ゲイたちにとって「東京」はとても楽しい場所だ。
刺激的で楽しいことも多いが、同時に危険なことも山ほどある。
その危険なことの一つに「生でヤってしまうこと」があげられる。
特に、上京したばかりの10代・20代前半は、都会で羽を伸ばしがちで、時に危険なセックスをしてしまうことがある。
そこで今回は、主人公・シンヤを例に、安全なセックスについて一緒に考えてみよう。
今回の主人公・シンヤは、大学進学をキッカケに上京してきたばかりの18歳。
右も左もわからない大都会・東京に驚きと不安を隠せない。
「スクランブル交差点は人多すぎ!歩いているだけでぶつかりそう」「西新宿はビルが高すぎて首痛くなっちゃう」
不安はいっぱいだけど、窮屈な地元を出られて心は踊っていた。
「よーーし、地元にいた時はアプリで顔出ししてなかったけど、東京ではたくさんゲイ活動するぞー!!」
アプリで活動を開始してすぐ、イケメンでマッチョな兄貴からメッセージが!
「可愛いね。良かったら今度メシでも行こう」
「こ、こんなイケメンからメッセが…/// 東京ってすごい!」と、ウキウキ状態で即返信。
その後、トントン拍子でメッセージが続き、週末リアルすることになった。
リアル当日
東京での初リアル。会うのはすごく緊張していたが、相手は優しいイケメン兄貴だった。
「オレん家すぐそこだから、ちょっと寄ってく?」
ご飯のあと家へ誘われた。そして、家に着くなり抱きしめられキスされた。
あれよあれよという間に、ベッドへ。急展開にドキドキが止まらない…!!
相手は慣れた手つきで前戯をし、いざ本番になると、ゴム無しで挿れようとしてきたのだ。
「あ、あの・・・」と、ゴムを付けて欲しいと相手に言おうとするものの、
「大丈夫だよ。あんまりケツやったことないんだろ?ゆっくりヤるからな」と、半ば強引に生で挿れようとしてくる。
結局断れず、なりゆきで生でセックスしてしまった。
これまでケツは何回かしたことあるけど、生でヤっちゃったのは今回が初めて。
セックス後は少しモヤモヤした。
だけど「生でヤっちゃたけど…セックス自体は良かったし、まぁいいっか!」と気にしないことにした。
東京にきて半年。
大学生活にも慣れ、ゲイ友もでき、週末は二丁目に行ったりゲイナイトに行ったりと、憧れの都会生活をエンジョイしているシンヤ。
地元にいた頃はゲイとバレないようにツイッター&インスタは鍵垢、ゲイアプリでさえも顔出ししていなかったのに、今ではすっかり都会のシャイニーゲイの仲間入り。
そんなある時、ふとGENXYのニュースを見たシンヤ。
「九州でエイズが急増!」「新しいHIV感染者は全国で1448人。感染者数は10年変わらず」そんなニュースを見た時、ふと上京したての頃の生でセックスをしてしまった記憶が蘇る。
実は、あの年上のイケメン兄貴とは、あのあと数回会って同じく生でヤっていた。その後なんとなく連絡が途絶えていた。
「何回か生でヤったことあるしHIVになっていたらどうしよう…!?」
不安で胸が押しつぶされそうになった。
「HIVとかエイズって言葉は知っているけど、正直あんまり考えたことないし、友達ともそれについて話さないしなぁ。。でも自分がそのHIVやエイズになっていたら・・・」
悩んだ挙句、ネットでHIVについて調べてみた。
いろんなHIVに関する情報がでてくる中で、新宿駅すぐ近くの「南新宿検査・相談室」のことを知る。
「HIV検査ってしたことないけど、、、思い切って行ってみるか!」と決意。
スマホからネット予約し、大学が休みの週末に行ってみることにした。
シンヤが訪れた「南新宿検査・相談室」は、新宿駅の南口から徒歩3分の場所にあり、匿名・無料で検査できるHIV検査施設だ。
検査は簡単な4ステップなので、流れを紹介していこう。
①受付/予約番号を告げ(ネット予約の場合は予約画面を見せる)受付をし申込用紙に記入する。匿名なので名前や住所を記載する必要はなし。
②検査の説明/最初にHIV検査に関する説明がある。この検査室はゲイフレンドリーなので、セックスについても安心して相談できる。
③結果予約・採血/検査前の説明のあとは、別室にうつり検査結果を聞くため再度来所する日時を決める。結果は1週間後なので、それ以降は希望する日に合わせられる。そのあと採血を行う。使用する器具はすべて使い捨てで、採血量は5cc(小さじ1杯程度)だ。
④検査終了/止血ができたら終了。検査はこの4つの流れだけで約30分ほどで終わる。
この検査相談室では、ゲイフレンドリーな先生やスタッフがHIVやエイズのことについて丁寧に教えてくれる。今回はじめてのHIV検査ということもあり、気になっていることを先生に聞いてみた。
シンヤ:HIVとエイズの違いがイマイチ分からないのですが、どう違うんですか?
