最後の夜、二人だけで挙げた結婚式
彼の両親が病院に来た夜、彼の容体が急変。緊急病棟へ搬送され、親族一同が病院に集められた。
“これがきっと最後の夜” けんたろうさんはそう感じていた。
意識が朦朧としている彼に、「お礼を言いたい人を書き出すね」と、意識が無くなる前に携帯の暗証番号を聞き、友人や大切な人の連絡先をメモした。
「愛してるよ」声を掛け合う二人。
最後の夜、二人は病院のベッドの上で二人だけの結婚式を挙げた。
永遠を誓う彼らには、華やかな場所も、祝ってくれる人たちも、豪華な指輪もいらない。ただ、これからもずっと一緒だと誓い合い、静かに愛を交わした。
法の壁、同性婚の必要性
朝になり、彼の親族一同が病室に集まった。
彼の最後の瞬間は、親族のみでしか立ち会えないのだ。けんたろうさんは彼の恋人であって、配偶者ではない。結局、彼の最後を看取ることが出来なかった。
その後も、彼の葬式に立場上「友達」としての参加しか出来ないこと、お墓の問題、遺品、遺産相続の問題などなど、配偶者ではないことで、多くの問題が浮き彫りとなった。けんたろうさんにとって、 はじめて同性婚ができない壁を感じた瞬間だったという。
「同性パートナー制度など出てきていますが、法的効力は無いですよね。同性婚へ向けた大きなムーブメントとして素晴らしいと思いますが、やはり法的に守り合える制度が必要不可欠です。」と語る。
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