2016/10/11

正面 × 愛とセックス vol.5 ─ 40代 ゲイ プロデューサー/ディレクター ─

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「あなたにとって、愛とは、セックスとは、何ですか?」

 

本来、人も愛もセックスも多様であり、個人の恋愛を他人がジャッジするものではない。

「正面×愛とセックス」は、”普通に”生きるLGBT当事者の愛とセックスについて、赤裸々に語ってもらうインタビュー連載です。

 

 

── 40代 ゲイ プロデューサー/ディレクター ──

 

 

40代 ゲイ プロデューサー/ディレクター

 

 

 ーあなたにとってセックスとは何ですか

 

こういうテーマって教科書的な返事もできるじゃないですか、でも何なんだろうな。難しいですよね。

そうですね…出会いって限られてくるじゃないですか。ゲイだと、ステキな人だなって思う人が職場や学校に居たとしても、先ずこの人はゲイかな?ノンケかな?っていうのがあって。で、ゲイバーとかクラブに行くって手もあると思うんですけど、でも溜まり場に行くのは苦手だったり、夜の遊びは好きじゃないし。

 

やっぱりそういう溜まり場に行く人達に比べたら、出会いは断然少なくて。今は便利なアプリがあるから頼ってるんですけど、先ずはカラダありきというか、あまりに即物的だったりで。実際にやり取りしても会える人って限られていて、マッチングして会ってイキナリ好きですなんて、殆ど無いでしょうし。今は、昔に比べて色んなものがすぐ手に入るじゃないですか、クリックするだけで。それこそ人との出会いも含め。だから会うのも別れるのも簡単で。

 

最近の若い子はどうか知らないですけど、僕なんかは昭和の生まれで、今ほど世間が寛容ではなかったから、バレたくないってのが一番大きかったですよね。わざわざ言う事でもないんだろうけど、やっぱり隠すじゃないですか。そうすると周りから「ホモ、気持ち悪いよね」とかね、聞こえてきて。

 

あ、カミングアウトすると嫌われんのかなとか。まだネットもない時代だったから、情報も殆ど無くて。情報を得られるようになったのは大学以降、インターネットが普及しだしてからですね。で、なんとなく居心地良いなって感じるようになってきたのが30歳以降、それまではビクビク暮らしてた気がします。今は物凄く便利だなって思うし、今の10代20代の子達の方がオープンにし易いんじゃないかな、時代の流れとしても。それ以外にも、仲間がいるってのがアプリで可視化されてるってだけでも全然違いますよね。実際会えなくてもすぐ近くにこんなに居るんだってのが分かるし、それだけで安心感が違いますよね。

 

セックスは、やっぱり男なんで最初は吐け口みたいになっちゃうんですよ。その吐け口的な意味合いが一番強かったのは20代でした、ビデオ観たりして色々試してみたいなとかってあるんですけど、世間的にアレは気持ち悪いもんだって空気感があったりもするし、でも童貞は格好悪いし、だから早く体験したいしって。でも相手が居るかどうかも解らないから、どうしたら良いんだろうって悶々としてましたね。当時は彼氏も居なかったので、自分が本当にゲイなのかって自信も持てなかったんですよ。実はただの女嫌いで女性を避けてるだけなのかなって、自分でも良く解らなくて。

 

30過ぎで未婚だと、適齢期の女性とかが割と積極的に攻めてくるんですよ。で、ゲイって心の痛みを知ってる分、あと人の顔色をずっと伺って生きてきたから、ノンケより気が回っちゃうんですよね。こっちは女性に下心が無いから親切に出来ちゃうんですけど、それを30の独身男がすると勘違いされちゃって。でも今思えば、それってまだ自分がゲイだってことに腹を括りたくなかったのかもしれないし、それ以外にも、誰に対しても心を開けない状態だったのかもしれないですね。上っ面だけの親切と言うか。結構最近まで…30歳半ばまでは迷ってましたね。

 

最近セックスは、いわゆるセックスフレンドで済ませてる感じです。
20代の頃は今よりも貪欲だったから、見た目が好みじゃなくても飛びついてたんですけど(笑)若い時って感受性が豊かじゃないですか、だから8割気持ち良くても2割の後悔の方がダメージ大きかったりってのもあって。そういう行為を繰り返していく中で感じたのが、好きでもない人とセックスすると心が削れていくというか、何かを落としていくなって。でもそれは割と、みんな共通して持っている認識なんじゃないですかね。

 

セックスって心も体も開いていく行為だと思うんですよ。だからそういう時って快だけじゃなく、不快も貰っちゃうし、結構そういうのが後々ダメージになってたり。セックスはスポーツだとか、心と身体は別だとかっていう人も居ますけど、僕も最初はそうなのかなって思ったりもしたんですけど、でもそうなると相手は誰でも良いってなっちゃうし、だたやっぱりその感覚も違うなって。

なんかこう30過ぎて自分なりに色んな人達と経験を重ねた後に辿り着いたのは、恋人じゃなくても思いやりとかがないといけないなって。そもそも、相手が居ないと成立しない行為だって、改めて感じてますよね。その人と恋人になりたいってのはないんですけど、彼らに対して気持ちが無いとかでは全くないんですよ。

 

ただ好きになった人に対しては心が先に動いちゃうというか、四六時中その人のことを考えるというか、そっちがメインになっちゃって。体どうこうよりも。好きな人だとセックスが下手でもいいというか、軽いキスだけでも、抱きしめるだけでも満たされるんです。

 

そうじゃない人とは射精まで行かないと満たされないというか、割に合わないって思っちゃうんですよね、酷いかもしれないけど。本当に好きな人は一緒にいるだけで幸せっていうか。セックスだけの関係だと身体で満たされるものは確実に有るけれど、それは一時凌ぎだし、それだけで心の全てが満たされる事は無いです。微妙なんですよね、男性は常に出し続けなくてはいけない生き物だから。でもマスターベーションとセックスって全然違っていて、心の寂しさを一時的に埋めてくれるものというか。ちょっと人肌に触れるだけで救われる部分があって、安心感もあるし、その人の愛情をちょっと貰うっていうか。

 

ずっと一人だと、誰からも必要とされてないんじゃないかなとか、一生このまま独りぼっちなんじゃないかって不安感とか虚しさで押しつぶされそうになる時があるんですよ、そういう時にお互いで温め合うとちょっと安心するというか、頑張れるというか。恋愛感情とはまた違うけれども、その代替品にはなりますよね。なので、一回キリとかはちょっと苦手なんですよね、セックスフレンドでも。何回か関係を重ねると嫌なところも見えてくるけど、まぁいっかって許せるところも出てきて、それも心地良かったり。

 

恋人未満の微妙な関係かもしれませんけど、少なくともただの友人とは違いますよね。孤独で辛い時があるってのも経験として知ってるし、相手も多分寂しい時があるんだろうなっていうのも分かるし、だからお互い埋め合おうよというか、俺で良ければカラダ貸すよ?って。セックスでしか癒されない部分があるのが分かるから、じゃあお互い出来る事をしようよっていうのはありますね。

 

 

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