新しいHIV予防法・PrEP(プレップ)。
ここ1〜2年、出会い系アプリでも「on PrEP」とプロフィールに記載している人が増えたように感じるのは、気のせいではない。
実はPrEPの利用者が、ここ数年で4倍に急増していることが分かった。
HIV啓発団体「ぷれいす東京」が、9monstersと共同で、ゲイ・バイを対象にしたPrEP調査を実施。
7,850件もの大規模調査から、日本でのPrEPの利用実態が見えてきた。
今回のPrEP調査はじつに3年ぶり。
3年前(2018年)に同様の調査を行なった時には、「PrEP使用経験あり」と答えた人は全体の2.2%だったのに対して、今回は8.8%と、約4倍に増えていることが分かった。
日本では、ゲイの約10人に1人はPrEPを使っていることになる。
そしてPrEPを知っている人は全体の半数もいるのだから、これは流行っていないわけがない。
また、海外に目を向けると、欧州でのPrEP利用者は6人に1人(16%)だったり、アメリカにいたっては3人に1人(35%)という調査結果も出ており、海外だとPrEP利用はごくごく当たり前の状態。
このペースで行くと、日本もあと数年でかなりのPrEP使用者が増えると予測される。
「PrEPをどうやって入手しているのか」を聞いたアンケートでは、国内ネットが40.8%、海外ネットが39.9%と、ほとんどの人がネット経由で購入をしているよう。
特に日本では、PrEPを処方してくれるクリニックが少ないことや、薬を定価で買うと高額なことから、ネット経由で個人輸入をしている人が多いのだろう。
そして「PrEPをはじめた理由」を聞いたところ、61.2%が「相手に頼らず予防したかったから」と答えている。
セックスでは、コンドームを付けるのはタチ側なので、タチに予防手段をゆだねていることになる。ウケ側でも主体的に予防手段を持ちたいというニーズが、PrEPを使う動機になっているようだ。
また、「PrEPをはじめて良かった点」の項目では、「セックスに対する不安が減った」「HIVを気にせずセックスを楽しめるようになった」「HIV陽性者/陰性者で相手を選ぶことがなくなった」など、全体的にポジティブな内容がつづられている。
もちろん課題点もある。
最大の課題は、PrEP利用で大事な「定期的な診察」をしていないこと。その数は半数にのぼる。
PrEPは始める前に検査(HIV、B型肝炎)が必要なのと、3ヶ月に1回の定期検査がマスト。
それらを守らずにPrEPを使うのはリスクの高い行為。
今後さらに国内でPrEPが広がる上で、大きな課題となりそうだ。
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PrEPに関する調査は、海外の調査が多く、日本では数が少なかった。
しかし今回8000件近い大規模調査から、あきらかに日本でPrEPは急速に広がっていることがわかる。
その他の詳しいデータは、PrEP in JAPANをチェックしてみて。