こんにちは!台湾在住ライターのMaeです。
2024年も残すところ、あとわずか。今年も台湾では、エンタメ・法律・イベントなど各分野にて、LGBTに関連する様々な出来事がありました。
今年現地で話題となったニュースを、ピックアップしてご紹介したいと思います。
ドラァグクイーンたちがファッションやユーモアのセンス、リップシンクのスキルなどを競うアメリカの人気リアリティコンテスト番組『ル・ポールのドラァグレース』。
今年1月から公開されたシーズン16にて、台湾のドラァグクイーン・Nymphia Wind(ニンフィア・ウインド)さんが優勝を果たしました。
番組中でも、台湾の文化や要素を取り入れたファッションやパフォーマンスを披露し、ユニークな魅力が光っていたNymphiaさん。優勝がかかった決勝のリップシンクバトルでは、台湾発祥のドリンクとして名高いタピオカミルクティーをモチーフにした衣装で登場し、SNSでもそのルックが話題を集めました。
「Taiwan, This is for You!(台湾。この優勝をあなたに捧げます!)」と、優勝後の舞台でコメントした Nymphia さん。当時の台湾総統・蔡英文さんもお祝いのメッセージを贈り、総統府に招待してのパフォーマンスも行われるなど、国際舞台での大きな快挙となりました。
台湾のドラァグカルチャーにも注目が集まっており、今後のさらなる盛り上がりに期待です。
台湾では現在、同性カップルにも適用範囲を広げる可能性を含めた「人工生殖法」の討論が行われていますが、今年5月からは「反歧視法(反差別法)」の法案に関する討論も始まりました。
現在施行されている台湾の法律の中には、差別に関する項目が個々に盛り込まれているものもありますが、差別の具体的な定義や被害者への補償、差別禁止が適用される領域の狭さ、また逆に差別には当たらない事例の規定などにおいて、不足が指摘されています。
今回の法案は、それらの不足を充実させる目的で、行政院(日本で言う内閣に当たる機関)より発表されたもの。
台湾各都市での公聴会も終了し、見識者の意見も取り入れながら、法案の調整が続いています。種族や障がい、年齢、信仰、セクシュアリティも含む性別によって、差別されることのない社会の実現に向けて、台湾は今も歩みを続けています。
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世界中で様々な討論を巻き起こしているAIによる画像生成。今年9月には台湾でも、Alによる画像生成が大きな注目を集める出来事がありました。
タピオカミルクティーを飲む黒縁メガネの男子。スクーターの上で熱々のフライドチキンをほおばる男子。休日のアクティビティとして人気のハイキングへ、友達と出かける男子たち。
アジア系、中華系からさらに絞られ、AIによって描かれているのは、紛れもなく台湾の男子たち。家庭や学校、職場などで誰の身近にも存在していそうな、あまりの再現度の高さに、台湾の大手メディアも取り上げるほどのニュースとなりました。
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これらの作品を発表したのは、7年間にわたる台湾在住歴のある日本人・りゃんさん。
「台湾を離れてしばらく経って、恋しい気持ちをAIで表現したい」と思い立ち、作品づくりを始めたそう。「台湾AI男子(@taiwanaiboys)」では、現在も続々とりゃんさんがAIで描いた台湾男子たちが生み出されています。
リアルで素朴な男子たちと出会いに、ぜひインスタアカウントをフォローしてみては?
2019年に同性カップルの結婚が実現された台湾。現在、台湾人×外国人の国際同性カップルも台湾で結婚ができるようになっていますが、その対象に依然として含まれていなかったカップルも存在しています。
国際的に非常に複雑な関係にある、台湾と中国。台湾人×中国人のカップルが台湾にて結婚する場合、他国出身の外国人とは異なる法律が適用されており、先に中国にて結婚の手続きを完了していることが条件となっています。
しかし、まだ同性カップルの結婚が認められていない中国。中国で先に手続きを終えることができないゆえ、台湾人×中国人のカップルは、台湾でも結婚ができない状態が続いていました。
そんな中、今年9月に動きが。同性カップルの結婚ができる第3国にて結婚の手続きを完了していれば、台湾でも結婚が可能になる旨を内政部(日本で言う内務省に当たる機関)が発表しました。
これにより台湾での結婚を果たした、初めての台湾人×中国人カップルも誕生。
まずは第3国での結婚という、依然としてハードルの高い条件が存在してはいるものの、結婚への道が開かれた1歩となりました。
10月には台北にて「台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)」が開催。参加者18万人を記録し、コロナ後最大の規模となりました。
誰もが心地良く共生できる社会を目指して。「邁向共融,交織共生 Embrace Inclusion」をテーマに歩かれた今回のパレードでは、同性カップルの結婚実現から5年が経ち、家族のあり方もより多様になり始めた台湾が、次なるステップへと進んでいくためのメッセージが訴求されました。
海外からの参加者も大幅に増え、国際社会からの注目度の高まりを感じられた今回のパレード。
来年も10月の最終土曜日に開催予定ですので、アジア最大級のパレードを体験しにぜひ、台北を訪れてみては?
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2024年に台湾で話題となったニュースをピックアップしてご紹介しました。2025年は台湾にとって、どんな1年になるのか。今後の動向からも目が離せません。