先週10月29日、ライフネット生命が「同性パートナーの保険金受取可能」を発表した。同社は、11月4日に同サービス開始に合わせた説明会を開催。気になるサービスの全貌とは?
まず、先日発表された「同性パートナーへの保険金受取」について
ライフネット生命では、これまで死亡保険金受取人は、「戸籍上の配偶者」「2-3親等以内の血族」「異性間の事実婚関係にあるパートナー」の3つが、保険金受取人として指定可能だった。
今回新たに発表されたものは、保険金受取人の範囲を拡大し、同性パートナーへも受取を可能にする画期的なものだ。
同性パートナーへの施策を行った理由は?
説明会では、ライフネット生命の代表取締役社長兼COO岩瀬氏が登壇。
「同性パートナーへの保険金受取範囲の拡大はごくごく自然のことです。2年ほど前から、社内の有志たちによる勉強会を行い検討を重ねてきました。」と語り、同施策は、当事者のニーズをヒアリングし勉強会を行う中で、なるべくしてなったものと語る。
例えば、LGBT当事者が死亡保障に関するニーズとして以下が挙げられる。
具体的なサービス内容とは?
今回のサービスは、異性・同性問わず申し込みフローに大差はない。保険加入にあたり以下書類が必要となる。
⑴ 住民票
⑵ ライフネット生命所定の確認書(※同性パートナーのみ)
同性パートナーを証明する上で、ライフネット生命では独自の確認書を設けている。これについて岩瀬氏はこう述べる。「同性パートナーを証明する上で、渋谷区・世田谷区の同性パートナー証明書の提出を検討しましたが、どうしても区限定のものになっては意味がないので、自社独自の確認書を作ることにしました。」
確認書では、同性パートナーが指定できる他、もしパートナー関係を解消した場合は受取人を変更することも可能。
同性パートナーに保険受取人を行うことのリスクは?
同性パートナーへ保険受取範囲を拡大することで、モラルリスク(保険金の不正取得)が起きる可能性がある。この件ついてはライフネット側はどう対策を取るのだろうか?
岩瀬氏「私たちが現状行っている、異性間の事実婚と、今回の同性カップルへの適用は、モラルリスクとしては同程度という結論に至りました。」続けて、「我々は、法律上の婚姻関係ではない同性パートナーも、生計を一にすることは『家族』とみなしています。」と明言した。
今後の課題とは?
同性パートナーの保険金受取が可能になったものの、今後の課題もある。同性パートナーは法定相続人(法律上の配偶者・子)では無い為、保険金を受け取る場合は相続税がかかるのだ。
これは日本の税制度に起因するものなので、現状は仕方が無いといえる。以下、相続税を表した参考資料。
岩瀬氏は、「私たちは同性パートナーを特別視するわけでなく、一般の方々と同等の保険サービスを受けられることを目的としています。」と語っている。
相続税の負担など問題点はあるものの、今回発表された同性パートナーへの施策は、日本の保険サービスにおいて革新的だ。
生涯のパートナーを持つ人や、これまで保険加入を諦めていたLGBTにとって大きなメリットになり得るだろう。