今は亡きオープンリーゲイ監督ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの生誕70周年に合わせた特別上映会『WEEKEND CINEMA vol.3ファスビンダー・美しきヒロインたち』が、9月25日、26日、27日の3日間で開催される。
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー(1945~1982年)は、ドイツ人映画監督、脚本家、俳優として活躍した、ニュー・ジャーマン・シネマの担い手として知られる著名監督。また彼は、自身もゲイであったことから、同性愛、ユダヤ人問題をテーマにした作品を数多く残している。
そんなファスビンダー作品の中から、『マルタ』、『ローラ』、『マリア・ブラウンの結婚』を特別上映。同三作品は、戦後ドイツ社会で抑圧されながらもたくましく生きる美しい女性たちを描いた名作だ。ファスビンダーの美的感覚と、エンターテイメント性に優れた刺激的な3作品は是非とも観て欲しい。
『マリア・ブラウンの結婚』
1979 年/ 120 分/カラー/ 35mm ニュープリント
監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
出演:ハナ・シグラ、クラウス・レーヴィッチュ
第二次世界大戦中に結婚し、敗戦後行方不明となった夫ヘルマンへの一途な愛を貫きながら、アメリカ兵ビルや実業家オスヴァルトと懇ろになり富を築き上げていくマリア。それから10 年、突如姿を現したヘルマンを前に彼女は衝撃的な事実を知る…。敗戦後の西ドイツ戦後史をファスビンダー流に描きながら、ひとりの女性の自己犠牲をテーマにした究極の“愛” の物語。マリア役を熱演したハナ・シグラは、本作でベルリン映画祭銀熊賞を受賞した。
『ローラ』
1981 年/ 116 分/カラー/ 35mm
監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
出演:バーバラ・ズコヴァ、アーミン・ミュラー゠シュタール
戦後の建設ブームに湧く1950 年代末のとある地方都市。生まじめな建設監察官フォン・ブームと、彼が一目で恋に落ちたナイトクラブの歌姫で娼婦のローラをめぐる、コメディ的要素の強いメロドラマ。スタンバーグの名作『嘆きの天使』(1930)に着想を得て製作された本作は、50 年代ハリウッドのテクニカラー映画を思わせる色鮮やかな画面が印象的。尊敬するダグラス・サークの作品を思い起こさせる一作。
『マルタ』
監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
出演:マーギット・カーステンゼン、カールハインツ・ベーム
1975 年/ 113 分/カラー/ 35mm
世間知らずなブルジョワ娘と、彼女を抑圧し躾ようとするサディスティックな夫。美しい夏の湖畔を舞台に、夫婦間の激しい抑圧関係を描いたサイコホラー。撮影監督ミヒャエル・バルハウスによる映像美と甘美なクラシック音楽が、一組の夫婦に起こる“愛”と“抑圧”の不可思議な関係を辛辣に映し出す。また本作は、作家コーネル・ウールリッチの短編と似ていると指摘され、製作後に改めて映画化の権利を獲得した。
『WEEKEND CINEMA vol.3ファスビンダー・美しきヒロインたち』
2015年9月25日(金)、26日(土)、27日(日)
会場:アンスティチュ・フランセ東京