「あなたにとって、愛とは、セックスとは、何ですか？」

本来、人も愛もセックスも多様であり、個人の恋愛を他人がジャッジするものではない。

「正面×愛とセックス」は、”普通に”生きるLGBT当事者の愛とセックスについて、赤裸々に語ってもらうインタビュー連載です。

── 20代　ゲイ　会社員 ──

　ーあなたにとってセックスとは何ですか

誰とでもできる、貞操観念はめちゃめちゃ低い。 セックスした人たちと付き合う気は無いんだけど、キープしておきたいって気持ちは有るんだよね。ズルい考えだけど。何かを埋めるためだけにしてるんじゃないかって思う時もあるよ。そもそもそんなに好きじゃないのかもなって、前に中折れした時にふと思って。飽きちゃうんだよね、飽きない？だって、射精するってだけならオナニーの方が絶対に気持ちいいじゃん？うーん…やることないからセックスしてんのかな…ただ性欲は強いと思う。

あと僕ね、支配欲が強いんだよ。
だから相手を征服したいってのがあって、その為の行為の一つではあるかな。相手をマグロにしちゃうんだよ、それくらい自分の支配下に置きたいの。Sだよね、サドのSじゃないよ、サービスのS。延々とサービスしてたいの、自分がされたい事をしてるだけなんだけど。こうされたら嬉しいだろうなって事をしてる。でも実際にされるのは嫌なんだよ、だって手綱取られんじゃん。

なんか愛とかセックスとかさ、正義と悪とかでもだけど、その人の生まれた環境とか、今置かれてる状況でも変わるじゃん。浮気でするセックスは単にオナニーの延長なんだよね、あと犬のマーキングみたいなもんなのかも。でもセックスがマーキングってひどくね？もうなんかね、投げやりなんだ。

よくさ、語学の勉強で使われる表現らしいんだけど、語学の勉強って穴の開いたバケツに水を入れるようなもんなんだって。溢れるまで入れまくって、溢れた瞬間が語学の達成なんだって。僕にとって性欲ってさ、そのバケツと水みたいになっちゃってて、入れて入れて入れまくってやっと溢れるっていうか…あぁでも違うな…そもそも穴を開けてるのは自分だからな。セックスってさ、気持ち良い時も気持ち良く無い時もあるじゃん。で、気持ち良く無い時って、何やってんだろ…って気持ちになるじゃん。虚しい気持ちになったりするんだよね。

好きな人とのセックスって聞かれると、思考が止まっちゃうわ…キスとか下手になりたい（笑）セックスとかもぎこちなくしたいんだよね。前に言われたんだよね、君のセックスは至れり尽くせりだって。本当はセックス好きじゃないのかな？でもそう言われると否定したくなるんだよね。上から言われたくないっていうか、自分を曝け出したく無いってのがあるからさ。

この人とヤりたいなって人は、ほぼヤれてるんだよ。そういう歪な自信だけはどっかにあって。 僕のセックスって、自分の価値を確かめる為だけにしてる行為になってるよね。自分の性的な価値を測るための道具、自己承認欲求を埋めるための道具、そこですよ。でも、そもそも穴が空いてるから埋まらないんだよね、だから溢れるくらいにしないと。だけど、嫌なセックスしちゃうと、その穴って更に広がっていくんだよね。だから入れ続けなきゃいけないって、強迫観念みたいになってる。だからセックスが嫌いか？と聞かれれば、嫌い。

そうなんだよねぇ…好きな子には綺麗でいて欲しいんだよね… 。
汚すのが好きな人間なら良かったんだろうね。この会話を二年くらい前にしてたら、もうちょっと上手くやれてたかもしんないな。