2019/09/13

ルッキングを超えるゲイドラマ?──『メリー・アン シングルトンの物語』

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映画&海外ドラマ大好きのGENXY編集スタッフがお届けする「GENXY映画部」。

 

今回は、日本でも一大ブームを巻き起こしたゲイドラマ『ルッキング』を超えるかも!?な、超イチオシを見つけたのでレビューしたい。

 

Netflixで配信されている『メリー・アン シングルトンの物語』だ。

 

 

 

 

簡単にストーリーを説明すると、米サンフランシスコにある集合住宅「バーバリー・レーン」を舞台にしたヒューマンドラマ。

 

中年の危機真っ只中で故郷を捨てた主人公のメリー・アンが、サンフランシスコに戻ることに始まるストーリー。 

 

集合住宅「バーバリー・レーン」には、大家のマドリガル夫人のほか、個性豊かなクィアなメンバーが住んでおり、そこで勃発するとある事件の解決に向けて動き出す─といった内容だ。

 

以下、予告編。

 

 

 

 

本作は「Tales of the City(原題)」として、アメリカで93年より3シーズンに渡って放送された有名なドラマシリーズ。今回のNetflix版はその続編だが、前作を観ていなくても全く問題ない。

 

 

 

 

アメリカで”今”起こっているゲイ問題に切り込む

本作は『ルッキング』と同じ、米サンフランシスコが舞台。

『ルッキング』では、過激なセックスシーンが話題になっていたが、本作もしっかりと性的なシーンを描きつつも、より”今のゲイ”が抱える問題に切り込んでいる。

 

例えば、主要キャラクターの一人、マイケルはゲイでHIV陽性者。(マイケル役のマレー・バートレットは、『ルッキング』のドム役と同じ!)

 

 

 

 

HIV陽性の彼は、歳下の恋人から「ゴム無しセックス」を求められ、PrEPについて医者に相談するシーンは、2019年でないと描けない問題。

さらには、カップル+ゲストを入れた3P型のオープンリレーションシップに挑戦するシーンなど、アメリカのゲイコミュニティで”今”起こっているトピックが描かれる。

 

セックス以外にも、印象的なシーンが豊富だ。

例えば、90年代のエイズ危機を経験した中年ゲイたちと、20代の若者(ミレニアル世代)の価値観の違いを描いたパートなど。

 

とあるシーンでのこと。

エイズ危機を乗り越え、人生をサバイブしてきた中年ゲイたちは、「あたしらはオカマよ!ホモよ!」と自虐で笑いを誘う。その一方、「その言葉(ホモ)は差別的だから使用しないほうがいいんじゃないですか?」と諭す20代の若いゲイ。ここで世代間ギャップによるバトルが勃発する。

 

どちらが悪いともいえない絶妙な描き方は、思わず「わかるわかる…」と頷いてしまう。

 

LGBTQ当事者が演じるリアルな役

さすがはNetflix!といいたくなるのが、本作に登場するLGBTQのキャラクターは、実際の当事者の俳優が演じている点だ。

 

マイケル役のマレー・バートレットは私生活でもゲイだし、主人公の娘役・シャナは、レズビアンの女優で知られるエレン・ペイジ。主要キャラクターのトランス男性も実際にトランスジェンダー俳優なのだ。

 

当事者が演じる役柄は、説得力が段違い。

 

また、俳優陣だけでなく、脚本&現場責任者に『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』のローレン・モレリが参加しているのも注目。

 

役者から製作陣にいたるまで、クィアが作るクィアなドラマなのだ。

 

『ルッキング』にどハマりした人、LGBTQテーマが好きな人には必ずや刺さるはず。

ぜひネトフリで一気見してみて。

 

関連記事|自己肯定感の低いすべてのゲイに贈る最高のラブコメ──『アイ・フィール・プリティ!』

 

 

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