ーあなたにとって愛とは何ですか

24歳で今の奥さんと結婚しました。 奥さんを愛してるんですよ、もちろん子供も。アスペルガーとか発達障がいの人って、意思疎通が上手く出来ないってのもあって、気持ちがうまく伝えられないというか。

愛ってきっと皆んな持ってるし、愛したいって気持ちはあると思うんです。ただ人によって愛の表現が違う。

そこに愛がありますっていうと、良いところも悪いところも含めて、その人が生きていて初めて愛って感情が生まれると思うんだけども、愛だからこうって決めてしまうと、結局「私のこと愛してるの？」っていう部分で、論争が起きたり喧嘩が起きたりするのが一番馬鹿げてるなって。単に不器用だったりとか、伝え方が上手くなかったりとかで「旦那（家族や友人）は、私に愛情がないんでしょうか？」って疑心暗鬼になって…でもそれって愛がないんじゃなくて。

愛があるからこういう風にしてくれるものだろうって勝手に決めて、自分のエゴとか都合で。例えば、目に見える身体に障害がある人に、愛があるならこれをしてって言っても、物理的に出来ないことってあるし。同じように、男性は男性の頭でしか、女性は女性の頭でしか考えられないこともあるし、結局投げてるボールが違っていたとしても、愛したいってその気持ちには嘘はない。

犬と猫の話って聞いたことあります？男性が犬で女性が猫の例えなんですけど。犬は猫が大好きで、大好きな猫の為に何をしてあげたら喜ぶかなって一生懸命考えて、大好きな骨をあげようって猫に骨を持って行っちゃうの。でニコニコして喜んでくれると思ったら、ニャー！って猫パンチされるっていう（笑）猫は猫で私が欲しいのはコレじゃないって。

男と女は違う惑星に住んでる宇宙人同士だからって、よく言うじゃないですか。それはゲイ惑星だったり、他にも色んな惑星があって。その惑星の中の人にしてみたら、それあるあるだよねで成り立ってるんだけど、でもよくよく話を聞いてみると喧嘩の元って、他の惑星では通用しない事だったり。皆んなそれぞれが、こうして欲しいとかこうしてあげたいとかの、ほんの小さなすれ違いで。結局突き詰めてみると、何？皆んな好きなんじゃんて愛してるんじゃんって。そもそも気持ちがなければ、関心もないから喧嘩にもならないし腹も立たないですもんね。

もっとちゃんと話して分かり合って、境界線が無くなってくると大体みんな同じで。だとすると愛そうって概念がなくても、今こうして話してるだけで繋がっていて愛もあって。その余計なものを取っ払う作業が、話し合うっていうことかなって。そういう意味ではカミングアウトも、愛の表現の一つだし。だから、表現するってのはすごく大事だなって。話し合うこと表現し合うことで、そこで皆んなが切磋琢磨して理解し合う。

感じ方も趣味趣向も人それぞれだけど、それ以外は大体同じなんだってのがわかると、他人をを愛せるというか…合わない奴でも、まぁコイツも自分と同じなんだから許してもいいか、って。

自分の超イヤな部分をこの人によって見せられたって思って得したって思ったり。そういうメンターみたいなのって良いバージョンを求めちゃうんだけど、逆バージョンの方がインパクトが強いから…皮肉な事に（笑）こう、イライラしたり怒ったりする感情って、ネガティヴに捉えられがちですけど、僕にとっては役立つ感情だなって。嫌いな人もいて良いし、その嫌いを感じてる自分でも良い。愛って、ポジティヴで正義でって…決めつけちゃうと、結局自分の弱い部分を受け入れられなくなっちゃう、それって愛が無い。

愛ってこういうもんだよね？って決めちゃうと、相手がその枠から外れた瞬間に、そこに愛はないんだって。愛したいって気持ちがあるだけで愛はあると思うし、それは僕がクリスチャンだからかもしれないけど、人の存在そのものが愛なんじゃないかなって。神様から生かされていて、結局セックスの話もそうだけど…セックスしなければ人は繁栄していかないし、それって魂の分裂というか。

愛は果てしなく広がっていくものだと思ってます。

写真：宮本七生 ／ 聞き手：朴成理

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