──デジタルPRとして、また自身もフォロワー数5万を超えるインスタグラマーで、ネット中心で生きているかと思いきや、「アナログな部分」を大切にしているそうですね。
そう。みんなに意外に思われていますが、デジタルの中にいつつも、アナログな感覚を大事にしています。
これには一つキッカケがあるんです。
友達でLA在住のブロガーがいるんですが、彼女はインスタで数百万フォロワーを抱えるインフルエンサーなんですよ。
そんな彼女と数ヶ月ぶりに会った時に「いつも見てるよ」って言うんですよね。僕にしてみればすごく久しぶりなのに、彼女はインスタ上で僕に”イイネ”することだけで、つながっているように錯覚しているんです。
その時に、「あ、自分はちゃんとしよう」って思ったんですよ。
SNS上の人間関係だけじゃなく、リアルな付き合いをしようって。
これは、自分がデジタルのど真ん中にいたからこそ感じたことですね。
業界人も一般人もデジタルの海に溺れがちで、「インスタ中毒」の人が多いように感じます。
インスタをしていると、「ジョージはあの子と一緒にいる時はインスタあげるくせに、私の写真はあげないよね〜!」みたいに言われることや、有名人と写真をアップすると「売名行為でしょ」って言われたり、SNS上での人間関係に嫌気がさす時もあります。
元をたどればSNSって娯楽のために出来たもの。
それがみんなシリアスになりすぎて、人間の最優先になってしまった。それがイヤなんですよね。
だってこれは娯楽のためのものであって、生活を豊かにするツールだったはずなのに、今や人間関係を壊すツールになっている。
だからこそ、デジタルの中にいつつも、リアルな人付き合いである「アナログ」の部分もすごく大事にしています。
──なるほど。SNSでの人間関係もそうですが「インスタ上ではキラキラしているように見えてもリアルでは全然違う!」って人も多いですよね。
SNSではセルフプロデュースが簡単にできますからね。
SNSとリアルでギャップを生まないために、まずは「加工するのやめたら?」って思いますね。僕の場合、ニキビだろうがクマがあろうが一切加工しない。
女の子でもゲイでも、肌を補正したり足長くしたりカラダを盛ったり…結局会った時にバレるよね?(笑)って。
自分を誇張させ過ぎないことがSNSのルールだと思いますね。
──稲木さんといえば、仕事・プライベート問わず世界中を旅していますよね。旅をする醍醐味とは何でしょう?
僕の場合、恵まれた環境にいたわけじゃないから、昔は美術館に行ったことなかったし、旅行も全然したことなかった。
ただ、ヨーロッパの人としゃべっている時に、「あ、自分って教養ないな」って感じたんです。
外国人と話した時に、その国の話が出来ないと会話に深みが生まれない。旅の醍醐味は、知らない場所に行って自分の知らないこと知れることですね。
今の人たちって、インスタに載せることが目的で旅をする人も多いですよね。
「インスタが旅をするキッカケ」になっているから全てを批判するつもりはないんですが、旅をするならちゃんとその土地のバックグラウンドやカルチャーに触れて欲しい。
そうすると「自分は無力かもしれない」って感じると思うんです。
その経験が大事で、伸びしろがあるってことは学ぶ意欲が生まれるんですよね。
ネット上で知れることが全てではないので、リアルに体験する意味でも海外旅行は積極的に行きますし、今の若い人たちもどんどん行ってほしいですね。
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