一口に「イタリアン」といえど、そのバリエーションは実にバラエティ豊か。
一般的にイタリアンといえば、オリーブオイルやトマトを多用した料理を連想するが、これらは主に南イタリアで使われており、アルファ ロメオの発祥の地ミラノなどの北イタリアでは、生クリームを使用した料理が主流だ。また、ベネチアなどの地中海沿いでは魚介系料理が占めるなど、地域によって特徴が異なっている。
そんな「多様性」に富んだイタリアンを味わうなら、やはり本場まで行かなきゃダメ??
いやいや、世界的にもレベルが高いイタリアンが集まる東京では、本場の味が楽しめる名店が多数存在している。そこで今回は、在日イタリア人も唸る都内のイタリアンの名店5選を紹介。
「エリオ・ロカンダ・イタリアーナ」
日本人に媚びない本場の味が、在日イタリア人にも圧倒的な人気を誇る
麹町の裏路地にある在日イタリア人に圧倒的な人気の名店。オーナーシェフのエリオ・オルサーラ氏が生まれ育ったカラブリアの郷土料理と、笑顔と活気あふれるサービスは、日本人のみならず、イタリアから訪れる著名人にもファンが多い。ファッションデザイナーのジョルジオ・アルマーニ氏や、パオロ・ブルガリ氏なども、来日時に足を運んでいる。
創業から20年が経つが、決して日本人の舌に媚びることのない本場のイタリアンにこだわり提供しているのも根強い人気の理由だ。徹底した素材選びを行っており、どんな食材も必ず作り手に直接会って買い付けるという。また、北海道に自社のチーズ工房、都内にはサラミの工房を作り、イタリアからチーズ、サラミ職人を呼び手作りで生産するなど、日本のイタリアンの中でも稀有な存在だ。
料理の美味さはもちろん、この店の真髄は、我が家に帰ったかのような心温まるサービスにある。お客様すべてを「家族」のように迎えもてなしてくれる。家族と囲む、笑顔あふれるマンマの食卓を思い出す、なんとも居心地の空間こそ、この店にしか作りだすこができない最高の逸品だ。
「ステファノ」
手打ちパスタ、チーズ、ハム、自家製にこだわる超職人シェフによる、絶品ヴェネト料理
1999年、牛込神楽坂の名店「カルミネ」で長年料理長を務めたステファノ・ファストロ氏。彼の故 郷である北イタリア、ヴェネト州の郷土料理が堪能できる東京では珍しいリストランテ。7~8種類の手打ちパスタや、厳選された魚、肉を使ったダイナミックな料理は、どれも素材本来の味を濃厚に感じられるものばかりだ。
なかでも、春が旬のヴェネト州バッサーノ・デル・グラッパから取り寄せるホワイトアスパラガスは季節限定で収穫量も少ない希少な食材。ぜひ食べておきたいひと皿だ。みずみずしい食感と、甘みほろ苦さに加え、長い余韻を感じることができる。
その高いクオリティの料理と接客は、MOI(イタリアホスピタリティー国際認証マーク)を受けておりイタリア人もお墨付き。なんといっても、ステファノ氏のきさくな人柄にひきつけられ、足しげく通うファンは後を絶たない。カジュアルで家庭的な雰囲気ながら、高品質な本場イタリアの味と温かいサービスを提供する満足度の高いリストランテだ。
「マンマルイザズテーブル」
店名通りマンマの味を再現!家庭の食卓のような温かい雰囲気が多くのひとを魅了する
国内外幅広い経験を持つフィレンツェ出身のイタリア人オーナー、ピエトロ氏が腕をふるう本格的北イタリアの郷土料理のリストランテ。店名が示すとおり、シェフのマンマルイーザさんが家庭でよく作ってくれたものを再現しているという。家庭的ながら、素材の味を存分に引き出すその料理の数々は、何を食べてもはずれがない。
オーナーは、フィレンツェの三ツ星レストラン「エノテカピンキオーリ」などで、パティスリーシェフを務めた経験を持つだけあり、ドルチェの完成度も高い。来店するなら、最後のドルチェまで食べられるよう、お腹にスペースを残しておくことをお勧めしたい。
オーナーのきさくな人柄や、お店のマスコットでもある愛犬ジーノなど、黄色をアクセントカラーにした店内は、いつも家族や仲間が集まる温かい食卓のようだ。また帰ってきたいと思わせる暖かいメニューと接客がこのお店の人気の一番の理由だろう。
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