史上初めて、HIVウイルスに感染した生物から、HIVウイルスのDNAの除去に成功したことが分かった。
同研究は、英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。
米テンプル大とネブラスカ大の研究チームは、マウスを使った実験にて、HIVの増殖を抑える抗ウイルス薬の作用が長く続くよう工夫。
その上で、遺伝子を効率良く改変するゲノム編集技術を使い、ウイルスを体内から完全に取り除くことに成功。
このHIVを除去できたマウスは全体の約3割程度だったものの、HIV完全除去は史上初めての快挙だ。
研究の主執筆者の一人であるカメル・ハリリ氏は、「今回の研究はHIVが治療可能な病気であることを初めて示した第一歩です」「結果にはかなりの自信があり、私たちが開発した技術と方法を使って、小動物からHIVウイルス除去と呼べるものを達成できたことを嬉しく思います」と、喜びの声を語っている。
研究チームはさらなる技術を改善を行い、すでにヒト以外の霊長類で実験に乗り出しているそうだ。
HIVウイルスは非常に頭が良く、体内に侵入すると積極的に自分のコピーを作り増殖。ウイルスは体内のリンパ及び他の組織に潜伏し、カラダを守る免疫細胞が防御力を落とすと潜伏したウイルスが再度猛威をふるうシステムになっている。
そんな恐ろしいウイルスの猛威を、現在HIV治療に使われる「抗ウイルス薬」は食い止めることができるほど、現在の医療は進歩している。
たとえHIV陽性であっても、正しく治療を受けていれば生涯エイズ感染することはない。
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そんな「感染しても死ぬことはない病気」だったHIVが、もしかしたらあと数年で「治る病気」になるかもしれない…!
今後の研究に全世界が注目している。