ジョン・キャメロン・ミッチェル(John Cameron Mitchell)
名作LGBTといえば「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ(2001)」を抜きには語れない。
2001年に公開された同作は、一度観たらハマること間違いなしだ。
多くの人にとってこの映画は、性自認の流動性について知る最初の機会になったことだろう。ミッチェルは他にも同性同士の性描写で知られる「ショートバス(2006)」や「ラビット・ホール(2010)」の監督を務めている。
彼の最新作「How to Talk to Girls at Parties(原題)」は、今年全米公開予定だ。
フランソワ・オゾン(François Ozon)
オゾンの作品はしばらくの間、フランス人以外には知られていなかった。彼が国外の人々に知られるようになったのは、2000年の「焼け石に水」や2002年の「8人の女たち」2003年の「スイミング・プール」などアメリカのインディペンデント映画視聴者向けに映画を製作し始めてからだった。
オゾンの映画の多くは、セクシャリティの探求をテーマとしており、その描かれ方はヨーロッパの映画らしく奔放だ。また、映画にはオゾンが得意とする皮肉もたっぷりと盛り込まれている。彼が2014年に手がけた映画「The New Girlfriend」はジェンダーの概念を破壊するとして賞賛されている。
キンバリー・ピアース(Kimberly Pierce)
ピアースの監督デビュー作品である「ボーイズ・ドント・クライ(1999)」は、トランスジェンダー(FTM)であるブランドン・ティーナが、1993年にヘイトクライムによって殺害された実話が元になっている。
同映画は、トランスジェンダーについて、そしてトランスジェンダーの人々に対する暴力への認知度の向上に大きく貢献した。主演を務めたヒラリー・スワンクは、同映画でアカデミー主演女優賞を受賞している。ピアースはその後「ストップ・ロス/戦火の逃亡者(2008)」と「キャリー(2013)」の監督を務めた。
ディー・リース(Dee Rees)
リースが監督と脚本を務めた「Pariah(原題)」は17歳のアライクが自身がレズビアンであることに気づき、それを受け入れるストーリーだ。リースは2015年にバイセクシャルのブルース歌手であるベッシー・スミスの伝記映画を製作した。現在は、「Mudbound(原題)」の監督業をこなす傍ら、移民史「The Warmth of Other Suns(原題)」のTV化に取り組んでいる。
パトリシア・ローゼマ(Patricia Rozema)
カナダ出身の映画製作者ローゼマは、カナダとアメリカ、映画界とテレビ界を行き来してきた。コメディー映画「私は人魚の歌を聞いた(1987)」やロマンス映画「月の瞳(1995)」は、どちらもセクシャルマイノリティの女性に焦点が当てられており、観る者を魅了する。またローゼマは、ジェーン・オースティンの「マンスフィールド・パーク」の映画化も手がけた。ローゼマの最新監督作「Into the Forest(原題)」では、エレン・ペイジが主演を務めている。
アイラ・サックス(Ira Sachs)
「人生は小説よりも奇なり」は2014年に公開された映画の中で最も美しく、そして心に強く訴える作品の一つだ。
ジョン・リスゴーとアルフレッド・モリーナが共演を果たした同映画は、同性婚をした熟年男性カップルが直面する様々な問題をヒューマン・ドラマとして描いている。
また2012年の自叙伝的映画「Keep the Lights On(原題)」は、薬物中毒に陥った若い同性カップルの不安定な恋愛を描いており「人生は小説よりも奇なり」とは全く異なるテイストを醸し出している。サックスの最新作「Little Men(原題)」は、今年のサンダンス映画祭でプレミア上映されたばかりだ。
リン・シェルトン(Lynn Shelton)
「Humpday(原題)」は、従来のクィア映画と異なり、2人のストレート男性に焦点が当てられている。主人公のベンとアンドリューは、ひょんなことから「アート・プロジェクト」として2人が出演するゲイポルノを製作することになってしまう。映画は、男性のセクシャリティと男同士の友情の内に存在する同性愛的な感情をコメディタッチに描いている。
2011年に公開された映画「Your Sister’s Sister(原題)」はセクシャリティのグラデーションを描いた、従来のロマンティク・コメディとは全く異なる作品に仕上がっている。彼女の最新の映画「Laggies(原題)」は2014年に公開されている。
ガス・ヴァン・サント(Gus Van Sant)
クィア映画界で最も名の知れた映画監督の一人であるガス・ヴァン・サントは、これまで30年に渡って監督として映画業界で活躍してきた。
彼の扱う映画のジャンルは多岐にわたる。彼の作品を挙げるとキリがないのだが「マイ・プライベート・アイダホ(1991)」や「ミルク(2008)」は特に有名だろう。
「ミルク」はアカデミー賞において8つの部門でノミネートされ、ダスティン・ランス・ブラックが脚本賞を、ショーン・ペンが主演男優賞を受賞した。
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