2016年1月10日、この世を去った世界的スーパースター、デヴィッド・ボウイ。
歌手だけでなく俳優としても活躍したデヴィッド・ボウイの1976年の初主演作『地球に落ちて来た男』の追悼上映が決定した。
美しき孤高のロック・スターは、俳優としてもスクリーンで異彩を放つ存在であった。
『地球に落ちて来た男』はそんな彼の初主演作。ウォルター・テヴィスの同名SF小説を、『美しき冒険旅行』『赤い影』のニコラス・ローグ監督が映画化し、新天地を求めて地球に降り立った宇宙人をボウイが演じている。
監督のニコラス・ローグは初監督作品『パフォーマンス』(1970年)ではミック・ジャガー、『地球に落ちて来た男』の次作『ジェラシー』(1979年)ではアート・ガーファンクルを主演に迎えるなど、ミュージシャンの身体を映画の中心に置くことで、「映画」を作り変えてきた。俳優ではない「異物」としてミュージシャンたちの身体があることで、映画は不安定になり、そこに運動が生まれた。まさにこの『地球に落ちて来た男』の物語こそ、ニコラス・ローグの映画づくりそのものだったのだ。
当初、ボウイはこの映画のための曲も用意していたが、あくまでも俳優として、被写体としてのデヴィッド・ボウイを必要としていた監督のニコラス・ローグからの要請もあって、演技に全力を注ぐことになった。
俳優に専念することになったボウイの代わりに音楽を担当したのは、ママス・アンド・パパスのリーダー的存在であったジョン・フィリップス。本作のサウンドトラックには、当時のストーンズのギタリスト、ミック・テイラー、日本人のパーカショニスト、ツトムヤマシタなどが参加。劇中の挿入曲として、ルイ・アームストロング「ブルーベリー・ヒル」、ロイ・オービソン「ブルー・バイユー」、アーティ・ショウ「スターダスト」など、懐かしの名曲が印象的に使われている。
偉大なるスーパースターの勇姿がふたたびスクリーンで蘇る本作。この機会をお見逃しなく。
『地球に落ちて来た男』
7/16(土)よりユーロスペース、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー
監督:ニコラス・ローグ
出演:デヴィッド・ボウイ、リップ・トーン、キャンディ・クラーク、バック・ヘンリー 、バーニー・ケイシー、ほか
原題:The Man Who Fell To Earth 1976年/イギリス/カラー/139分/デジタル
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提供:京都みなみ会館、boid 配給:boid