過去10年間、ドラァグレースは度々批難を受けてきた。
序盤のシーズンでは、トランス女性の差別用語である「She-Male シーメール(女男、ニューハーフなどの意)」をもじったコーナー「You’ve Got a She-Mail」があったが、LGBTコミュニティから「トランス差別だ!」と批難を受けて撤廃。
また、当初はゲイ男性しか出場資格がなく、トランス女性は出場できなかった。
しかし、ペパーミント、ジア・ガン、カルメン・カレラなど、同番組には多くのトランスジェンダーのクイーンが出場している(彼女たちは番組後にトランスジェンダーだとカミングアウトしている)。
ドラァグクイーンの多様性を問われたル・ポールは、出場規約を変更。
オールスター4のジア・ガンから、公式にトランス女性が出場できるようになった。
米TV界の最高峰「エミー賞」を4度も受賞するなど、ドラァグレースが残した功績は数知れないが、一番の功績は輩出したクイーンたちが世界中で活躍している点だろう。
同番組では、11年間で100名以上のクイーンを輩出してきた。
ドラァグ文化に光を当て、ハリウッドのメインストリームに乗せたことで、これまでゲイクラブ以外の活動の場が少なかったドラァグクイーンたちに様々な活躍のステージを与えた。
例えば、ヴァイオレット・チャチキは、プラダやモスキーノなどのハイブランドのキャンペーンに起用され世界的に活躍しているし、アクエリアとミス・フェイムは、世界最大手のモデル事務所IMGと契約するなど、ファッションやビューティー業界で大活躍。
また、ビアンカ以外のすべての優勝クイーンは音楽アルバムをリリースしており、ビアンカとアリッサ・エドワーズはNetflixで独自の番組を持っている。
それ以外にも、多くのクイーンたちが欧米をはじめ世界中でツアーを行なっている。
このように、ドラァグレースがエンタメ業界に与えたインパクトは大きく、11年目を迎えてもなお勢いが衰える様子はない。
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