以前も記事で紹介したが、英ロンドン在住のHIV陽生の男性が、世界で2人目となる「HIV完治」が確認されたことがわかった。
ケンブリッジ大学の研究チームが、今月10日に医学誌「ランセットHIV」に掲載。
2例名の完治例となったのは、ロンドン在住の男性、アダム・カスティエホさん(40)。
カスティエホさんは、2003年にHIV陽性の診断を受け、12年からHIV治療(抗レトロウイルス)で治療を続けていたが、その後に悪性リンパ腫が見つかったため、16年に幹細胞移植手術をうける。
移植した際にHIV治療を中断していたが、中断から2年半が経過しているにも関わらず、活性ウイルスはすべて陰性だったいう。
研究チームは2年半もの経過観察を行い、この度「世界で2例目のHIV完治例」として発表した。
しかし、なぜウイルスが抑えられたのか?
これは移植したドナーが、HIVに耐性をもつ変異遺伝子を持っていたためという。この遺伝子変異をもつ人の割合は欧州人で1%未満と極めて珍しい。
「HIV完治」は素晴らしいニュースではあるが、今回のケースは極めてレアケースであり「多くの人が対象になるものではない」と、研究チームはのべている。
ちなみに、現在は医療の発展により、たとえ完治せずとも、早めにHIV治療(抗レトロウイルス薬)を続けていれば、ウイルス量は検出限界以下に抑えられ、事実上“HIVに感染していない人と同じ状態”が保たれる。このことを「U=U」という。