをもつオープンリーゲイ監督のアイラ・サックスがメガホンを取っていることから、彼のパーソナルな部分を反映したリアリティー溢れる描写に、共感する人も多いのではないでしょうか。
『人生は小説よりも奇なり』は、3月12日(土)より劇場公開されます。
独身女とゲイ友のドタバタ劇、ゲイのハートを掴むラブコメ『これが私の人生設計』
独身キャリアウーマンとゲイ友のドタバタコメディー映画『これが私の人生設計』。
建築家として海外で活躍していた主人公・セレーナは、故郷に戻って来たものの、イタリアの建築業界は男社会の為に、ろくな仕事にも就けないまま貯金も底をついてしまう。そんな時、公営住宅の公募があることを知ったセレーナは、ゲイ友に自分の身代わりとして応募してもらい、自分はアシスタントでコンペに臨むのだが──。
男性社会が色濃いイタリアを舞台に、主人公セレーナがゲイ友とタッグを組み、逆境を乗り越え成功を掴み取るサクセスドラマ。
女性の社会進出の問題を提起し奮闘するアラサー主人公に重なる人も多いハズ。
笑いあり涙あり、快活なコメディー要素と人生のヒントが散りばめられた珠玉のラブコメは、ゲイ心にヒットすること間違いなしです。
『これが私の人生設計』は、3月5日(土)より劇場公開されます。