こんにちは!台湾在住ライターのMaeです。
2020年もそろそろ終盤。今年も台湾では、LGBT関連のニュースがたくさんありました。今回は1年の締めくくりとして、まだ日本ではあまり報道されていない、現地で注目を集めた話題についてご紹介したいと思います。
2020年5月に、同性婚実現から1周年を迎えた台湾。2020年5月地点では、およそ4000組の同性カップルが婚姻届を提出し、新生活の門出を迎えています。
一方で、さらなる「婚姻平權(婚姻平等の権利)」を求めて、新たな動きも。現在、台湾で同性婚ができるのは「台湾人&台湾人」、または「台湾人&同性婚制度がある国出身の外国人」のカップルに限られており、多くの国際同性カップルは婚姻届が受理されない状況が続いています。
これを受けて、今年6月には、国際同性カップルを原告とする訴訟が初開廷。この訴訟が成功すれば、外国人パートナーの母国の法制度に関わらず、台湾人と外国人の同性カップルも、異性カップルと同様に婚姻ができる可能性が期待されています。来年以降の動きから、目が離せません。
LGBTフレンドリースポットがたくさん存在している台北。「台北のLGBTスポットを効率よく知りたい!」「注目スポットを一挙に巡りたい!」「1人で足を運ぶにはハードルを感じる…」という方にピッタリの観光バスが、2020年に初登場しました。
台湾のプライドマンスとなっている10月に、1ヶ月間の期間限定で運行されたのが「Color Taipei 彩虹觀光巴士」。台湾のLGBT運動を支え続けてきた老舗書店や、有名メンズサウナの店内見学、LGBTフレンドリーなカフェバーでのお食事まで!3時間ほどで、台北市内の注目スポットをぐるっと巡ることができます。
台北でご活躍中のドラァグクイーンのガイドのもと、2階建てオープントップバスで巡る台北。来年以降の運行はまだ未定ですが、コロナの流行が収束した暁には、ぜひ海外からのお客さんを乗せて走っていただきたいですね。
2020年はコロナの流行により、延期や中止、オンライン開催へと変更を余儀なくされた、世界のLGBTプライド。
早期の対策が功を奏し、防疫にいち早く成功した台湾では秋以降、例年どおりの賑やかなパレードが各地にて開催されています。10月に行われた「台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)」には13万人が参加!2020年に開催されたパレードとしては、アジア最大級に留まらず、世界最大級のパレードとなりました。
また今年は、イベント史上最大規模を記録したパレードも!
11月に台湾南部の街・高雄にて開催された「高雄同志大遊行(高雄プライド)」には、昨年の約3倍となる6万人が参加!台北のパレードにも負けない盛り上がりとなりました。台湾最大の音楽賞・金曲獎受賞アーティストがライブを披露するなど、豪華ゲストの登場も話題となりました。
桃園、苗栗、台中、台南など、その他の都市でも無事に開催された2020年台湾のLGBTプライド。台湾の防疫成功の結果が現れた一例と言えそうです。
昨年2019年に、台湾で初めてとなる「彩虹地景(レインボー歩道)」が台北・西門町に登場し、大きな話題を集めました。
実はその後、彩虹地景を設置しようという動きが台湾各地で進行。2020年10月には、台灣同志遊行の会場となった台北市政府前にも、「TAIPEI」の6文字をあしらったレインボーが登場しました。
また、この流れは台湾南部の街・高雄へも。
高雄屈指の有名スポット・駁二藝術特區にも、高雄同志遊行開催に合わせて、彩虹地景が描かれました。この高雄の彩虹地景は、台北2ヶ所のものよりもさらに大きく、縦20m×横18mと、規模としては台湾最大となっています。
現在、台南や苗栗でも、設置に関する討論が行われており、この動きは来年以降もさらに広がっていきそうです。
2020年は、興行収入1億台湾ドルを超えた作品が2本登場するなど、台湾映画が大躍進を果たした1年。
そのうちの1本、まもなくNETFLIXでも公開される『刻在你心底的名字(邦題:君の心に刻んだ名前)』は、公開初週から好成績を記録。同性カップルを描いた作品としては、台湾映画史上初の大ヒットとなりました。
一方で2020年は、同性カップルを描いた作品として快挙を成し遂げた映画がもう1本。台湾最大の映画賞・金馬獎にて、最優秀主演男優賞、最優秀助演女優賞など、3部門での受賞を果たした『親愛的房客』も、現地で大きな話題となっています。
同性のパートナーを失った男性と、パートナーがのこした子供、そしてパートナーの母親で、子供の祖母でもある女性。血や法のつながりだけが「家族」を定義する条件なのか?それがなければ「不正常」なのか?
3人の関係を通して、台湾社会へと疑問を投げかけた本作。2020年台湾を代表する映画作品として、今劇場にてヒットを記録しています。
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2020年台湾で話題となった注目のLGBTニュースをご紹介しました。
ちなみに、台湾では現在、公共の場でのマスク着用規定が厳しくなってはいるものの、バーやクラブも通常どおり営業されています。LGBTプライドのアフターパーティーも例年どおり開催されており、コロナ流行によるゲイコミュニティへの影響も最小限に抑えられています。
来年こそは流行が落ち着いて、台湾へと自由に訪れられる日々が戻ってきますように。