『プラダを着た悪魔』、『セックス・アンド・ザ・シティ』で衣裳デザイナー&スタイリストとして活躍したパトリシア・フィールド。
そのパトリシア・フィールドが集めたアートコレクションを紹介する展覧会『ハウス・オブ・フィールド展』が、山梨にある「中村キース・ヘリング美術館」で6月3日から開催される。
パトリシア・フィールドは1942年ニューヨーク生まれ。
『プラダを着た悪魔』、『セックス・アンド・ザ・シティ』らで世界的有名に。最近ではNetflixドラマ『エミリー、パリへ行く』のスタイリングも担当。
衣裳デザイナーおよびスタイリストとして、アカデミー賞衣装デザイン賞ノミネート、エミー賞衣装賞を受賞している。
フィールドは、24歳で初めて自身のブティック「パンツ・パブ」をオープン(のちに「パトリシア・フィールド」に変更)し、場所を移しながら「ハウス・オブ・フィールド」と呼ばれるコミュニティを形成した。
この「ハウス」とは、70年代以降のニューヨークのアングラシーンにて、黒人やラティーノのLGBTQ+コミュニティで、“従来の枠組みに囚われず生活を共にする集団がその結束を示す言葉”として使われてきた。
現在もこの「ハウス・オブ・フィールド」は、パトリシア・フィールドを中心に彼女のブティックに所属するスタッフやデザイナー、アーティスト、美容専門家、彼女を慕う人々のコミュニティとなっている。
作品を購入することでアーティストたちを支えたフィールドには、アーティストたちからもポートレートが贈られ、それらはブティックの壁やショーウィンドウ、試着室の扉を彩ったという。
しかしこのブティックは2016年春に閉店。同年、フィールドのアートコレクションの主要作品約190点が、中村キース・ヘリング美術館に収蔵されたという経緯がある。
本展では、フィールドが半世紀をかけて集めたコレクションから、日本初公開作品を含むペインティングや写真、オブジェなど約130点が展示。
人間の欲望をポジティブなエネルギーに変換するかのようなパワフルな作品群は「自分らしく生きることとは何か」を問いかけ、本展を通してパトリシア・フィールドの歩んできた道のりや想いを感じることができる。
また会場では、ネオンサインやマネキンなどブティックで使用されていた小道具を用いたインスタレーションによって、個性豊かなハウス・オブ・フィールドの人々とアートであふれたブティックの雰囲気を再現。
ダウンタウンのクラブやアートシーンを記録したビデオグラファー、ネルソン・サリバンによる1980年代中期のブティック「パトリシア・フィールド」の映像が常時放映され、パトリシア・フィールドやブティックのスタッフ、買い物客らの会話が響くなかで作品を鑑賞できるという。
会期は2023年6月3日〜2024年5月6日。
山梨にある、世界で唯一キース・ヘリング作品のみを所蔵した「中村キース・ヘリング美術館」で開催される。
アート好き、ファッション好きにはぜひ訪れてほしい展覧会だ。