トッド・ヘインズ(Todd Haynes)
ヘインズは、過去25年間に渡ってクィア映画にとって欠かせない作品を何度も世に送り出してきた。
「ポイズン(1991)」でデビューを飾り、「ベルベット・ゴールドマイン(1998)」ではジョナサン・リース=マイヤーズをバイセクシャルの伝説ロック歌手役として起用し複数の映画賞を受賞、2002年の「エデンより彼方に」では1930年代から1950年代にかけて活躍をした映画監督であるダグラス・サークの撮影手法が用いた。
ヘインズの最新作「キャロル(2015)」は、ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラーを起用して、1950年代における2人の女性の恋愛を描いた。
同作は、英国映画協会(BFI)が選ぶ『映画史上最高のLGBT映画ベスト30』にて歴代1位に輝いている。
ニシャ・ガナトラ(Nisha Ganatra)
ガナトラは、1999年に公開された「スパイシー・ポップコーン」において監督、脚本、主演の三役を務め、インド系アメリカ人レズビアン女性が自身のセクシャリティと民族的アイデンティティの間で葛藤する様子を見事に映像にした。ニーシャが演じるリーナは、姉妹のために代理母になりそれが原因で彼女のリサとの関係に亀裂が生じてしまう。ガナトラは、その他の映画製作にも携わっているが、テレビ業界で活躍することが多いようだ。
ルカ・グァダニーノ(Luca Guadagnino)
グァダニーノは、英女優、ティルダ・スウィントンを自身の作品で頻繁に起用している。
グァダニーノとスウィントンは、1999年の「The Protagonists(原題)」、2010年の「ミラノ、愛に生きる」、そして2015年の「A Bigger Splash(原題)」においてこれまでに3回タッグを組んできた。スウィントンの性別を超越した他に類を見ない美しさは、グァダニーノの映し出す感情と性に素直な世界にピッタリだ。
グァダニーノの2017年公開予定の次回作「Call Me by Your Name(原題)」は、「デスパレートな妻たち」や「ゴッシプガール」に出演したアーミー・ハマーと、ティモシー・シャラメを起用し、1980年代のイタリアを舞台に17歳の少年と年長者の恋物語を描いている。
オーロラ・ゲレロ(Aurora Guerrero)
ゲレロが監督を務めた長編映画は2012年の「Mosquita y Mari(原題)」のみである。「Mosquita y Mari」は、ヨランダとマリという成人を迎える性格が正反対の2人が、恋に落ちる映画だ。ゲレロには、ラテン系の人々の権利を訴える熱心な社会活動家の一面もある。
彼女の二作目の長編映画「Los Valientes(原題)」はまだ公開されていないが、映画は不法移民をしたゲイのメキシコ人を扱っているという。
アラン・ギロディ(Alain Guiraudie)
ギロディは映画製作を始めた1990年代から、LGBTをテーマにしてきた。彼は、「湖の見知らぬ男(2013)」を発表して一躍脚光を浴びた。
映画は、湖のほとりの野外発展場で人を殺してしまったミシェルと、その殺人について知りながらミシェルにハマっていくフランクのアバンチュールを描いている。「湖の見知らぬ男」は、同年のカンヌ映画祭のLGBT部門「クィア・パルム」を受賞した。
エイタン・フォックス(Eytan Fox)
イスラエルの映画監督であるエイタン・フォックスは物議を醸しかねないテーマにも果敢に挑むことで知られている。
2002年に公開された「ヨッシー&ジャガー」は、同性同士の軍人の愛を描いた。また、2006年に公開された「バブル」ではイスラエル人とパレスチナ人の恋愛を描いた。
アンドリュー・ヘイ(Andrew Haigh)
アンドリュー・ヘイが2011年に発表した映画「ウィークエンド」は、2人の男性の48時間の関係を描き、世界中で多くの賞を受賞した。
ヘイの才能は、HBOのゲイのTVドラマ「ルッキング」でも遺憾なく発揮されている。
また、ヘイの最新作「さざなみ(2015)」では、イギリスの大物女優シャーロット・ランプリングが主演を務め、ベルリン国際映画祭を始めとする世界各国の映画祭にて主演女優賞を受賞した。
アンドリュー・ヘイのインタビューは、こちらの記事でチェックしてみて。
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