先生:HIVとは「ヒト免疫不全ウイルス」というウイルスの名前です。そのHIVに感染し、進行して発症するのがエイズ(後天性免疫不全症候群)です。なので、HIVはウイルスの名前、エイズは病名のことですね。
シンヤ:そうなんですね。たとえば、いきなりエイズになってしまう人もいるんですか?
先生:急にエイズになることはないですね。
HIVに感染して数年〜十数年経ったのち、エイズになることがほとんどです。ただ、HIVに感染しても症状が出ないかたが多く、感染に気がつかずにエイズを発症することがあります。
シンヤ:HIVはどれぐらいの確率で感染するんですか?あと、もし生で1回ヤっただけでHIVに感染することもありますか?
先生:HIVに感染する確率として膣性交の場合「1000回に1回」と言われたりします。しかし、これは1000回目に感染するという意味ではなく、最初の1回でも感染する可能性があるということです。実際に1回のセックスだけで感染したかたもいます。 また、アナルセックスや性感染症(梅毒など)に感染している場合は、HIVに感染する確率がぐんと上がるので注意が必要です。
シンヤ:怖いですね。10代や20代前半でもエイズになってしまう人はいるんですか?
先生:感染から数年〜十数年でエイズを発症すると言われているので、10代や20代前半でもエイズになることはあります。実際、最近20代前半のエイズ発症が東京都では数件確認されています。
シンヤ:もしHIVに感染してしまったら・・・どうなるんですか?
先生:今は治療が進んでいるので、きちんと薬を飲んで治療を受けていれば、生涯エイズ発症を抑えることができます。HIVに感染しても、学校や仕事や運動など、今までと同じ生活ができますよ。
シンヤ:ちょっとだけ安心しました。HIVに感染しない為には何を気をつければいいですか?
先生:HIVの感染はコンドームをつけることでほぼ防げます。
シンヤ:HIV検査はどのくらいの頻度で受けたほうがいいんですか?
先生:リスキーなこと(コンドーム無しでのセックスなど)をしたら2ヶ月後(*)には受けましょう。もしそうでない場合でも、半年や1年に1回は定期的にHIV検査を受けたほうがいいですね。
*通常検査の場合。即日検査は3か月後。
シンヤ:そうなんですね!色々聞けてちょっと安心しました。
先生と話すことで、少しだけ不安が解消されたシンヤ。
ただ、1週間後の検査結果までドキドキだ。
1週間後、検査結果を聞きに再度検査室へ。
「(予約番号)さん、奥の部屋へどうぞ」
ドキドキドキドキ・・・胸の鼓動が止まらない。
席に座り、先生から告知される。結果は・・・・
「良かった〜〜〜!!!超緊張した😭😭😭」
緊張で胸が爆発しそうだったけど、検査結果にホっとした。
「こんな思いをするぐらいなら、これからは絶対ゴムしよう…!!」
「これからも1年に1回は検査に行こう…!!」
そう心に誓うのだった。
シンヤの初めてのHIV検査、どうだっただろうか?
もし、シンヤの例のように年上に生を強要されても、ハッキリと「NO」と言える勇気を持とう。
日本では、毎年1500人前後が新しくHIV/エイズと報告されており、10代、20代の若いゲイたちの間でも感染が増えている。
20代、30代、40代…と、これから先も楽しいゲイライフを送るためには、「セックスでは必ずコンドームを付ける」「1年に1回はHIV検査を受ける」この2つをぜひ実践してほしい。
また、「検査は受けてみたいけど、ちょっと怖いなぁ、、」と足が踏み出せない人は、悩みを聞いてくれるHIV/エイズ電話相談(03-3292-9090)もある。
今回紹介した「南新宿検査・相談室」以外にも、ウェブサイト「東京都HIV検査情報Web」では、HIV検査を受けられる都内の施設がまとめて紹介されている。
電話相談でも、HIV検査施設の検索でも、自分に合ったものをぜひ利用してみてね。
もし「陽性であった場合のこと」を知りたい人は、下の記事もチェックしてみて。
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