2017/04/11

正面 × 愛とセックス vol.11 ─ 40代 ゲイ 主夫 ─

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「あなたにとって、愛とは、セックスとは、何ですか?」

 

本来、人も愛もセックスも多様であり、個人の恋愛を他人がジャッジするものではない。

「正面×愛とセックス」は、”普通に”生きるLGBT当事者の愛とセックスについて、赤裸々に語ってもらうインタビュー連載です。

 

── 40代 ゲイ 主夫 ──

 

 

 

 あなたにとってセックスとは何ですか

 

小さい頃から、「キャンディ・キャンディ」や「フランダースの犬」とかの教会のシーンが大好きで、そういうところに行ってみたいなって想いがあったんです。それに自分の生き方を探していて…セクシャリティにも悩んでたし、発達障害もあって人と上手く喋れなかったりで、そういうの全てがコンプレックスだったんです。とにかく、安心して人と居られない友達を作れない。教会に行ったら何か見つかるかなって。で、行ってみたら、みんな優しかったんですよ。居場所が見つかったような気がしました。神様がいて、何かしら意味があって自分が生きてるんだって思えたんです、そしてその勢いのままクリスチャンになりました。

 

その時に同じ教会にいた、今の奥さんと知り合ったんです。いま思えば、すごく失礼な話だけれど、結婚したらゲイも治るのかな?て。セクシャリティを認めちゃうと、そこに止めどなく流れて行っちゃいそうで怖かったんです。

 

とにかくゲイだってことが神様にバレてはいけない、もちろん家族にも。絶対に墓場まで持って行こうと思ってました。でも凄く苦しかったんですよね、僕は不良品なんだって。生まれてきてゴメンなさいって毎日謝ってました、心の中で。

 

プロテスタント系クリスチャンで、中でも戒律の厳しいモルモン教徒なんですけど、そこは性的な事に対してとても厳しくて、当然マスターベーションも駄目なんですね。なんかそういう色んなストレスが溜まりすぎて鬱になってしまったんですけど、それと同時にセクシャリティの結界が崩壊したというか。この境界線を超えて自分を確認してみてもいいんじゃないか?って思ったんですよ。今までの自分が死んだんです。それが37歳くらいなんで、ほんとに最近。それまで男性経験もなかったんですよ。奥さんには当然カミングアウトできなくて…そんなのがバレたら殺されるというか…世界が終わるみたいに感じてて。

 

それがある日、パソコンの履歴からバレたんです。 「なんでこんなの調べてるの?しかも男ばっかりじゃない?」って。もうしどろもどろで、言い訳にもならないような言い訳を並べました。それからカミングアウトするまでの7年間は、毎日が尋問でしたね。

ハッキリとカミングアウトしたのは、去年の10月です。自分の気持ちを他人に言ったことがなかったので、そのカミングアウトが人生最大の超カミングアウトで、地獄の炎の中に飛び込むくらいの気持ちでした。どうせ自分は死ぬまで自分で、それは何があっても変えられない。よく考えたらね、結婚するまでは何をしていてもどんな時も一人だったって思ったら、すごく気持ちが楽になって。こんなに苦しいなら言ってしまおうって。

 

で、意を決して告白したら奥さんは怒るどころか、この7年間ずっと怒った顔をしてたのにどんどん穏やかになっていって、最後には涙が出ていて。

 

その時はもう男性経験も済ませていて、ブログを通して知り合った既婚者ゲイの人と付き合ってたんですけど。その人もまた色々と助けてくれる人で、その携帯メールのやり取りを見て「いい人だね」って言ってくれて、ハッテン場に行ってたことも怒るどころか「病気とか大丈夫なの?」って逆に心配してくれたり。女性とセックスするのがツライんだと…そこまで言ったんですよ。それも受け止めてくれて。

 

セックスって、自分を確認することが出来る行為だと思っていて。自分の中にある本能レベルでの生きる力って、食欲と同じで、性欲にも繋がってると思います。ずっと別けて考えてたんですね、セックスだけ遠く離れてた…自分の性欲をすごい汚いものだと思ってたし、箍が外れるとコントロール出来ないかもという危うさを感じてたから。自分の男性器が勃起したりするもイヤで。ちょっと前までは人前で裸になるのも怖くて、だから大衆浴場も公衆トイレも無理で。

 

でもたくさんセックスしてみたら、なんだ…て腑に落ちて。食事するみたいに普通で、生活に必要なことだったんだなって。たったそれだけの事なのに、変にややこしく捉えていて。今は生きるためのエネルギーになってるというか。でも、食べる行為にしてもよく噛んで食べないと消化不良起こしたり、体も安売りすると心が荒んだりしますよね。だから、美味しくゴハン食べて、楽しくセックスして、大切な人達と素敵な時間が過ごせたら、だいたいの事は乗り越えられる。今はそういう感じです。

 

こういう話って下世話になりがちで。そういうのも含めて楽しいんですけど、そればかりじゃない。ただの動物的な行為があってもいいですけど、僕は心と体が割り切れるタイプじゃないので。

 

お互いに愛し合うっていうと大袈裟かもしれないですけど、そこに気持ちがないと。ハッテン場行ってセックスして終わりみたいのは好きじゃないです。僕は終わった後でもお喋りしたいんですけど、相手がササッと服着て帰り支度始めちゃうのを見ると、あぁ…置いていかれちゃった…みたいな気持ちになりますね。自分も寂しかったりして、とりあえず温もりだけ欲しいって思ってセックスする時もあるし、この人もそういう心境だったんだろうなって理解は出来るんですけどね。

 

僕は感受性が強くて、その場の空気とか人の感じとか、ちょっとでも違和感があると体が先に反応しちゃって乖離しちゃうような感覚があるんですけど、そのストレスをどう発散するといいのかってのがあって。ストレスがかかってもそれと上手く付き合っていく方法として、ご飯食べたり運動したりちゃんと寝たりっていうのの中に、セックスもあって。そこは、他と切り離されてないというか。だからっていうと変だけれども、神様ってすごいんだなって思って。なんで神様ってセックスなんてものを作ったんだろうって、ときどき考えたりもします。

 

そうですね、僕にとってセックスとは、愛の充電みたいなのものですね。

 

 

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