人々がカミングアウトをする度に、カミングアウトストーリーが生まれる。
しかし、その物語の結末は、全てがハッピーエンドとは限らず、むしろ悲しいものも少なくない。
だからこそ今回は、アメリカに住むごくごく普通の父親が『自分の息子がゲイであることに気づいてしまった時』の感動的なストーリーを紹介したい。
以下は、父親がゲイのためのQ&Aサイトに投稿した内容である。
「今朝、私の長男がリビングルームのテーブルにケータイを忘れていった。ケータイのバイブが全く鳴り止まないから、「どうしたのだろう?」と気になってケータイを覗いてみると、、息子と付き合っているらしい同じ高校の少年からたくさんメッセージが届いていたんだ。私は、これまでこういう場面に全く遭遇したことがなくて」
「あらかじめ伝えておくと、私はアーカンソー州在住の37歳で、2人の息子がいる。1人は16歳で、もう1人は数ヶ月後に17歳になる。もちろん、2人に何があっても私は2人を愛しているよ」
「今回、私がここに投稿することを決めたのは、息子がゲイだと知ってしまった私に、みんなのアドバイスが欲しいからなんだ」
「妻は息子がゲイであることを知らないし、当の本人も私が、息子がゲイだと知っていることを知らない。今夜この投稿をして、明日仕事から帰宅した時に、アドバイスが届いていたら嬉しく思う。もし、この投稿が場違いだったら申し訳ない。『ゲイ 質問』と検索したらこのサイトにたどり着いたんだ。困っている父親を助けてもらえたら嬉しいよ。よろしく」
2月10日にこの投稿がされると、サイトには多くのアドバイスが寄せられた。
「息子に直接アプローチするのは避けて、受け入れる姿勢を見せ続けてみるのはどう?」「近くの『LGBTの親の会』に参加してはどうかしら?」などだ。
数日後、父親は同じサイトに再び投稿した。
「今日は、ドラマチックな1日だったよ。バレンタインが迫っているから、さりげなく息子に誰と過ごすのかどうか聞いてみたんだ。すると、息子が少し居心地悪そうな表情を見せたから、「どうした?」って聞いてみたんだ。親なら誰もがするようにね。息子は、私に「何を話しても受け入れてくれる?」と聞き返してきて、それから20分ぐらい私が信頼できるかどうか探られたよ。結局、息子は自分がゲイであることをカミングアウトしてくれて、付き合っていることも教えてくれたんだ。もちろん、全て知っていたことだけど。妻ともう1人の息子もその場にいて、みんながとても幸せな気持ちになったよ」
「息子の彼氏は、17歳の細身のブロンドの少年で、すでに親にもカミングアウトしているみたいなんだ。息子が、私と妻に彼氏と電話で会話をさせてくれて、彼氏が優しそうだったから、嬉しくなったよ。妻と彼氏の母親も電話で話して、お互いを知るためにさっそく会うことにしたんだ。息子と彼氏は、同じ日に映画館でデートをするらしい。その日は、バレンタインデーだからね」
「全てがうまくいって、本当に嬉しいよ。息子の幸せが私の幸せだから。息子の幸せそうな姿を見ていると幸せな気持ちになるのさ」
非の打ち所がない素晴らしい父親!!
このストーリーは、海外のLGBTサイトで拡散され、大きな話題と賞賛を呼んでいる。
この親子のように、全てのカミングアウトストーリーが、ハッピーエンドになることを願って───。