12月24日より劇場公開中の話題作『ワイルド わたしの中の獣』。
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CG全盛の最近の映画界の中で本物のタイリクオオカミで撮影に臨み、サンダンス映画祭やロッテルダム映画祭など各映画祭に出品され大きな話題となった。この官能の世界を描くのは、女優で監督のニコレッテ・クレビッツ。
ドイツの女子刑務所でロックバンドを結成した4人の女性の友情を描いた音楽青春映画『バンディッツ』(99)で美女のエンジェルを演じるなど数々の作品に出演、2000年からは監督や脚本も手がけるようになる。今回クレビッツ監督に本作の撮影秘話や魅力について語ってもらった。
本作の奇抜なストーリーはどのようにして思いついたのですか?
自分自身の夢から思いつきました。何かに後ろを付けられているなという夢を何度か見て怖かったし、混乱しました。それで夢の中で後ろを振り向いてみたらそこに“オオカミ”がいたのです。そこから着想を得て、自分の住む世界というものを改めて考えてみました。
そして、映画を撮影するのに困難な今回の設定をあえて選びました。もう一つの理由は、丁度その頃にオオカミがポーランドの国境を越えてドイツに来ているというニュースがありました。ドイツからはオオカミが消えて100年以上経っています。
彼らはすごく魅力的な動物だと思います。上手く環境に慣れる、順応できるという点ではある意味人間に近いですね。だから自分たちの習性を長年変えずにここまで生息できたのです。野生を捨てずに来た、つまり‘自由’を手放すということはなかったのです。そのオオカミ達がドイツという都会に戻ってきた。丁度そのタイミングで夢をみましたから、そこがこの話の骨格になりました。
オオカミはどのようにして見つけてきたのですか?
ハンガリーに行っていくつかのオオカミのグループの中から選びました。オオカミもそれぞれ得意な能力や性格が異なっているので、本作に合っているか適正も確認しました。今回のオオカミは見た目が美しいのとリリト(主演女優)との顔の相性がいいという点で選びました。トレーナーに育てられたネルソンという名前のオオカミです。
彼はすごく優しくて紳士的でした。ネルソンには演技経験もあってCMなどに出演していました。彼はトレーナーが連れてきた群れのメインのオオカミで、リーダーでしたので、ネルソンの群れの7匹のオオカミは全部撮影所に連れてこられたのです。ネルソンを撮影が終わるたびに毎回その群れの檻に戻していました。
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