教科書や美術館で、古代ギリシャ、ローマ、ルネサンス時代の銅像を見たことある人がみんな疑問をもつ、「なぜ、昔の銅像のペニスはみんな小さいのか??」と。
ミケランジェロの代表作・ダビデ像なんかは、ペニスをかなり小さめに描いている。
この疑問について、美術史の専門家エレン・オレドソン氏が自身のブログで解説。興味深い内容なのでシェアしたい。
オレドソン氏はブログの読者から「なぜ昔の銅像のペニスはみんな小さいの?」と質問をうけ、真面目に考察。2つの答えを見つけた。
・一つ目は、彫像のペニスは通常時の状態であるため、小さくなっているということ。
・二つ目は、当時の男性的な美しさの基準が、現代とは大きく異なっていたためだそう。
現代では、ペニスは生命力や男らしさを誇示するものとして大きいことに価値が置かれている。しかし古代ギリシャでは真逆で、小さいペニスの方がよいとされていた。
歴史学者ケネス・J・ドーヴァー氏によれば、当時、大きなペニスは「愚かさ」「色欲」「醜さ」を連想するものであったため、小さなペニスの方が文化に価値が置かれていたそうだ。
小さいペニスを描くのが主流な中、大きなペニスを持つ者も描かれた。
たとえば、巨大なペニスを持った神話上の生き物サティロス。
サテュロスは半人半獣の精霊で、破壊的で危険な生き物であり、ワインと女性と男性(美少年)を愛したという。
色欲魔のイメージとして、彼は常に勃起状態で描かれることが多かった。
また、ローマ時代のサティロスはデビルの一種として関連づけているほど、世の中から忌み嫌われている存在だったそう。
また、もう一人巨大ペニスを持つのは生殖力の神プリアーポス。
彼は別の神から、永遠の勃起・インポテンツ・醜さ・愚かさという呪いをかけられており、サティロス同様に嫌われていたそうだ。
このように、古代ギリシャにおいて大きなペニスは色欲や愚かさの象徴であった。
よって、聡明で魅力的なのは小さいペニスを持つ者であるとされ、それらが銅像に反映された。
またネガティブなイメージなだけでなく、銅像にしたときにペニスが大きいと全体のバランスが悪く見えることや、人よりもグロテスク具合が強調されることをさけるためペニスを小さくしたともいわれている。
この古代ギリシャの考えが、つづく古代ローマ、ルネサンス時代へと影響し、彫刻家たちが銅像をつくる際に「小さいペニスにしよう」という慣習が伝わっていったのだ。
良い意味でも悪い意味でも、現代の男たちは「ペニスの大きさ」にとらわれて生きている。
生まれる時代が違えば、小さなペニスをもつ者は「賢くて理想的な人」とされたのかもしれない。