世界的バレエダンサーのセルゲイ・ポルーニンが、映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』公開に合わせた来日プレミアイベントを、東京藝術大学にて開催した。
セルゲイ・ポルーニンは、史上最年少で英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとなるも、2年後の人気絶頂期に退団。バレエダンサーながら、全身タトゥーだらけ、酒とドラッグに溺れ『バレエ界の不良』と呼ばれていた。
そんなポルーニンが再注目されたのは、ホージアの楽曲「Take Me To Church」に合わせたコンテンポラリーダンスを披露したYouTube動画だ。
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ドキュメンタリー映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』は、本人や家族、関係者のインタビューを通して、知られざる『バレエ界の不良』の素顔に迫っていく。
4/27に行われたプレミア上映終了後には、「Take Me To Church」を踊るスペシャルパフォーマンスを披露した。
ダイナミックなジャンプや、しなやかながらも力強いダンス。
これまでの苦悩や葛藤を表現するかのような圧倒的パフォーマンスに、会場からは大きな歓声と鳴り止まない拍手の嵐だった。
パフォーマンスに続いて開催されたトークショーでは、プレゼンターの箭内道彦が様々な質問を投げかけた。
アートについて聞かれたポルーニンは、「アートは美を創り出すもの。日々の生活を補うものがアートだと考えます。もし世界がパーフェクトだったら芸術はいりません。しかし、今の世界には足りないもの(戦争やテロの脅威)が山ほどあるので、そういったものを補うのがアートではないでしょうか」と語った。
東京藝術大学がイベント会場とあって、アーティストを目指す学生たちへ向けたメッセージを送った。
「勇気を持つこと、失敗を恐れないことです。例えば、飛行機などで上空に上がっていくと、怖いから早く降りてほしいと思いますよね。僕はこの状態を保ち続けてほしいと思います。僕の場合、心地よさを感じたら次のステージへと進みます。あえてリスクを選び、常にチャレンジ精神を持つことです」
「あとは孤独を恐れないこと。本に全ての答えがあるわけではないので、自然の声に耳を傾けてみてください。「Take Me To Church」で一緒に仕事をしたデビッド・ラシャペルは、仕事が行き詰まると4ヶ月間ジャングルに篭るそうです。時には日々の生活から離れ、自然の声にゆっくり耳を傾けてみることも大事ですね」
誰もが羨む天賦の才能に甘いマスク、しかしながら人生の絶頂から地獄までを体験したポルーニンを追ったドキュメンタリー映画。
表現を志す人には必ずや感銘を受けるであろう作品となっている。
映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」は、7月15日より東京Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。