近年大きなトレンドになっている「サードウェーブ」。
サードウェーブとは「第3波」という意味で、大規模な消費社会ではない、ローカルでこだわったコーヒーや、そこから始まる丁寧なライフスタイルや文化を指す。サードウェーブコーヒーに始まり、 サードウェーブ男子なる言葉まで誕生している。
そんなサードウェーブの火付け役である「ポートランド」について、人気ガイドブック『TRUE PORTLAND』を手がけた松井さんに、その魅力を聞いてみた。
ポートランドが、「ヒップでインスピレーション溢れる街だ」と言われて久しい。
様々な要素がこの街をユニークでヒップなものにしていると思うのだけども、2007年から毎年、最低2年に1回はこの街を訪れ、かつ「TRUE PORTLAND」を編集している過程で見つけた、MUST SEEなポートランドっぽいとお勧めできる場所、イベントを4つピックアップして紹介したい。
1:ポートランドのクラフト精神をそのままカタチにしたようなプロダクトが並ぶ「TANNER GOODS」
ポートランド、というと皆真っ先に頭をよぎるであろう単語「DIY」。
ポートランドはとにかく、自分たちでなんでも作って、販売してみる、というスタンスが根付いている街だと思う。それがマーケ ティング的にどうとか、ビジネスチャンスがどうとか、そんなんじゃねーんだ!という精神が感じら れるブランド、プロダクトがあふれている。
そして、Portland Made(ポートランド製)であることに誇りをもっている。この「TANNER GOODS」は、まさにそんな精神を地でいき、真摯にものづくりをつづけているレザーブランド。日本でも取り扱いがあるようなので、見たことがある人もいるかもしれない。一生モノの質実剛健なプロダクトを旅の初日にここで手に入れてから、気持ちを新たにして街を散策、というのがいつもの僕のパターン。
2:本当にユニークな「Portland Button Works」
ここはすごい。ナイキでデザインをしている友人が「チェックした方が良いぞ!ポートランドぽいから!」とおしえてくれた。バッジなどをカスタムで製作することができる店。
独特の色使いの建物の佇まいもさることながら、足を一歩踏み入れた瞬間のちょっと緊張する感じ。そう、この感じは日本でも、間違って常連しかいない場末のバーやスナックに迷い込んだ時のあの感じ。
ポートランドがユニークたる所以のひとつはこういう自身たちのフィロソフィーを貫いて、ビジネスを成立させている店が多くあって、それをさらにローカルがサポートしている(買い物と飲み食い)というところだと思う。
3:1日の始まりよければ、全てよし。朝食を「Sweedeedee」で
ポートランドは食事が美味しい。本当に美味しい。しかも安い。この街はアメリカの他の大都市と並んで全米のフードシーンを牽引している街の一つだと思う。
有名なシェフやレストラン、バーなんかも数多く存在しているし、地域のコミュニティが新しいレストランやバー、カフェなどに積極的にサポート(つまりは飲み食い)することで、そういった文化をうまく育成するような仕組みができているよう。
数多オススメはあるのだけども、まず最高の朝食がとれればその日は最高確定、という信念 に基づいて「Sweedeedee」をオススメしたい。ここは平日でも並んでいるし、けっこうハードルは高いかもしれないけども、一度行く価値はあり。何を頼んでも美味しいし、なによりもあなたの始まったばかりの1日を忘れられないものにしてくれるからね。
4:LGBTQ コミュニティのお祭り「ポートランド・プライド」
この街の強いところは、多様性を大いに受容する姿勢だと思う。
ファッション、出自、人種、性別、 愛のカタチ、なんでも関係なくこの街は受け入れてくれているように思う。もちろん僕のように単 に旅で訪れるのと、実際に住むのでは感じ方も異なるのかもしれないが、間違いなく何事に対してもオープンであるということは断言できる。その姿勢がカタチになったものの一つが、毎年6月に開催されている「ポートランド・プライド」。
これは LGBTQ コミュニティを祝福する文化的祭典で、全米でも最大規模だそう。プライドの時期は街中のいたるところにレインボーフラッグが掲げられ、お祭り騒ぎ。多種多様なイベントが同時に行なわれているから、一度参加してみるのはいかがだろうか。
なお、ポートランドプライドは、HISのスタディーツアーにて絶賛受付中。興味あれば是非ともチェックしてみて欲しい。
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ポートランドに限らず、街の魅力はその規模の大小に関わらず伝えきることなんてできない。 ましてや、それがポートランドのように、多種多様なことが常に起こりながら発展しているような街であればなおさらだ。
DIY、食文化、コーヒー、ビール、スポーツ、大自然、都市としての多様 性、などなど様々な切り口があると思う。 全部を一気に体験してみようとするのではなく、まず一つ、自分の興味があるものを中心に体験して、掘り下げてみる、というのもひとつの手かもしれない。
大丈夫、街は逃げることなく、あなたを待っている。一度で足りなければ、二度、三度でも訪れたらよいのでは。好きな映画を何度も見るとその度に新たな発見があり、もっとその映画を好きになるように、この街も訪れる回数に比例してその魅力は増していくのだ。
魅力に溢れる都市「ポートランド」に是非行ってみてほしい。詳細はこちら。