HIV陽性者であっても正しい治療を続けていれば、他の人へ移すリスクはゼロだということが、最新の調査結果で明らかになった。
英医学誌ランセットにて発表された論文によれば、例えHIV陽性者がコンドーム無しでセックスしたとしても、他人へ移すことはゼロだと述べている。
ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジの研究チームが行なった研究によると、欧州のゲイカップル約1000組を対象に、8年もの長期にわたり調査。
カップルのうち、1人はHIV陽性者で継続的なHIV治療(抗レトロウイルス療法)を受けており、もう1人はHIV陰性。
1000組のカップルを8年間観察したところ、コンドーム無しのセックスが合計76,088回も行われたが、HIV感染はなんと0だったという。
ただ、残念なことに15人がHIV感染したが、この15人を遺伝子検査したところ、パートナーとはHIVの型が異なっていたことが分かった。つまり、パートナー以外とセックスして外部からHIVウイルスをもらったことになる。
上記のことから、HIV陽性者であっても正しい治療を続けていれば、たとえゴム無しでも相手に移すことはないと科学的に証明された。
研究の共同執筆者であるアリソン・ロジャー氏は、「これは、ウイルスが検出不可能な量であればHIVは感染不可能であるというメッセージを裏付ける結果です。この強力なメッセージは、HIV感染を予防することでHIVの流行を止め、HIV感染者の多くが直面するスティグマや差別の問題に取り組む上で役立ちます」と述べている。
継続的なHIV治療(抗レトロウイルス療法)を続けていると、体内のHIVウイルスが減っていく。
このウイルスが検出できないレベルにまで下がれば、事実上、HIV陽性であっても陰性の人とほぼ変わらない状態になる。これを「検出限界以下」という。
「HIV陽性でも治療をしていれば移さない」という事実は、まだまだゲイたちの間で知られていない。
しかし今回の研究結果からわかるように、正しい知識を知ることが、HIVの偏見・差別をなくすことにつながっていく。
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