旅ライターのがぅちゃんです。
ゲイ向けでは無いけれど…ゲイたちにおすすめしたいエッジの効いたお店を紹介する連載企画〈GAYめし〉。
今回は、東京・渋谷の神泉(しんせん)より、地中海系・中東料理のレバント料理を提供する創作バル「クンバ・ドゥ・ファラフェル」を紹介します。
カルロス・ゴーンでも話題になったレバノンという国がありますが、レバノンがある地域は「レバント地方」ともいいます(歴史地理学的名称)。レバント地方は、中東の東地中海沿岸を指し、イスラエル、パレスチナ、シリア、ヨルダン、トルコなどを含みます。
レバント地方の料理は「レバント料理/Levant cuisine」と総称され、日本語だと「地中海系中東料理」とも解釈できます。
日本で「中東料理」「地中海料理」と総称される料理は、レバント料理を指していることも多いです
レバント地方の国の郷土料理は共通しているため、「レバノン人の母国料理がイスラエル人の母国料理とかぶる」といったことが普通に起こります(料理の発祥地が明確でなかったりもする)。
レバント地方の国の料理は「レバント料理」で共通している、と解釈しても、乱暴すぎることはないでしょう。
レバント料理の中でも特に有名なのが「ファラフェル/Falafel」と「フムス/Hummus」です。
中東料理やアラブ料理のお店には、ほぼ必ずある料理です。
ファラフェルは「ひよこ豆のコロッケ」とも言われ、ひよこ豆、クミン、コリアンダーなどを潰して混ぜて揚げます(日本のカレーに含まれる香辛料とも共通する風味)。
フムスは「ひよこ豆のディップ」と説明されることが多く、ひよこ豆、レモン汁、中東のゴマペースト「タヒーニ」などを混ぜて作ります。お店の数だけ個性があると言われます。
レバント料理の代表と言えるファラフェルとフムスをメインに提供しているのが、渋谷の神泉にある「クンバ・ドゥ・ファラフェル/Kuumba du Falafel」。
「中東」とか「レバント」とかを主張していないので、「創作レバント料理店」は仮の定義にすぎませんが、メニューなどから匂うアイデンティティのようなものがあります。
この状況を、ゲイバーと言ってないゲイバーで例えると、店内に虹色のアイテムが溢れ、TVで「ル・ポールのドラァグ・レース」を垂れ流している、のようなことです。
…にも関わらず、「ゲイ」とか「組合」とかに言及してない酒場。そういう奥行きのある面白さが、クンバ・ドゥ・ファラフェルにはあります。
ちなみに「クンバ・ドゥ」は、スワヒリ語で「クリエイティビティ・オブ」といった意味があるそうです。
スワヒリ語は東アフリカで話される言語で、アラビア語の影響を強く受けていますが、中東や地中海には直接関係しない言葉です。
「なんだこのお店は…」と考えさせられてしまい、味わい深いとはまさにこのこと、と言わんばかりの体感を得ました。
「レバント料理でおなじみのあのフムス」とは一線を画すビジュアルです。でも味わうと、あのフムスから逸脱していないとわかり、感動的です。
本場でのフムスはピタパンにつけてディップとして消費するのですが、クンバ・ドゥ・ファラフェルのフムスはポテサラのような食感で、単品としてぐんぐん食べられます。
ファラフェルサンドは、ファラフェルをピタパンで挟んだ料理。レバント地方の国では、ストリートフードとしても定番です。
一般的にどの国でも、ファラフェルがこれ見よがしにディスプレイされることが多いですが、クンバ・ドゥ・ファラフェルではファラフェルが見えなくてかっこいいと感じました。
葉菜類がどっさりしたビジュアルが独特です(イスラエルでは、キュウリ、トマト、紫玉ねぎの角切りサラダが含まれることが多い)。
大葉(ジャパニーズバジルとも呼ばれる)が日本ならではで、理にかなったクリエイティビティだと思います。
ピタパンが薄めで、ほおばると具を全力で感じられる食感なので好みでした。砕かれたファラフェルが含まれており、それらの風味は完全にファラフェルです。
クンバ・ドゥ・ファラフェルは、「レバント料理を母国料理とする地域の最先端フードバー」と言わんばかりの美味しさで、そういう意味で現地料理と言えるのではと感じます。
全体的に、ちょっと先に行ってる感じがよかったです。
あとなにより、料理が美味しいです。1〜2人で、ランチとかに使いたいです。
下に、オーソドックスなレバント料理が食べられる東京のお店を記載したので、参考までにどうぞ。
食べ比べなどしても面白いと思います!
池袋『パルミラ/Palmyra』
十条『ビサン/Bisan』
広尾『タイーム/Ta-im』