イスラエルのテルアビブに住んでいます、がぅちゃんです。
アジア大陸で最大のパレードが開催される「テルアビブ・ゲイプライド/Tel Aviv Gay Pride 」。
概要・歴史・背景など解説しつつ、約25万人が参加するパレードの様子を紹介。さらに、キャパ1500名の会場が埋まる夜のゲイクラブイベントも紹介します。
イスラエルという国は中東地域にあるものの、人権意識や政治意識は欧米先進国に近いものがあります。ときに、首相がゲイコミュニティ(LGBTコミュニティ)を擁護する声明を英語で発表することもあります。
そんなイスラエル最大の経済都市であり、地中海に面するビーチリゾートとしても知られるのが「テルアビブ/Tel Aviv」。首都のように機能しており、各国の大使館もあります。直行便で数時間の距離の欧州では、「ゲイフレンドリーな都市」としても知られています。
テルアビブでは、日常的にレインボーフラッグを目にします。また、観光客が集まる中央区にはゲイビーチ(ヒルトンビーチ)もあります。ゲイビーチはゲイツーリズムの人気スポットであり、ゲイフレンドリーなテルアビブのランドマークと考えられています。
テルアビブで毎年6月に開催されるのが「テルアビブ・ゲイプライド/Tel Aviv Gay Pride」。そもそもゲイフレンドリーなテルアビブですが、この時期の街にはレインボーのアイテムがこれみよがしにディスプレイされます。
パレード(テルアビブ・プライド)の参加者は約25万人と、アジア大陸では最大です。テルアビブの人口は約45万人なので、それはつまり、人口の半数に匹敵するパレードが行われるという状況。パレード当日は、行進ルートの外の街の様子も明らかに変わります。
テルアビブ・ゲイプライドの歴史
イスラエルで最初のパレードは1979年。このときは抗議活動としての集会だったそうで、市役所がある「ラビン広場」で開催されました。ラビン広場は国内ではデモの定番スポットで、2018年には、10万人規模の「世界初のLGBTストライキ*」もそこで実施されました。
ラビン広場は、国内の政治や社会の変動を象徴するような場所です。その文脈は深く、過去には首相が大衆の面前で殺害されたりしています。イスラエルにおけるゲイプライドは、その始まりからして、メジャーな社会活動と同列という認識なのかもしれません。
パレードの開催期間
パレードは毎年6月の第2金曜日に開催されます。この日を挟む週末(木〜日)が、プライドウィークとして盛り上がる期間です。イスラエルの週末は金・土ですが、テルアビブは観光客が多いので、ゲイクラブイベントが土曜の夜も開催されたりします。
パレードの行進ルート
スタート地点とゴール地点は、毎年ほぼ同じです。出発地点が「ゲイセンター/Tel Aviv Municipal LGBT Community Center」付近で、ゴール地点が「チャールズクロア公園/Charles Clore Park」付近。12時頃にスタートし、2〜3時間後にゴールします。
ルートは年によって微妙に変わりますが、公式サイトで説明が記載されたり、当日のグーグルマップに虹色で表示されたりします。万人が容易に把握できるようになっているはずなので、混乱することは特にないと思います。
パレードを確実に鑑賞でき、かつ盛り上がる場所が、ビーチ沿いの海岸通り「Retsif Herbert Samuel」です。ここにいれば何かを見逃すことはないと思います。海岸通りの北部のマクドナルド前は、パレードの前も後も(というか終始)お祭り騒ぎといった様子。
パレード開始後の海岸通り(Retsif Herbert Samuel)は、動くダンスクラブのような状態になります(イスラエル人はダンス慣れしてる)。興味ぶかいのは、本当に老若男女が参加/鑑賞しているというところ。ゲイプライドが大衆にリーチしているさまが感じられます。
イスラエルならではの政治的主張
パレードの本質はやはり抗議活動。LGBTに関する政治的主張にも存在感があります。有名なのが「ピンクウォッシュ/ Pinkwashing」。「イスラエルがゲイフレンドリーを利用してパレスチナ問題*をうやむやにしている」という国際的な指摘のことです。
*パレスチナ問題とは「イスラエル国がパレスチナ国を実効支配している」という、見方の一つです。(あえて無理矢理)ご近所トラブルの「樹木の越境」で例えるならば、越境先で自家製フェンスをこしらえ、相手の庭に植物を植えるところまでいってるような状況。
彼らの主張はこうです。「イスラエルがピンクウォッシュでうやむやにしてる……とされる問題を、我々イスラエルのLGBTはうやむやにしない」という、思慮と文脈が深い内容。イスラエルのパレードだからこそ説得力がある主張にも思えます。
パレスチナには同性愛が違法な地域もあり、LGBTに対する差別は顕著と言われています。苦境から逃れるようにイスラエルにやってきたパレスチナ人も存在し、それについては「パレスチナのLGBTを受け入れる寛容なイスラエル」という見方も存在します。
ビーフの様子
テルアビブ(つまりはイスラエル)を代表するゲイイベントの「ビーフ/Beef」。2018年のパレード前夜は、世界的にも有名なクラブ「Haoman 17」で開催されました。プライド期間中で最大級のゲイクラブイベントであり、EDMのフェスような雰囲気です。
注意
ビーフはあくまでもクラブイベントなので、ドイツ・ベルリンの「ラボラトリー/Lab.Oratory」のようなセックスクラブ営業は行われていません。ただし、簡易ダークルーム(ハッテンスペース)が設置されることはあります。
テルアビブでのイベントスケジュールは(日本と比べると信じられないくらい)臨機応変に変更されたりします。詳細や最新情報の把握は、公式サイトでのチェックが確実です。以下にスケジュールをまとめておきました。
テルアビブ・ゲイプライドのスケジュールまとめ