今泉浩一
日本人のオープンリーゲイ監督。
「初戀 Hatsu-Koi(2007)」「家族コンプリート(2010)」「すべすべの秘法(2014)」など、インディペンデントとして一貫したゲイ映画を撮り続けている、日本では数少ない映画監督。
その作品は海外でも高く評価されており、香港国際映画祭、ベルリンポルノ映画祭など、国内外の映画祭にて出展・上映されている。
ジャスティン・シミアン(Justin Simien)
シミアンのデビュー作である「Dear White People(原題)」は大成功を収め、インディペンデント映画に贈られるインディペンデント・スピリット賞の第一回脚本賞を受賞した。
映画は、白人学生が多数を占める大学キャンパスで起こる人種間の軋轢を皮肉たっぷりに描いている。シミアンは、2014年のサンダース映画祭の「Dear White People」のプレミアでゲイであることをカミングアウトしている。
現在シミアンは「Dear White People」をNetflixでシリーズ化するために脚本を書いているそうだ。
ダレン・ステイン(Darren Stein)
「ハード・キャンディ(1999)」は、ステインの作品として最もよく知られている、カルト映画だ。学校を牛耳る意地悪な女子高生たちが、度を越したいたずらによって仲間を殺してしまうダークコメディである。
2013年に公開された映画「G.B.F.」においてステインは、ストレートの女の子がゲイ友を自身の所有物のように扱う様を描き出し、ゲイ友のコンセプトを覆しにかかった。現在ステインは、「ハード・キャンディ」のミュージカル化に取組んでいる。
ローズ・トローチ(Rose Troche)
「GO fish(1994)」はマックスとイーライの恋愛を描いたクィア映画のクラッシックだ。トローチの作品が常にLGBTを題材にしているわけではない。しかし、2001年に「The Safety of Objects(原題)」の公開に際し行われたインタビューでトローチは「私の行為は全て、私がクィアであることに影響を受けている」と答えている。
トローチは、TVドラマの監督業にも熱心で「シックス・フィート・アンダー」や「Lの世界」、最近では「Finding Carter(原題)」などの監督を務めた。またトローチは、VRを用いて、性的暴行を経験してもらうプロジェクトにも取組んでいる。
アピチャッポン・ウィーラセタクン(Apichatpong Weerasethakul)
タイ人のオープンリーゲイ監督アピチャッポン。
彼は、これまでに官能的で感情豊かな作品を世に送り出してきた。彼の作風は物議を醸すことも少なくなく「ブリスフリー・ユアーズ(2002)」は、男性のヌードが映る生々しいセックスのシーンのため、祖国タイにおいて検閲に引っかかってしまっている。
アピチャッポンはクィアを題材にすることが多く、カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した「トロピカル・マラディー(2004)」はそのうちの一つだ。彼の作品で最も知られているのは、何と言ってもカンヌ国際映画祭でタイ映画史上初のパルム・ドールを受賞した「ブンミおじさんの森」だろう。
マイク・ホワイト(Mike White)
ホワイトは脚本家として活躍している印象が強いが、そんな彼が唯一監督を務めたのが「ラブ・ザ・ドッグ犬依存症の女(2007)」だ。脚本家としては「チャック&バック(2000)」や「グッド・ガール(2002)」「オレンジカウンティ(2002)」や「スクール・オブ・ロック(2003)」の脚本を担当した。
テレビ業界での活躍も目覚ましく2011年から2013年まで続いたコメディドラマ「Enlightened(原題)」では監督と脚本家として精力的に携わった。
セバスチャン・シルバ(Sebastián Silva)
セバスチャン・シルバはこれまでに愉快で独特な世界観のある映画を製作してきた。シュルレアリスム、コメディー、ホラーが絶妙に混ざった彼の作品は、映画のジャンルを超越していると言っても過言ではない。
「トランストリップ(2013)」で旅の途中で不幸が続き精神が崩壊していく少女を描いたと思えば、「クリスタル・フェアリー(2013)」では、幻覚作用のあるサボテンを求めて旅をする少年を描いている。どちらの映画もシルバの故郷であるチリが舞台となっている。
シルバの最も新しい作品である「Nasty Baby(原題)」は、子どもをもうけようとするゲイカップルの話だ。この映画も、シルバらしい期待を裏切る展開になっている。