2024/04/23

「日本で就職しました!」台湾の人気イラストレーター・GAYDIO(ゲイジオ)さんは、なぜ日本へ?

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ゲイ3人のドキドキな三角関係を描いた漫画『老師!男友還給我(Teacher, Give Me Back My Boy!)』の作者・GAYDIO(ゲイジオ)さん。

台湾の書籍販売サイト「博客來」では、2023年発表の台湾漫画作品TOP3にランクインするなど、現地で大きな話題となりました。

 

現在は生活の場を日本へと移し、会社員として働きながら Instagram などのSNSをはじめとする各方面にて、イラストレーターとしての活動を続けておられます。

 

台湾で話題作を生み出した彼は、なぜ日本へと拠点を移したのでしょうか?

日本との出会いや新生活、LGBTQ+を巡る環境への所感について、お話を伺いました。

 

インタビュー前編はこちら> から。

 

台湾の人気イラストレーターが、日本に興味を持ったきっかけは?

 

2019年東京での交換留学時代、シェアハウスのルームメイトたちとの食事会にて

 

現在、福岡にてIT企業の会社員として働いているGAYDIOさん。

そもそも、一番最初に日本への興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

 

「少女漫画やアニメが最初の入り口でした。『カードキャプターさくら』や『おジャ魔女どれみ』などを、子供の頃によく観ていた記憶があります。僕の描くイラストも、少なからず影響を受けているかもしれません。」

 

「大学生の時には、交換留学で東京にも半年間ほど住んでいました。その時に住みやすいと感じたことも、後に日本で暮らすことを目指し始めたきっかけとなっている気がします。」

 

「大人になってからの最近は、日本の不動産がすごく魅力的に映っています。台湾の不動産価格は長年高止まりしていて、なかなか手が出せない。でも日本だと、がんばれば手が届く実感を持てるので、いつか日本で家を買って、穏やかに暮らせる環境を整えられるといいな、という想いもあります。」

 

 

台北のカフェにてインタビュー中のGAYDIO(ゲイジオ)さん。

 

GAYDIOさんは日本語に精通しており、今回のインタビューもほぼ日本語での実施に。語学の勉強は、どのように進めて来たのでしょうか?

 

「日本語を初めて勉強したのは、中学生の頃です。アニメの影響もあって、 日本語ができるようになりたい!”と思い、語学スクールにも通っていました。中級あたりで一度挫折したのですが、大学生になって交換留学をしたいと思った時に、日本語能力検定のN2(=上から2番目のレベル)が必要と言われて… ブランクがありましたが、勉強を再開しました。」

 

「東京での交換留学中は、シェアハウスに住んでいました。僕にとっては、日本人とリアルで日本語を話す初めての体験。教科書には出てこない言葉や言い回しも、シェアハウスでの会話の中で学ぶことができました。日本での就職を考え始めて、N1(=最高レベル)の資格が必要だと感じたので、台湾に戻った後も勉強を続けていました。」

 

「あと、日本の男性たちは、カッコよくてかわいい人が多いなと感じています!現在でも、日本語を勉強するモチベーションにつながっていますね 笑」

 

日本での生活の中で感じる、台湾との違いは?

 

豊かな自然と都会の両方を楽しめる福岡での生活(左:中洲の川沿い / 右:能古島の菜の花畑)

 

日本のアニメに影響を受け、東京での交換留学も体験したGAYDIOさん。

長く住んでみたい気持ちの一方で、台湾を離れることの迷いもあったと語ります。

 

「コロナの流行が、結果的に自分を突き動かす力になりました。自由に行き来ができなくなったからこそ、日本へ行きたい気持ちがどんどん大きくなっていった。ただその当時は、高雄で広報の仕事をしていましたし、付き合っているパートナーの存在もあります。それでも可能性を広げるために、他の世界を見てみたい!その想いの方が強くて、日本へ行くことを決めました。会社への就職を選んだのは、長く住むためには就労ビザを取得するのが一番現実的だと、判断したからです。」

 

 

初めて積もった雪を見た、会社の同僚とのスノーボードでの1枚

 

就職活動の後、GAYDIOさんは福岡にあるIT企業への就職に成功。広告バナーやLPの制作に励む傍らで、イラストレーターとしての活動も継続しています。

2回目となる日本での生活の中では、どんなことを感じておられるのでしょうか?

