ヘイトクライムを自作自演した罪に問われていた、米俳優でオープンリーゲイのジャシー・スモレット。
26日に行われた裁判の結果、ヘイトクライム捏造疑惑を含む16件の罪状すべてが不起訴になった。
この事件は、米人気ドラマ「Empire 成功の代償」に出演している俳優のジャシー・スモレット(36)が、1月29日、シカゴにある自宅からでてきたところを2人組の男に襲撃されたというもの。
スモレットは暴行を受けたうえ、謎の液体を浴びせられた。
これはゲイを嫌うホモフォビアによるヘイトクライム(憎悪犯罪)と見られ、センセーショナルな事件として世界中を駆け巡った。
しかし事件は一転。
2月20日、米シカゴ警察は、スモレット自体が事件を仕組んだ”自作自演”だとして、虚偽の疑いで緊急逮捕した。
スモレットを襲った2人はナイジェリア人の黒人の兄弟で、以前よりスモレットと親交があり、スモレットは襲撃のために2人に3500ドル(約38万円)を支払ったという。
2人はスモレットの署名が入った小切手を持っていたこと、また二人が自白したことが逮捕の決め手となった。
虚偽の疑いのほかにも、白い粉を同封した脅迫状を自分宛に送付するなどといった、合計16件の罪に問われていた。
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2月に逮捕されたスモレットは、保釈金10万ドルでそのうち10%にあたる1万ドル(約110万円)を支払い釈放されていた。
そして、3月26日に米イリノイ州シカゴの裁判所に出廷したスモレット容疑者に対して、検察側は16件すべての罪状を取り下げた。
シカゴのクック郡州検事局のキンバリー・フォックス氏は声明で、「スモレット氏が地域社会におけるボランティア活動や、保釈金をシカゴ市が没収することに合意したことを含む、事件の事実や状況のすべてを鑑みた結果、この結果は適切で、事件の解決になると考える」と述べた。
なお不起訴の決定理由は明らかにされておらず、なぜ検察がすべての罪状について不起訴を決めたのかは不明なままだ。
BBCによると、シカゴ市警のエディ・ジョンソン本部長は、起訴を取り下げる決定について「説明は受けていない」と述べた。続けて、「誰かが私を不当に非難したとしても、私は決して仲介取引の陰に隠れたりしない。結局のところ、このでっち上げを企てたのはスモレット氏だ。以上」とキッパリ発言している。
一方、スモレットの弁護士、ティナ・グランディアン氏とパトリシア・ブラウン・ホームズ氏は、スモレット氏への疑いは取り除かれたと声明を発表。「スモレット氏は被害者だ。世間に対する虚偽で不適切な発言によって、不当に犯罪者だと決め付けられ中傷された」と述べている。
しかしながら、不起訴の理由が明らかにされていない以上、結局スモレットは事件を犯したのか?そうではないのか?事件の真相は闇に包まれている。