こんにちは!台湾在住ライターのMaeです。
2022年も残すところ、あとわずか。国際同性カップルの結婚から政治の場での快挙、アジア最大級のLGBTイベント復活など、今年も台湾では、LGBTに関連する様々な出来事がありました。
今日は、この1年を振り返る意味も込め、現地で注目を集めたニュースをピックアップしてご紹介したいと思います。
LGBT当事者たちの権利平等を目指して活動を続ける団体・彩虹平權大平台が主催となるイベント「Q POWER Festival」が、初開催されました。
テーマは、「匯集彩虹能量,打開多元聲音的對話 以正向影響力,啟動每一個自覺時刻(虹の力を集めて、多様な声との対話を。ポジティブな力で、気づきの時を。)」
台湾で活躍するYouTuberやPodcasterへのオンライン人気投票の他、LGBTをテーマとした優れた音楽作品・映像作品・広告を称える表彰式も、5月に執り行われました。
また、表彰式に合わせて、台北101のお膝下・信義區でのマーケットの開催や、台北各地のバーとコラボレーションした限定カクテルなども登場。式典には、台湾の著名人も司会やゲストとして多数参加するなど、話題を集めました。
昨年2021年に、台湾が開催権を獲得した「ワールドプライド」。開催が実現すれば、東アジア初となる快挙でしたが、2022年8月になり、台湾でのワールドプライド中止が決まったという、ショッキングなニュースが飛び込んできました。
中止を余儀なくされた最大の理由は、イベント名に。
台湾側は、開催権コンペの段階から「World Pride Taiwan」の名称を冠しての企画を提案していたのに対し、ワールドプライドを運営するInterPride側は、今年に入り突如「Taiwanの表記を認められない」と主張。
台湾各都市を巻き込んでの一大イベントとする準備を進めていた台湾側は、多数回にわたる討論に応じて来ましたが、最終的には「InterPride側の要求を受け入れることはできない」との結論に。イベントの中止が、Facebook公式ページにて発表される運びとなりました。
台湾が国際的に置かれている状況が、LGBTイベントにも影響を及ぼすという、悲しいような、悔しいような、複雑な心境に駆られるニュースとなりました。
台湾で同性カップルの結婚が実現し3年が経った2022年ですが、現在も法整備が待たれている「跨國同婚(国際同性カップルの結婚)」。
台湾籍と外国籍パートナーのカップルでは、外国籍パートナーの母国で同性婚が実現していない場合、台湾でも依然として結婚が認められない状況が続いています。
そんな中、結婚を求める訴訟を起こし、勝訴した国際同性カップルの方々も。
戶政事務所にて提出した婚姻届が受理されなかったことを受け、昨年2021年より始まっていた、台湾人のIanさんと日本人のAzさんの裁判でも、「婚姻届を受理すべき」との判決が今年8月に発表されました。
判決が確定した9月には、戶政事務所に赴いての手続きの後、おふたりの結婚が正式に実現。台湾で法律上の婚姻関係が認められた、初の台日カップルが誕生しました。
国際同性カップルの勝訴は、これで4例目。現段階では、裁判で勝訴したおふたりのみに適用される措置ではあるものの、跨國同婚に関する法整備が進む追い風になるかと、期待が寄せられています。
同性カップルの結婚に関する法案が可決されるなど、政治の場においても、LGBTの権利に関する討論が行われている台湾。しかしこれまで、自身のセクシュアリティをカミングアウトして活動を行う議員はまだまだ少なく、特にゲイであることをオープンにしている議員はいない状況が続いていました。
しかし今年、新たな動きが。台北市のおとなり新北市にて、唐聖捷さんが新北市議会議員に就任。これにより、台湾で初めてとなるオープンリー・ゲイの議員が誕生しました。
今回の就任は、汚職により逮捕された新北市議会議員に替わり、2018年に行われた市議会議員選挙の得票数に基づいての繰り上げというかたちで実現しました。
しかし、2022年11月には次期市議会議員の選挙が行われ、まもなく新体制が発足するというタイミング。そのため、44日間という短い任期とはなりますが、台湾初の快挙として大きな話題を集めました。
昨年2021年は、台湾でもコロナウイルスの感染が拡大。その影響を受け、台湾各地のLGBTプライドも中止またはオンライン開催になるなど、例年とは異なる措置が採られることとなりました。
2022年後半に入り、観光ビザの再開や入国後隔離の廃止など、台湾のコロナ対策もようやく開放の方向へ。国内の大型イベントも再び開催されるようになり、台湾各地のパレードも2年ぶりの復活を遂げました。
今年パレードを再開したのは、「台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)」「高雄同志大遊行(高雄プライド)」「台南彩虹遊行(台南レインボープライド)」の3つ。
台風接近による雨模様の中、10月に台北で行われた「台灣同志遊行」には、約12万人が参加。高雄、台南のLGBTプライドにも、それぞれ約3万人、2万人が集まるなど、コロナ禍前にも負けない盛り上がりとなりました。
2023年は、他の都市でもLGBTプライドの復活が予想されます。来年はぜひ台湾にて、パレードを歩いてみてはいかがでしょうか。
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2022年台湾の注目LGBTニュースをご紹介しました。
今年も、新たな試みや史上初の快挙など、LGBTに関連するたくさんの出来事があった台湾。
2023年の台湾は、世界にどのような歩みを見せてくれるのか、来年も目が離せません。