 

「静かに過ごせる環境が整っているなと、よく感じます。僕は音に敏感な体質なのですが、台湾はバイクがとても多いので、その点はかなり違いを感じます。春は桜、夏は花火、秋は紅葉、冬は雪と、四季がしっかりと感じられる点も素敵ですね。公共の場でスマホの音に気を使ったり、道路がキレイに保たれていたりと、マナーの良さも素晴らしいと思います。」

 

「逆に、お店が早い時間に閉店してしまうのが、まだ少し慣れない点かもしれません。台湾だと、20:00を過ぎてもデパートは開いていますし、退社後の時間もたっぷり楽しめる余裕があった気がします。あとは、食事でしょうか。台湾料理を見つけるのが難しくて、台湾の味が恋しくなった時は、少し寂しさを感じてしまいますね。」

 

台湾人の視点から、日本のLGBTQ+を巡る環境をどう感じている?

 


福岡で開催された「九州レインボープライド」に参加した際の1枚

 

アジア各国に先駆けて、同性カップルの結婚を実現したことでも知られる台湾。

そんな台湾からやって来たGAYDIOさんの目に、日本の現状はどのように映っているのでしょうか?

 

「交換留学をしていた頃と比べてみると、日本の環境も少しずつ変わっているように思います。福岡のデパートでも、同性パートナーシップ制度やLGBTQ+に関する知識を紹介するパンフレットが置かれていたりして。東京のような大都市でなくても、そのような取り組みがあることが素晴らしいと思いました。」

 

「昨年(2023年)は、福岡で開催されたLGBTプライドにも参加しました!台北の大規模なカーニバルのようなパレードとはまた違った、ピースフルで温かい雰囲気が心地良かったです。」

 

「ただ、台湾と比べると、(自身のセクシュアリティを)職場などに知られないよう気を張っている方も多い印象があります。僕自身は自分からカミングアウトすることはあまりありませんが、もし恋愛話などを聞かれた時には素直に答える、というスタンスでいます。」

 

 

 

iPadを使ってカフェでイラスト製作中のGAYDIOさん

 

『老師!男友還給我』の制作がひと段落し、日本での生活にも慣れてきたというGAYDIOさん。

最後に、これからチャレンジしてみたいことについて、伺ってみました。

 

「欧米のプラットフォームでも作品を発表してみたい、という想いがあります。特に X(Twitter)では、欧米からフォローしてくださっている方もとても多いので。日本も含めて、台湾以外の場所でも出版できるようになるといいなと、思っています。」

 

「同人誌や二次創作にも挑戦してみたいですね!最初が商業誌だったので、実はまだ同人誌を作ったことがなく、ずっと描いてみたいと思っていました。即売会などに参加して、いろんな読者さんと交流してみるのも楽しそうですね。」

 

「あとは、マッチョになりたいです!今もジムには通っていますが、まだ成果が出ていないので、がんばりたいですね。もっとセクシーになりたいという気持ち以外に、絵を描く時に自分のカラダを参考にできるようになると便利ですしね 笑」

 

***

 

日本で就職をした台湾の人気イラストレーター・GAYDIOさんに、お話を伺いました。

 

GAYDIOさんの描く話題作『老師!男友還給我』は、台湾の書籍販売サイト「博客來」での日本からの購入、または「Google Play」での電子書籍購入も可能となっています。中国語が分からなくてもストーリーを理解できる構成も秀逸。

 

ゲイ3人のドキドキな三角関係をのぞいてみたい方はぜひ、お手に取ってみてはいかがでしょうか?

 

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