アイルランドの国民的ドラァグクイーンを描いたドキュメンタリー映画『クイーン・オブ・アイルランド』が、10月5日(金)の一夜限定で東京・渋谷のユーロラ イブにて日本初上映される。
本作はLGBT映画祭の「レインボー・リール東京」とアイルランド大使館の共催による上映会。
映画『クイーン・オブ・アイルランド』は、アイルランドの国民的ドラァグクイーン、パンティ・ブリスの激動の半生を追ったドキュメンタリーだ。
日本では知名度がないパンティだが、アイルランドでは知らない人はいないほど有名なドラァグクイーン。彼と映画について少し紹介。
パンティ・ブリスこと本名ローリー・オニールは、アイルランドの小さな町バリンローブで生まれた。
美大時代にドラァグクイーンの世界に出会い、その芸術性に魅了され“パンティ”という芸名を名乗り、80年代後半よりドラァグクイーンとして花開いていくのだった。
90年代半ば、同性愛が非犯罪化されたアイルランドに帰国したパンティは、ダブリンのクラブシーンで一気にブレイク。そんなさなか、彼に HIV陽性の診断が下される。まだエイズが不治 の病とされていた時代だ。
しかし、パンティは逆境にめげることなくHIVチャリティのための演芸大会やダブリン・プライドの司会を務め、舞台やテレビでも活躍。やがてアイルランドのゲイ・コミュニティを代表する存在となる。
世界的にパンティの名が知れ渡ったのは2014年のこと。
彼が公営テレビRTEでゲイ差別をするジャーナリストを告発したことに対し、裁判沙汰を恐れたRTEがジャーナリストに謝罪して慰謝料を支払った(通称“パンティゲート事件”)だ。
これが言論の自由の侵害であるとして、国会や欧州議会が取り上げる事態にまで発展。騒動を受けてパンティが行ったスピーチは「過去200 年間のアイルランドで最も説得力のあるスピーチ」としてインターネットで注目を集め、マドンナやルポールなど多くのスターが支持を表明した。
そして2015年5月、同性婚の合法化を問う世界初の国民投票がアイルランドで行われる。
本作のクライマックスでもあるこの国民投票で、パンティはキャンペーンの先頭に立ち、平等な権利を求める人々の代弁者となる。新たな時代に向かってパンティとアイルランドの人々が一歩を踏み出す瞬間は、まさに歴史に残るシーンである。
以下予告編をチェック。(英語版)
社会的メッセージ性のある映画だが、パンティのパワフルでユーモアのある言葉の数々に引き込まれること間違いなしの痛快作。
そして上映後には、パンティ本人を迎えてのトークイベントも開催!
一夜限りの貴重な上映会をお見逃しなく。