日本大学アメリカンフットボール部の一連の不祥事が、ここ数日テレビやネットで大きく取り沙汰されている。
謝罪会見を行った宮川泰介選手もそうだが、本来の議論とは別のところで注目されている人物がいる、そう日大アメフト部のコーチだ。
コーチは宮川選手に反則指示をした張本人であり、批難を浴びるのもやや致し方ないともいえる。しかし今回ネット民たちが騒いでいるのは、コーチのゲイAV出演疑惑のことだ。
2013年8月、週刊誌「フライデー」によって暴露された日大アメフト部コーチのゲイAV出演疑惑。
今回のアメフト部の騒動で、過去記事をネット民が掘り起こし、ツイッターやニコニコ動画、2chで出演動画をバラまいているのだ。
コーチが起こした今回の騒動は然るべき対応を求められるが、過去のAV出演疑惑は全くの別モノ。
しかしながら、何か不祥事を起こした人間は「みんなで叩いていい」という謎のネットルールが存在する。
特にここ数年の芸能人の不倫問題なんかがそうだが、ネット上の集団リンチも甚だしい。
まず前提として、AVに出ることが悪いことであるということは一切ない。出演自体は至極本人の自由であり、むしろ我々の性生活に潤いをもたらしていることに間違いない。
しかしながら今回の騒動で浮き彫りになったことで、ホモネタとして嘲笑が集中している。
また今回のような著名人、アスリートのゲイAV出演で必ずと言っていいほど話題になるのが「野獣先輩」をネタにした淫夢厨*の存在だ。
野獣先輩もおそらく一般人でたまたま出演したゲイAVがネタにされ、数年に渡りツイッターや2chでネタ(揶揄したコラ画像)にされ続けている。
関連記事 >> 元ゲイビデオに出演した男性をネット番組が捜索へ。ネットで大炎上
その加熱ぶりはネットを抜け出し、TVのワイドショーでも「ネットで話題のキーワード」として登場するほどだ。
そして例に漏れず今回のコーチも、早くも淫夢厨のネタにされている。
ゲイ当事者からすると反吐が出るほどの新たな差別・偏見を生む負の連鎖。AV出演を茶化したり笑いに変えるのはもう辞めないだろうか?
コーチの件と野獣先輩の件、話題にしているのはノンケだけではない。事実、ゲイもいるのだ。
ツイッターを見ると「コーチのAVやばい」「動画見たけど最高」などといった発言をしている人を多く見かける。
コーチを揶揄するというよりは、動画の感想を発言している人が多い。
「え、淫夢厨と違って揶揄してないからよくない?」と感じるかもしれないが、そうではない。ネットで晒すことで更なる淫夢厨を生み、AV出演を知らない層にまでこの事実が知れ渡る手助けをしているのだ。
ゲイAVは個人で観て楽しむものであって、ネット上に晒すものではない。
本人に晒しているつもりがなくても、SNSにアップするということは拡散を助長していることと同じなのだ。
次のページ|日本のゲイAVは"世界的に貴重"な存在