「あなたにとって、愛とは、セックスとは、何ですか?」
本来、人も愛もセックスも多様であり、個人の恋愛を他人がジャッジするものではない。
「正面×愛とセックス」は、”普通に”生きるLGBT当事者の愛とセックスについて、赤裸々に語ってもらうインタビュー連載です。
── 40代 バイセクシャル 会社員 ──
ーあなたにとってセックスとは何ですか
あんまり深く考えたことないんですけど、なんだろう…人と人との触れ合いです。
物心ついた時から同性にも性的な興味はあったんですけど、それが同性愛って認識はなかったです。ただ、なんで自分は男性にも求めたくなるんだろうとは思ってました。中学の時に後輩とちょっとした事はあったんですが、その時は最後までは至らなかったです。
僕の若い頃は携帯も無かったし、情報を得られるようになったのは携帯やパソコンが出てからのインターネットくらいでしたし。その時に「おはよう二丁目」っていうウェブメディアで、この世の中には同性を好きになる人達が他にもいるんだって思いました。仲間が沢山いるんだって安心したのと同時に、もっと早く知りたかったなって。
僕は生まれつき耳が聞こえないので、もし隣で誰かがそういう話をしてたとしても解らないんです。目で見るしか外部の情報が得られないので。
それから高校卒業して就職のために上京したんですけど、新宿二丁目を探して、その辺りをウロウロしてました。仲間の出会いを求めて…結局その時は辿り着けなかったんですけどね。
本格的に同性愛の世界に足を踏み入れたのは、30歳の時です。
最初は凄く楽しかったです。その頃、セックスは単に快感を求めてただけです。気持ち良いからしたい、本当にそれだけでしたね。今は、年も年だしパートナーもいるので落ち着いてます。当然、好みの男性とかを見かけるとしてみたいなと思うことはありますけど、実際に行動にうつそうとは思わないです。しようと思えばできますけど、今は動画で満足するようにしてます(笑)ただ、最近はパートナーに求めても冷たく遇らわれるので…それは寂しいですよ。
絶対に好きな人とじゃないとダメだって人もいるんでしょうけど、僕はそういうタイプでは無いですね。今、パートナーがいなければ、昔みたいに肉体的な出会いは求めてると思います。
2003年に知り合って、半年で養子縁組をしました。家族にカミングアウトはしてなかったんですけど、薄々気付いてたみたいで。ただ籍を入れる時は、家族との折り合いも悪かった時期だったというのもあって家族とは縁を切るつもりでした。養子縁組をする時に、一度籍を抜かないといけないので。家族になんで籍を抜いたの?って聞かれましたね、内緒で籍を抜いたんで(笑)
今のパートナーと出会ってから、世界観というか価値観は変わりました。彼の方が耳の聴こえない友人や知り合いが多いんですよ。だからすごく自然だったし、聞こえなくてもいいのかなって思わせてくれたんです。
若い頃は自分の為だけの快感で満足してたんですけど、今はお互いが気持ち良くなる為のものだと思っています。ただ、僕の場合、心と体は必ずしも一致しているとは思ってないので、実際浮気されてみないとわからないですけど、もしパートナーが浮気しても別れないと思います。それとこれとは別。
僕自身がバイセクシャルなので、そう思うだけかもしれないですけど。男性も女性も両方いける人って割といると思うんです。言いたがらないだけなのかなって思うこともあります。もともと女性も好きですし、女性と結婚していた時期もありましたし。
ただ、今は男性をパートナーとして選んでいて、これからも彼と生きていこうと思っているので、これから先、男性女性を含め他に恋愛することは無いと思います。
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